米中開戦22019/11/13


米中開戦2

「米中開戦2」 トム・クランシ―・著 新潮文庫
謎の敵に封じ込められた諜報機関“ザ・キャンパス”。調査から浮かび上がるのは“センター”と呼ばれる人物、あるいは組織。しかも最高度のサイバー諜報技術とサイバー戦遂行能力を有している…。
中国はついに軍を動かす。台湾空域を侵犯し、フィリピン・スカボロー礁に戦闘部隊を上陸させる。米中全面戦争が迫るのか。
コンピュータのセキュリティは、能力のある人が動かせば、突破できてしまうのか、それによって、多くのものが操作されて、ぬれぎぬをかぶせられて戦争が始まってしまうのかもしれないという恐怖を感じます。
ジャック・ライアン・ジュニアたちの話と、他の国で起こっている出来事、香港やアメリカなど、多くの物語があり、難しい言葉も多いです。まだ2巻目なので、わかりませんが、様々な別の出来事が、一つにつながっていくと、盛り上がっていきそうです。謎の部分も多かったので、疑問を感じながら次の本も読まなくては。

猫の文学館 12019/10/30


猫の文学館 1

「猫の文学館1」 和田 博文・編 ちくま文庫
大佛次郎、寺田寅彦、太宰治、内田百閒、向田邦子、村上春樹他、猫の出てくるエッセイや短編を集めたもの。村上春樹以外は、少し前の作家に思えました。
猫が好きな人には良いのかもしれませんが、ただかわいいだけじゃなくて、猫に酷いと思うような話もありました。
一番良かったのは大佛次郎のいくつかの話で、名前しか知らない作家でしたが、こういう文章を書く人だったのかと興味深かったです。「鞍馬天狗」シリーズなどを書いた人だったのですね。知っているのは横浜の港の見える丘公園に、大佛次郎記念館があったからです。大変な猫好きだったようです。
全体的に、少し昔の話やエッセイなので、家に女中さんがいるというのが多かったです。あと、当時はネズミ退治のために、猫を飼う人が多かったようです。
いろいろな作家さんのほんの短い話ばかりでした。好みなのとそうでもないのがありました。

月とコーヒー2019/10/24


月とコーヒー

「月とコーヒー」 吉田 篤弘・著 徳間書店
喫茶店“ゴーゴリ”の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける配達人。青いインクをつくる青年。
世の中の片隅で起きている小さな出来事、時にはSFのような話もあり、どれも短かいお話で、ハッキリした結末もないのだけど、とても面白かったです。
コーヒーはよくでてきます。インクを作っている青年の話は、他の話とつながりがあるのですが、他は独立した話です。夜寝る前に1話ずつ読むのにピッタリです。静かな気持ちになって、じっくり味わえます。

6時間後に君は死ぬ2019/10/18


6時間後に君が似ぬ

「6時間後に君は死ぬ」 高野 和明・著 講談社文庫
他人の未来が見えるという青年・圭史より、6時間後の死を予言された美緒。半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとする。圭史の言う事は本当なのか、未来のことを言い当てられて、次第に信じ始めるのだが、運命の瞬間が迫ってくる……。
短編連作形式だけど、同じ人は出てくるけど、いろいろな話になっていました。
未来が見えると言ってもなんでもわかるわけでもなく、簡単にはいかないのです。果たして運命を変えることができるのか。ダンサーを目指す若い女性の話もあって、印象的でした。その話も予言と関わりがありました。
ドラマにしても良いと思ったら、ドラマに昔なっていたようです。
面白かったです。

藪医ふらここ堂2019/10/11


藪医ふらここ堂

「藪医ふらここ堂」 朝井 まかて・著 講談社文庫
江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、付いた渾名が「藪のふらここ堂」。
ところがこの先生、実は凄腕。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子、ご近所さんたちの日常。
ふらここはブランコのことです。家(病院)の前にあって、子どもたちが遊べるようになっています。仮宅を建てたりすることもあるから、かなり広いスペースがありのかなと思いました。病気の治療のことも出てきますが、 ご近所同士のつながりが興味深いです。薬屋の手代は、奥さんがいなくて、まだ小さい子どもがいるから、みんなであずかってあげて、食事も用意してるし、産婆のおばあさんが、いつも家に上がりこんでいて、一緒におやつを食べていたり、家族がいなくても、寂しくない環境があります。おゆんも、小さい頃にお母さんが亡くなっていて、近所の幼なじみのお母さんが育ててくれたようなものでした。だから、血はつながっていなくても、家族のように思えます。そういうつながりが希薄になった現代なので、皆が孤立してしまい、虐待や孤独死に気がつかない世の中になってしまったのだと思います。人情ものって、昔の日本を感じさせます。

つなぐ鞠 上絵師律の似面絵帖2019/10/01


つなぐ鞠 上絵師律の似面絵帖

「つなぐ鞠 上絵師律の似面絵帖」 知野 みさき・著 光文社時代小説文庫
上絵師として、鞠の意匠をあしらった「鞠巾着」が人気となり、安定した仕事をもらえるようになった律。想い人だった涼太との祝言の日取りも決まり、幸せをかみしめながら、職人の仕事も続けていこうと決意するのだった。そんな折、拐かし一味の女の似面絵を頼まれた律は、仕上げた絵に何か引っかかるものを感じて……。
シリーズ第五弾。
身分違いの恋と思いながらも、一途に想い続けていた相手と、いよいよ結婚できるのかと思いきや、なかなかたどりつかない話でした。でも、結婚前のウキウキした感じもありました。絵を認められながらも、なかなか巾着以外の仕事がない。そんな中、子どもの着物を頼まれるのだけど、それもワケありな依頼だったり、律も事件に巻き込まれたりと、まだ話は続きそうです。

あきない世傳金と銀 72019/09/25


あきない世傳金と銀 7

「あきない世傳金と銀 7 碧流篇」 髙田 郁・著 ハルキ文庫
大坂天満の呉服商「五鈴屋」の七代目店主となった幸は、亡夫との約束でもあった江戸に念願の店を出した。大坂と江戸との違いに驚かされながらも、見聞を広げ、知恵を絞っていきます。商いを確かなものにするため、お客さんにも喜んでもらうため、何ができるか、だんだんと形になっていきました。シリーズ第7弾。
販売をする人にとっては、考え方や工夫に参考になるのではないでしょうか。
着物のことも勉強になります。どんな物を売り出すのか、実物を見てみたくなります。

平成大家族2019/09/21


平成大家族

「平成大家族」 中島 京子・著 集英社文庫
三十路のひきこもり息子と90歳過ぎの姑と共に、静かに4人で暮らしていた緋田夫婦。ある日、長女の夫が事業に失敗し、自己破産して、家族ごと居候。続いて、次女も離婚して出戻って来るのだが、実は妊娠していたことが発覚。4世代の大所帯になってしまう。平穏を愛する当主の思いをよそに、次から次と騒動が押し寄せる……。
家族のいろいろな人が語る、短編連作になっています。それぞれに悩みながらも、家族の形態は変化していって、どうにかなっていくような様子が面白かったです。 ひきこもりや認知症、不倫など、深刻な問題そうだけど、なんだかのほほんとしています。ひきこもりの長男は、外に出ないのに、恋人ができたりしていました。
結婚して家から送り出した娘たちは、人数が増えて戻ってくるわけですから、それなりに広い家のようです。困りながらも、懐が深い当主夫婦です。

希望荘2019/09/13


希望荘

「希望荘」 宮部 みゆき・著 文春文庫
離婚した杉村三郎は私立探偵事務所を設立。ある日、亡き父が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽についての調査依頼が。
杉村三郎シリーズ4冊目。短編連作形式。
これまでの話は、企業で働いていて事件に巻き込まれることが多い人だったけど、いよいよ探偵事務所を自分で始めたという話でした。そこに至るまでの経緯や、新天地でのご近所さんや大家さんとの関係など、なかなか面白いです。「水連」のマスターが私はなんとなく好きなんだけど、一緒に移ってきて「侘助」というお店を始めて、また出てくるのがうれしいです。モーニングがあって、ホットサンドがおいしい喫茶店っていうのが、また良いなぁと思っています。行きつけにしたい近所のお店という感じがします。新しい登場人物も増えてきて、引っ越したばかりでも、たくさん知り合いが増えています。話は犯罪ものではあるけど、いつも、予想できないような真実が暴かれていきます。頭が良いけど、驕ったところがなく、人間味を感じさせる人柄が魅力だと思います。
このシリーズは、人気が高いと思いますが、私もこのシリーズが大好きです。まだ探偵として始めたばかり、オープニングといういう感じがするので、これからの活躍を見て行きたいです。
この本の表紙絵を描いている人も好きです。吉永南央の紅雲町珈琲屋こよみシリーズも同じ人ですね。

うばかわ姫2019/09/09


うばかわ姫

「うばかわ姫」 越水利江子 白泉社まねにき猫文庫
美貌の少女、野朱。何不自由なく暮らしてきた彼女が、ある老婆との出会いをきっかけに、一夜にして醜い老女へと変貌してしまう。自身の外見の魅力のみをよすがに生きてきた女の目に映った、その後の世界。
発想は悪くないとは思いますが、老女となって困難がいろいろあるのかと思えば、元の姿にも戻れる時もあり、良い人と出会って、助けてもらえるし、都合良い気もました。幻想的な世界とつながっているのも、のりきれませんでした。主人公のことがあまり好きになれなかったように思います。