まいまいつぶろ お庭番耳目抄 ― 2026/02/22

「まいまいつぶろ お庭番耳目抄」 村木 嵐 幻冬舎
青名半四郎、又の名を万里。徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えたお庭番は、何を見、何を聞いたか。隠密秘話。
麻痺を抱え、廃嫡も噂されていた九代将軍・徳川家重と彼の言葉を唯一聞き取ることができた側近の忠光の話「まいまいつぶろ」の完結編。
徳川吉宗の母・浄円院が孫の家重への想い。折り紙一枚も受け取るなと厳命された忠光の妻・志乃や、全てを見てきた隠密、万里の胸の内。家重をめぐる周囲の人々の話。
特に忠光は家ではどんな人だったのだろうかとか、隠密の万里に関しても、いろいろ知る事ができました。政治的に難しいこともありました。
家重の息子である家治の事も、少しわかりました。無口で超真面目な忠光の奥さんは大変だっただろうなと思います。家に帰っても、お城でのことは一切話さないみたいで、夫がどんな仕事をしているかも、よくわかってなかったみたいです。
家重と忠光の固い絆のまわりにも、多くの支えがありました。
春画で見るお江戸風俗考 ― 2026/02/10

「春画で見るお江戸風俗考」 春画ール 新潮文庫
春画は「芸術」だけで語れるのだろうか。描かれた絵に読者の欲望を見出した著者は当時の性文化と価値観を探求し始める。恋愛禁止の大奥、看護婦と軍人の秘密の関係。70点を超える秘蔵の春画を読み解く本。
絵も出ているので、電車の中では開きにくい本でした。江戸だけではなく明治時代の絵もありました。絵から浮かび上がる、当時の状況や、その絵の役割など、勉強になりました。葛飾北斎をはじめ、名だたる絵師たちが春画を描いているなぁとつくづく思いました。
離婚弁護士 松岡紬 ― 2026/02/07

「離婚弁護士 松岡紬」 新川 帆立 新潮文庫
北鎌倉。縁切寺として名高い東衛寺の門前に、松岡法律事務所はある。寺の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬のもとに、依頼人が駆け込んでくる。浮気・モラハラ・熟年離婚、上手に縁を切り、新しいスタートを切れるような条件を勝ち取っていく。
依頼人となる女性の話から始まり、専任の探偵で紬の幼なじみ、紬の父など、いろいろな視点から短編連作で綴られていきます。紬はインドア派でちょっと変わっている女性、おまけに人形のようにかわいいらしいです。テレビドラマにも向いていそうです。話はなんとなくまだ続けられそうにも思いましたが、どうなんでしょう。なかなか楽しく読めました。
まいまいつぶろ ― 2026/01/31

「まいまいつぶろ」 村木 嵐 幻冬舎時代小説文庫
徳川吉宗の嫡男である長福丸は身体にハンディキャップがあり、口がまわらず、誰も言葉がわからない。歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(かたつむり)などと呼ばれ、蔑まされる事もある。そんな長福丸の言葉を聞きとることができる、耳が良い兵庫が現れた。小姓として取り立てられて、長福丸・後の九代将軍徳川家重の通詞として、家重の側で生涯を共にする大岡忠光(兵庫)との2人の話。
大変面白くて、感動の話でした。それまでは誰も長福丸が何を話しているかわからなかったのに、兵庫はすぐに言葉を解して直後にスラスラと話す、正に同時通訳のような立場でした。長福丸(家重)の事を思いやり、それでも通訳以上の事をあえてせず、政には関わらず、でも良き友として側にいる存在でした。脳性麻痺だと思うが、知能は高いのに、誰にも理解してもらえない苦しさが、兵庫のおかげで救われます。2人の絆がとても良かったです。
それほど歴史に詳しくないので、吉宗は有名だけど、家重の事は知りませんでした。若き日の田沼意次も出てきて、大河ドラマの「べらぼう」はこの本の後の話なんだなぁと思いました。
姑獲鳥 はぐれ又兵衛例繰控十二 ― 2026/01/24

「姑獲鳥 はぐれ又兵衛例繰控十二」 坂岡 真 双葉文庫
南町奉行所の門前で水茶屋を営む甚太郎とおちよ夫婦に息子が生まれた。又兵衛が名付け親となり、小太郎と命名するが、ある日忽然とすがたを消してしまう。市井でも幼子の神隠しが続き、“姑獲鳥”の仕業と噂が囁かれる。又兵衛は小太郎を捜すうちに“姑獲鳥”の正体を知ることになる。
赤子がいなくなっている理由が何か、同じく孫が拐われた老役人、親友の長元坊も協力しますが、果たして生きたまま、救う事ができるのかとハラハラしました。他の話も面白かったです。
本所おけら長屋一 ― 2026/01/14

「本所おけら長屋一」 畠山 健二 PHP文芸文庫
本所亀沢町にある「おけら長屋」は騒動の宝庫だ。大家の徳兵衛、米屋奉公人の万造、佐官の八五郎、後家のお染、ひと癖ある住人が入り乱れて、毎日がお祭り騒ぎ。そんなおけら長屋に、わけあり浪人の島田鉄斎がやってくる。貧しいくせにお節介、そそっかしいけど情に厚い。そんな庶民が織りなす江戸の暮らし。
おけら長屋は貧乏長屋で、店賃をためている店子がいっぱいです。大家の家とは別に部屋は12ほど。ひとり者もいれば家族で住んでいる者もいます。困った時は大家さんか、ご隠居の与兵衛に相談したり、本当に落語のような世界でした。浪人の島田鉄斎は、剣の腕も見事だし、長屋の皆にアドバイスもしてくれます。毎日のように何かしら事件が起きているようです。貧乏長屋の割にはお酒を飲んだり、吉原に繰り出そうなんて言ったりしているので、借金はあってもいろいろできています。大きな家族のような繋がりがあって、協力したり、助け合ったりしていて、近頃は失いつつある近所づきあいを感じました。
お葉の医心帖 であいの柚子の木 ― 2026/01/12

「お葉の医心帖 であいの柚子の木」 有馬 美季子 角川文庫
町医者・道庵の診療所を手伝う少女・お葉。お灸や鍼を学びながら、真摯に患者に対応していたお葉は、無理が祟って倒れてしまう。休養に気を遣う中で、怪我をした猫の手当てをきっかけに、若い医師・林二郎と知り合う。いつしか惹かれ合うかに思えたが、林二郎には秘密が……。
シリーズ第5弾。お葉も19才になり、お年頃。この時代ではとっくに嫁に行っている年齢かも。5巻目で急に出てきた若者に心惹かれるものの、なんだか釈然としない態度の林二郎。同じ医学を学んでいるし、更に心に傷を持つ者同士、話も合うようだけど、すんなりはいかない様子でした。
他に脚気の男性の話や、火事で火傷を負った少女など、いろいろな患者との出会いと治療がありました。脚気は昔は大変な病いだったのですよね。
面白かったですが、次回が気になる終わり方でした。
成瀬は都を駆け抜ける ― 2026/01/09

「成瀬は都を駆け抜ける」 宮島 未奈 新潮社
京大生になった成瀬。一世一代の恋に破れた同級生、達磨研究会なるサークル、簿記YouTuber。新たな仲間たちと出会い、次なる目標に向かって成瀬は京都の街をひた走る。一方、東京の大学に進学した、幼なじみで親友の島崎のもとには成瀬から突然ある知らせが……。
大学生になったが、地元の滋賀県のパトロールも欠かさない。びわ湖大津観光大使の仕事もあるし、簿記の勉強、文通、取材に応じたり、京都を極めると言ってあちこち足を運んでいます。常に忙しい状態ながら、人間関係が広がって行きます。成瀬に対して、変わった人だと初めは思っても、いつの間にか仲良くなっていってました。変わっているけど、こういう人だとわかってくると、みんなが味方になってくれます。成瀬は真っ直ぐで真面目な人だと思います。小さい頃からの様子もわかって良かったです。幼なじみの島崎だけは、ちょっと特別な繋がりがあるように感じます。
面白いのでで、ずっと読んでいたくなります。
イクサガミ 神 ― 2026/01/04

「イクサガミ 神」 今村 翔吾 講談社文庫
最終決戦。東京は瞬く間に地獄絵図に染まった。「蟲毒」参加者は別々の場所からスタートし、都心の一角で双葉は、愁二郎たち京八流の仇敵、幻刀斎に出くわしてしまった。一方の愁二郎は当代最強の剣士と相まみえることに。残り9人、生き残るのは誰か。
4巻目にして最終章、デスゲームのゴールが描かれています。予想とは違うのか、誰と誰が戦うのかと、ハラハラした展開が続きました。小説の中の文章でハッキリした形で描かれていない部分は、えーどうなったの?と、想像するのが難しいところもありました。映像化されているので、そちらを見たらわかりやすいのかもしれません。とにかく、面白く最後まで読めたのは良かったです。ブログに書くのは遅れましたが、2025年最後に読み終わった本でした。

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