若菜摘み 立場茶屋おりき72020/12/03



「若菜摘み 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
シリーズ第7弾。品川宿の近江屋のお登世が、里帰りしてきた。お登世の様子から、婚家先で、何か大きな事件に巻き込まれたに違いないとふんだ岡っ引きの亀蔵は、立場茶屋「おりき」の女将に、さりげなく探ってほしいと頼む。
女将おりきのもとで、働いているものが、本当に家族のように助け合っています。
女将は、いわば社長で、旅籠と茶屋、そしてお蕎麦屋も任せてはいるけど、同じグループ会社という感じかな。その蕎麦屋で、父子でやってきたお客さんが、まだ幼い男の子を残して、そのまま戻ってこない。そういう時でも、面倒をみてあげようと考えるところが、心が広いです。

珈琲店タレーランの事件簿 52020/11/29



「珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように」 
岡崎琢磨・著 宝島社文庫
アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなっ年上の女性・眞子。11年ぶりに偶然の再会を果たした初恋の彼女は、なにか悩みを抱えているようだった。後ろめたさを覚えながらも、アオヤマは眞子とともに珈琲店“タレーラン”を訪れ、女性バリスタ・切間美星に引き合わせるが…。
源氏物語を題材にしているミステリーでした。いつものように美星さんの推理が冴えます。
タイトルの鴛鴦茶(えんおうちゃ)は、私は知らなかったのですが、コーヒーと紅茶を混ぜ無糖練乳と砂糖を加えて作る香港のお茶らしいです。いったい、どんな味になるのでしょう。香港には3回行ったけど、飲まなかったです。そもそもずっと昔に行ったきりだし。味を想像しながら、飲んでみたいような、飲みたくないような。

忘れ雪 立場茶屋おりき62020/11/26



「忘れ雪 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
立場茶屋「おりき」で下足番の修行をしていた三吉の、京への旅立ちが近づいていた。京の文人墨客加賀山竹米に、絵の才能を見出されたのだ。おりきや双子の妹おきちはその旅立ちを喜んだが、孫のように面倒を見ていた善助は、魂が抜けたようになってしまっていた。そんなある日、おりきは番頭から、茶立女のおまきが妊娠しているらしい、と相談される…。
相変わらず、いろいろな出来事が起き、頭を悩ましていたり、喜びがあったり、おりきには悲しい出来事もありました。
今回印象に残ったのが、旅籠の料理人・板頭の巳之吉の料理が、事細かに説明されている事です。目にも美しく、味も素晴らしいそうで、想像するのがなかなか難しいです。日本料理をコースで食べたくなりました。

秋螢 立場茶屋おりき52020/11/23



「秋螢 立場茶屋おりき」  今井 絵美子・著 ハルキ文庫
「茶屋や旅籠の商いも至って順調です」―おりきは先代の墓参りに訪れた寺で、四十絡みの品のある面長な顔をした男性とすれ違った。もしや先代の一人息子ではと思ったが、声をかけることはできなかった。その晩、おりきは前に記憶喪失となって、おりきのもとにいた武士・鬼一郎の胸に抱かれている夢をみた。鬼一郎の身に何かが起こったのではと心配になるが…。
シリーズ第5弾。読みやすいので、どんどんこのシリーズを読み進めています。一度、陰間茶屋へ売られたものの助け出された三吉が、新しい道に進むために、旅立っていきます。もう15歳くらいになっていて、少しづつ時が流れ、メンバーの顔ぶれも変わっていきます。今まで読んでいた時代小説とは違った言葉が多く出てきているように思います。おりきの言葉遣いも、~しようぞとか、武家の生まれということもあって、時々独特です。よく出てくるのは“おてちん”、これはおりきの周りの人がよく使って、おりきに助けや意見を求めてきます。どうにもならないということですが、お手上げ という感じに近いと思います。今ではあまり使わない言葉もいろいろと出てきて、新鮮です。

月影の舞 立場茶屋おりき42020/11/20


月影の舞 立場茶屋おりき

「月影の舞 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
立場茶屋「おりき」の茶立女・おまきは、夜更けの堤防で、月影を受け、扇を手に地唄舞を舞っている若い女を見かけた。それは、幾千代の元で、芸者見習い中のおさんであった。一方、おりきは、幾千代から、茶屋の追廻をしていた又市が、人相の悪い男たちに連れられていたという話を聞き、亀蔵親分とともに駆けつけるが…。
シリーズ第4弾。この本を紹介していただいた人が言っていましたが、亡くなってしまう人が多いということです。確かに、悪い人が亡くなるばかりでなく、大切な人が亡くなって事が多いのです。それが人の世の習いなのでしょうか。この時代だと、寿命も短いし、事故や病気でも、お金のない人は、治療が受けられないし、医療技術も進んでいないですから。
それにしても主人公のおりきは、マザーテレサのように見えてきました。働く人たちを家族のように大切にするだけでなく、困っている人を自分の店に引き取り、仕事を与えて、生活できるようにしてあげます。

秋の蝶 立場茶屋おりき32020/11/17


秋の蝶 立場茶屋おりき

「秋の蝶 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
陰間専門の子供屋から助けだされた三吉は、双子の妹おきち、おりきを始めとする立場茶屋の人々の愛情に支えられ、心に深く刻みつけられた疵も次第に癒えつつあった。そんな折、品川宿で“産女”騒動が持ち上がった。太郎ヶ池に夜遅く、白布にくるまれた赤児を抱えた浴衣姿の女が、出現するという……。
シリーズ第3弾。だんだん登場人物が増えてきて、混乱してきています。立場茶屋は茶屋と旅籠をやっているので、働いている人が多いのです。女の人の名前がみんな「お」を付けているので、おりき、おまき、おうめ、おきち、おさん等、ひらがなだし、似てきてしまいます。この時代は、そう言う名前や呼び方が多いのでしょうがないのかなぁ。哀愁ある内容と、思い通りにならない事が次々と起きています。

あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続2020/11/14


あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続

「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」 宮部 みゆき・著 角川文庫
三島屋の主人伊兵衛は、傷ついた姪・おちかの心を癒やすため、語り捨ての変わり百物語を始めた。悲しみを乗り越えたおちかが迎える新たな語り手は、なじみの貸本屋「瓢箪古堂」の若旦那勘一。彼が語ったのは、読む者の寿命を教える不思議な冊子と、それに翻弄された浪人の物語だった。勘一の話を引き金に、おちかは自身の運命を変える重大な決断を下すが…。
三島屋シリーズ第5弾にして、第一期が完結しました。第二期がもう発売しています。本当に百物語まで続けるのかもしれません。27話まで語られています。
おちかのゆくすえが決まって終わりましたが、怪しい話や、もののけ?おばけ?的ないろいろと珍しい話がありました。怖いだけでなく、どれも面白いのです。時代小説、怪談、人情ものの魅力があります。
ずっと会っていなかった、おちかの家族も会えたけど、サラリと書かれていたし、勘一との話ももっと詳しく知りたい気もしました。
おちかの従兄である三島屋の長男は今まで出てきていなかったのですが、最後の方に登場しました。三島屋の次男・富次郎の子どもの頃の話や、三島屋の歴史がわかりました。

きらめくジャンクフード2020/10/29


きらめくジャンクフード

「きらめくジャンクフード」 野中 柊・著 文春文庫
理想のシチュエーションは、お肉屋さんで買ったコロッケを夕暮れ時に川辺の土手に坐って、柴犬のポチと一緒に仲良く一個ずつ堪能すること―。ハンバーガーやポップコーン、アップルパイからあんみつ、たこやきまで、人生になくてはならない「美味しくて楽しい」もの48種を厳選したエッセイ集。幸せの味を召し上がれ。
ジャンクなものだけではないですが、いろいろな食べ物に関するエッセイでした。どれも懐かしく、みんなが知っている料理がほとんどです。
子どもの時によく食べたもので、近頃は食べる機会が減ったものもあるし、今でも大好きで、よく食べているものもあります。最近食べてないと思ったら、食べたくなります。アメリカに住んでいた事がある著者だから、アメリカの話や、旅行の話もありました。わかりやすくて、お腹がすいてきそうな、文章です。添えられているイラストが、かわいくて良かったです。

行合橋 立場茶屋おりき22020/10/27


行合橋 立場茶屋おりき

「行合橋 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
行合橋は男と女が出逢い、そして別れる場所―品川宿にある立場茶屋おりきの茶立女・おまきは、近頃度々やって来ては誰かを探している様子の男が気になっていた。かつて自分を騙し捨てた男の顔が重ったのだ。一方、おりきが面倒をみている武家の記憶は戻らないまま。そんな中、事件が起きる…。
シリーズ第2弾。いろいろな別れや出会いがあります。短編連作だけど、何話にもまたがっている内容もあります。面白いですが、無情に思うことも多いです。ただ楽しいだけではないのです。
長いシリーズでも一気に読めてしまいそうな気がしています。

さくら舞う 立場茶屋おりき12020/10/22


さくら舞う 立場茶屋おりき

「さくら舞う 立場茶屋おりき」 今井 絵美子・著 ハルキ文庫
品川宿門前町にある立場茶屋おりきは、庶民的な茶屋と評判の料理を供する洒脱で乙粋な旅籠を兼ねている。鉄火肌の美人女将が切り盛りしている。
理由ありの女性客、茶屋で働く者の話など、二代目おりきの過去。茶屋で起こる様々な出来事を、人情深くおりきが心を砕いていく人間模様が描かれていく。
長いシリーズ(全25巻)のようですが、ちょっと読んだだけで、とても品があって、読みやすく、あっという間に引き込まれていきました。短編連作で、一応の結論が出るので、わかりやすいです。こじんまりとはしていますが、旅籠もしているし、割と大きな茶屋で、働く人も多いです。皆が女将に信頼を寄せていることがわかります。食べ物が美味しそうです。おりきは柔術の心得があって、強いのですが、出過ぎた事はしません。冷静に対応するけど、心優しい人です。今後、どうなっていくのか楽しみです。