五郎治殿御始末2024/04/27



「五郎治殿御始末」 浅田 次郎 中公文庫
明治維新期。「武士」という職業がなくなり行き場を失った岩井五郎治は、遺された孫のために命も誇りも投げ出す覚悟を決める。新しい時代を生きる孫に、五郎治が託した遺品とは。千年つづいた「武士の世」が、終わり、様々な身の振り方がある。武士の考え方も、自由に生きることを邪魔したりする。短編集で短い話しながら、それぞれに趣があった。私は1つ目の「椿寺まで」が良かった。追いはぎに狙われた商人とまだ幼い奉公人の話かと思ったら、2人の意外な過去が、浮かびあがってきた。他に映画にもなった「柘榴坂の仇討」も含む全6編。更に短いエッセイ、著者と中村吉右衛門との対談もおさめるられている。

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