Friends2018/09/15


Friends

Friends」 今野 緒雪・著 集英社オレンジ文庫
美大に通うカスミには同じ大学に通う親友・碧がいる。高校時代は碧がカスミの髪型や持ち物を真似していて、双子のように言われていたけど、碧の身長が伸びてしまって、いまや双子感はまるでない。碧とばかりつるんでいるから恋人ができないんだと言われ、カスミだけ合コンに誘われる。カスミは碧との“友情”について、もやもやと考え続けてる…。
先日読んだ「雨のティアラ」と対をなしている作品。雨のティアラの主人公メグムの姉がカスミ。時間軸も同じくらいでした。「雨のティアラ」では、ちょっと意地悪な姉なのかと思っていたけど、カスミには考えや悩みがあって、心情が理解できました。家族の大事件も、他の人から目線から見ることができます。孫や娘の相談にのってくれる素敵な祖母が魅力的です。
両方読んで相乗効果で、面白かったです。ラストには意外な展開もありました。

歌川国芳猫づくし2018/09/14


歌川国芳猫づくし

「歌川国芳猫づくし」 風野 真知雄 文春文庫
江戸後期を代表する浮世絵師、歌川国芳。猫好きで有名で、8匹の猫と、個性豊かな弟子たちに囲まれた生活。そんな国芳のまわりでは、猫にまつわる事件がおきている……。
ペリー来航や葛飾北斎も亡くなっている時代になっています。大きな事件はないけど、国芳の周囲の出来事、ちょっとミステリー仕立てでした。その中でも国芳の好きだった人や、兄弟弟子の広重の関係など、国芳の人柄や考え方がわかります。先日見に行った国芳の弟子の月岡芳年展の記憶も新しいので、登場するとうれしくなります。
河治和香の国芳一門浮世絵草紙とは、また違った国芳像でしたが、国芳に興味があるので、良かったです。浮世絵好きな人にはより面白く読めるのではと思いました。

雨のティアラ2018/09/07



「雨のティアラ」 今野 緒雪・著 集英社オレンジ文庫
高校一年生のメグムは、大学生の姉と小学生の妹がいる三姉妹。近所にあるおばけ屋敷風の洋館に、不思議な人物が引っ越してくる。進路に悩むメグム、急におかしな行動をとる母、引っ越してきた人物たちはメグム達家族に意外な関わりがあった……。
高校や家族、平凡だけど、明るく楽しく暮らしているのだが、メグムの知らなかった家族の秘密(?)が明らかになっていきます。
基本的は良い話なんだろうけど、高校生がターゲットのような気がします。
若者向けのゆるめの話でした。少女マンガっぽいです。

舞う百日紅 上絵師律の似面絵帖2018/09/04


舞う百日紅

「舞う百日紅 上絵師律の似面絵帖」 知野 みさき・著 光文社文庫
シリーズ第二弾。亡き父の跡を継ぎ、上絵師として身を立てたい律だが、ままならず落ち込むことも多い。幼馴染みへの想いも、深く胸に秘めるばかりだ。しかし副業の似面絵の評判は上々で、次々と注文が舞い込んでいた。そんな折、母を殺めた辻斬りの似面絵そっくりな男に出会う……。
ひたむきに精進しているが、思い通りに仕事はできず、しかし、少しづつ認められつつあります。両親の死に関わるかもしれない男をみつけようと、女の身でありながら、こっそりさぐっています。幼馴染みや、隣人、律を気づかってくれる周囲の人や、厳しいけれど仕事を与え指導してくれている女将さんもいて、恵まれていると思いました。気がつくと、グイグイと読んでいました。
そういえば、百日紅(サルスベリ)の花が咲いているのを近頃、よく見かけます。

落ちぬ椿 上絵師律の似面絵帖2018/08/31


落ちぬ椿 上絵師律の似面絵帖

「落ちぬ椿 上絵師律の似面絵帖」 知野 みさき・著 光文社文庫
辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と言って描いたことで、事件解決の助けになる。上絵師としては、なかなか認められないが、似面絵を副業にいろいろな事件に出会っていく……。
上絵師は当時はまだ女性は少なく、大変だけど、目標に向かって頑張る主人公。
想い人がいるが、家柄の差もあるし、弟を育てていけるように、心に秘めて上絵師として仕事が取れるように鍛錬の日々です。
シリーズ第一弾で、まだよくわからないけど、読みやすいくて、楽しめます。 
表紙からしても、女性向きな時代小説です。恋愛についてはちょっとヤキモキします。

ジェノサイド 下2018/08/26



「ジェノサイド 下」 高野 和明・著 角川文庫
亡き父の研究を引き継いだ大学院生の研人と、戦地から脱出をしようとするイエーガーたち、多くの人の思惑が絡んでいきます。人間の残虐性が恐ろしと思うけど、何度も危険を乗り越えて、クライマックスに向かって、一気に突き進んでいきます。
ミステリアスな部分もある、アクション・エンターテイメントでした。父は何を研究していて、息子に何をさせようとしているのか、タイムリミットに間に合うのか、次の一手はどうするのかと読むスピードがアップしていきました。
ハリウッドで映画化してくれたら良いような話でした。

ジェノサイド 上2018/08/22



「ジェノサイド 上」 高野 和明・著 角川文庫
大きく分けるとミッションを遂行しようとするアメリカ人傭兵の話と、日本で薬学を専攻する大学院生の話。大学院生のケントは、亡き父の秘密のメッセージを受け取ったことから、父の研究の続きをせざるを得ない状況になります。すると彼の周囲は不穏な動きが感じられて、巻き込まれていきます。
まったく無関係だった二人の運命が交錯していくようです。
薬学やコンピュータ、アメリカの政治まで、専門的な言葉が難しと思うけど、そういうのを飛び越えてサクサクと読めます。
ジェノサイドは大量虐殺の意味だそうです。スピード感や話の切り替え方が、ハリウッド映画を見ているようです。多くの登場人物が複雑に絡みあっていて、まだどうなるのかはわかりません。下巻が楽しみです。

ひとり夜風 紋ちらしのお玉2018/08/10


ひとり夜風

「ひとり夜風 紋ちらしのお玉」 河治 和香・著 角川文庫
シリーズ第2弾。柳橋芸者のお玉は、名だたる大名たちから贔屓にされる売れっ子だが、裏の稼業があった。男に抱かれては、その相手の家紋を刺青にして体に彫る。忘れられない男たちの思い出を体に刻み、それを千個集める“千人信心”の願をかけて。
前作同様、お玉の日々が描かれています。客の中には役者、学者などもいます。幕末を駆け抜けていく、時代を作っていく男たち、その陰にはお玉も関わっていることもあります。歴史に詳しい人はよくわかって面白いのかもしれません。私は有名な人しかわからなかったけど、楽しめました。続きはあと1冊で、最後はどういう風にもっていくのかと気になります。

神々の午睡2018/08/01


神々の午睡
「神々の午睡」 あさの あつこ・著  幻冬舎文庫
その昔、神と人が共に暮らす世界があった。ある日、雨の神に選ばれたばかりのシムが降らせた恵みの雨が、止まなくなってしまう。姉を心配し、彼女のもとへ向かった弟のリュイは、その原因がシムの恋にあることを知る。彼女は人間の若き細工師に一目惚れをしていた…。
六つの連作短編。昔は神と人間、その間にクウという存在があって、クウの中で選ばれたものが神になる。神話の世界のような話でした。
悲しい話もありました。カタカナの聞きなれない名前もあるけど、漢字で日本っぽい名前の人間も出てきて、日本の民話のような雰囲気もありました。

紋ちらしのお玉2018/07/28


紋ちらしのお玉

「紋ちらしのお玉」 河治 和香・著 角川文庫
花魁と違い、芸は売っても体は売らない。それが芸者。が、江戸・柳橋の売れっ子芸者、お玉は、お座敷に出る裏で、ひそかに男に抱かれている。身分ある武家や、時には大名の相手もする。そして相手の家紋を、気心の知れた女刺青師の多緒に、体のいちばん奥に彫ってもらっていた……。
幕末で、歴史上の人物も出てきて、お玉と関わりを持っていきます。肝のすわっている主人公が魅力的でした。芸者の生活や風習がわかります。
シリーズになっているようなので、次の本を読みたいと思いました。