小さな星の奇蹟2018/01/20


小さな星の奇蹟

「小さな星の奇蹟」 メアリ・H・クラーク 新潮文庫
7年前、ソンドラは生んだばかりの娘を教会に置去りにした。子は偶然この教会に忍び込んだ泥棒に、ベビーカーごと連れ出された。成功目前の新進ヴァイオリニストとしてNYに戻ったソンドラは、自責の念と娘に会いたい一心で、リハーサルにも身が入らない。一方、詐欺で遺産を盗まれそうになっている友人を助けるために、アルヴァイラは、夫ウィリーの協力を得て調査している。ソンドラの苦悩を知って、娘の行方を捜すことも協力する……。
薄い本なんですが、登場人物が多いので、これは誰だったかなと、何度も確認してしまいました。そうは言っても先が気になって、あっという間に読めました。2つの出来事が微妙に絡み合っています。クリスマスの話なので、クリスマスシーズンに読むと良いと思いました。

サクラの音がきこえる2018/01/17



「サクラの音がきこえる あるピアニストが遺した、パルティータ第二番ニ短調シャコンヌ」 浅羽 なつ・著 メディアワークス文庫
偉大なピアニストだった亡き父を未だに憎む智也に遺されたのは、440HzのAというたったひとつの音を聴きとる絶対音感だった。今は音楽から離れ利屋を営んでいる彼の元へ、ある日突然金髪の若者、英治が転がり込んでくる。英治はワケアリの過去を持つ一文無し。帰るあてもないので、仕事を手伝いながら居候となる。そんな彼らの所に、音楽学校の女子高生・奏恵から「音楽で感動させてください」という依頼が舞い込む……。
便利屋の仕事と、人間関係が密接に関わりあって、音楽にもつながっています。お金持ちで高飛車な奏恵だけど、いつのまにか仲良くなっていくのが不思議です。音楽に翻弄されながらも、同じことを共有し、いつしか居心地の良い場所になっていきます。センチメンタルなところもあるけど、音楽に詳しくなくても楽しめます。

たまゆら2018/01/12


たまゆら

「たまゆら」 あさの あつこ・著 新潮文庫
1年前に人を殺めて消えた陽介を捜して、18歳の真帆子はある山へたどり着く。人の世と山の境界には、山へ入る人を迎え入れ、助けている伊久男と日名子という老夫婦が住んでいる。真帆子の話を聞いた日名子は、一緒に山へ行くことを決意する。そして、自らが背負っている過去を告白する……。
冬らしい小説を読もうと思って読み始めましたが、暗くて重苦しかったです。日名子の過去の事件が、恐ろしく、そこから逃れることができない夫婦は、それでも慈しみあって生きていきます。日本刀による殺人事件が出てくるのですが、昔の話と思えるけど、近頃も富岡八幡宮の事件があったばかりなので、いろいろ想像してしまいます。しかし、この話の中の犯人の気持ちはよくわからないままです。
運命の人と出会った瞬間は、やはりわかるものなんだろうと思います。前世での深い絆があって、会った瞬間にビビッとくつのでしょう。そういう経験がない人からいうとわからないものでしょうが。ソウルメイトというのを私はあると思っています。
最後のところがちょっとわかりにくかったので、読んだ人に感想を聞きたいと思いました。

玄冶店の女2017/12/31

玄冶店の女
「玄冶店の女」 宇江佐 真理・著 幻冬舎文庫
日本橋の玄冶店(げんやだな)と呼ばれる路地で小間物屋を営むお玉は、元花魁で29歳。まもなく身請けされた旦那とは縁が切れてしまう。近所の、芸妓屋の娘で8歳の小梅を妹や娘のように可愛がっていて、よく家を訪ねてくる。小梅の通う手習い所の師範・青木と出会い、惹かれあうようになるのだが、お武家と年上で花魁あがりの自分では、身分違いと思っている……。
お玉と同じ玄冶店に住み、ご隠居さんの世話を受けているお花や、小梅の三味線の師匠できっぷのいいお喜代など、仲がよくて助け合っている女友達の話や、お玉のところで働いているおまさなど、女たちが中心になった話でした。なんといってもお玉の性格が魅力的です。思いやりがあって、けなげに生きていますが、芯の通った人です。皆が慕ってくるのがよくわかります。
現代は不倫や愛人というと目の敵にされますが、この時代のお妾さんたちは、旦那様の家族にも敬意を払われていたりすることもあるように感じました。女たちも、自分の力で生活していくことが難しい時代で、やむにやまれずにお世話になっていることもあるようです。

怖いこわい京都2017/12/28

怖いこわい京都
「怖いこわい京都」 入江 敦彦・著 新潮文庫
千年の情念が積もり積もった都で暮す人々だけが知る京都の恐怖を紹介。“異形”や“幽霊”や“妖怪”などの京都奇譚。京都の人がみんな知っているわけではないと思いますが、歴史の中では、いろいろなことが起きていた場所だし、神社・仏閣が多いゆえに、所以のあることも多いと思いました。観光地京都とはまた違った一面や、京都人の考え方なども、うかがえます。

高砂 なくて七癖あって四十八癖2017/12/25

高砂 なくて七癖あって四十八癖
「高砂 なくて七癖あって四十八癖」 宇江佐 真理・著 祥伝社文庫
日本橋堀留町の会所の管理人、又兵衛とおいせは、持ち込まれる相談にのったり、夫婦喧嘩の仲裁をしたりして、ご近所のトラブルに心をくだいている。長年連れ添っている2人だが、実は又兵衛は三度の離縁、おせいも一度離縁された経験があり、正式には夫婦になっていない。
人情時代小説です。主に夫婦の危機を手助けしていきます。わかりやすい解決策があるわけではありません。又兵衛とおいせ、又兵衛の幼なじみ孫右衛門の協力もあって、少しずつ良い方向へ向かったり、良い兆しがありそうな話ばかりでした。熟年夫婦の思いやりが良かったです。

大家さんと僕2017/12/05

大家さんと僕
「大家さんと僕」 矢部 太郎・著 新潮社
お笑い芸人・カラテカの矢部太郎さんが引っ越した先は、1階に大家さんが住んでいる住宅。ご高齢でとっても上品な大家さんと親しくなっていく日々を綴ったエッセイ漫画。
独特なタッチで、絵がとても上手です。大家さんと矢部さんの毎日。家族というか、親戚のような不思議な関係です。
ほっこりすること間違いなしです。

インフェルノ 下2017/12/04

インフェルノ 下
「インフェルノ 下」 ダン・ブラウン・著 角川文庫
人類の未来を永久に変えてしまう、恐るべきゾブリストの野望。破壊的な「何か」は既に世界のどこかに仕掛けられた。WHO事務局長シンスキーと合流したラングドンは、目に見えぬ敵を追ってサン・マルコ大聖堂からイスタンブールへと飛ぶ。しかし輸送機の中でラングドンに告げられたのは、驚愕の事実だった……。
後半にいくにしたがって、映画との違いを感じます。イスタンブールあたりは、かなり違うし、シエナの立場や、シンスキーとラングドンとの関わり方など。登場人物も映画では出てこないような人もいます。
美術やダンテの「神曲」のことがわからなくても、するすると読めるけど、遺伝子の話になってくると、ちょっと難しさを感じました。そこも、わからなくても楽しめました。映画とは別な最終章を知ることができて、良かったです。映画もうまくまとめていたと思います。

インフェルノ 中2017/11/25

インフェルノ 中
「インフェルノ 中」 ダン・ブラウン・著 角川文庫
医師シエナとともにヴェッキオ宮殿に向かったラングドン教授は、ダンテのデスマスクを盗み出す不審人物の監視カメラ画像を見て、驚愕する。一方、デスマスクの所有者で大富豪のゾブリストは、人口増加が、この先に問題になるとして、自分の死後に実行されるように、過激な解決案を準備をしていた…。
本を読んでから、イタリアを訪れると、面白いでしょう。映画の方は、結構忘れていることも多いですが、本を読みながら、このシーンは、こんなに前の方だったかなとか、ここはなかったとか考えながら読んでいます。主人公の記憶がない間に起きたことが、わかってきました。話の中で本人はまだ思い出してはいません。舞台は水の都・ヴェネチアへ。さて、次はどうだったかな。