すかたん2012/08/28

すかたん
「すかたん」 朝井 まかて・著 講談社
江戸詰め藩士だった夫の赴任に伴って、大坂(昔の大阪の書き方です)へ行った知里だったが、急な病で夫は他界。生活のために働くのだが、手習い所をクビになり、今度は青物問屋「河内屋」の奥内の上女中奉公をすることになる。お家さん(おかみさん)から、毎日叱責され、江戸と大坂の習慣の違いにも苦労する毎日だが、浪速の食文化に魅力を感じていく。河内屋の若旦那は型破りだけど、野菜に関しては情熱を持っている。その若旦那のせいで、知里は青物市場や農民をめぐるいざこざに、巻き込まれていく…。
とても読みやすくて、テンポの良い本でした。なんといっても大阪弁が美しくて心地良いです。章のタイトルも「ちゃうちゃう」「ぼちぼち」「ええねん」などとなっています。
どちらかというとラブストーリーで、揺れ動く女心や、なかなか進展しない関係に、読んでいる方はもどかしい思いです。でもそこがいいのです。天下の台所・大阪の商いの様子などもよくわかり、おいしそうな食べ物もいっぱい出てきます。
この作者の他の本も読んでみたくなりました。