よろこびの歌2022/12/03



「よろこびの歌」 宮下 奈緒・著 実業之日本社ジュニア文庫
著名なヴァイオリニストの娘で、声楽を志す御木元玲は、音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる……。
高校では、誰とも交わろうとしない玲、他にもいろいろな立場の人がいて、主に6人のそれぞれを描いた青春群像劇です。スポーツが得意な人、音楽が得意な人、霊感が強い人等。自分は女子高でないので、ちょっと雰囲気が違うとは思いましたが、高校時代の事を思い出します。誰かに似ているかもしれない小説でした。イラストもあって、マンガと小説の間のようで、すぐに読み終わってしまいました。合唱コンクールに向けて、みんなで頑張るのかと思ったら、合唱コンクールはすぐに終わってします。でも、合唱コンクールをきっかけに、親しくなったり、考えが変わったりしました。多感な少女時代、自分だけが恵まれてないように思います。他人が羨ましい時期でもあります。自分も高校では合唱祭があった事を思い出しました。

みんなのナポリタン 食堂のおばちゃん92022/12/01


みんなのナポリタン

「みんなのナポリタン 食堂のおばちゃん9」 山口 恵以子・著 ハルキ文庫
「おばちゃんとこ、ナポリタンはやんないの?」焼き魚、ハンバーグ、串カツ、豚汁、オムレツ、ふろふき大根、カレー…昼は定食屋で夜は居酒屋。姑の一子と嫁の二三に、今や大黒柱になった万里の三人で営む佃の「はじめ食堂」は、庶民的で美味しい料理が評判だ。お客のリクエストで、なつかしのナポリタンもメニューに入れることに。一方、常連客の瑠美先生の告発記事が週刊誌に出てしまい…。
近所の美味しいパン屋さんを巻き込んだ話もありました。ここのパン屋さんは姉弟でやっているのですが、本で読んでいるだけなのに、美味しそうです。シンプルなパンで、はじめ食堂でも、使っています。
料理研究家の瑠美先生は、長年一緒に働いていたアシスタントが週刊誌に告発するのですが、事実とは違うのです。恋愛のもつれ、嫉妬などが原因のようですが、事実でないことでも週刊誌に書かれると打撃を受けます。有名人だから余計です。
ナポリタンの話が出てきて、食べたくなりましたので、今回は家で作って食べました。のっていたレシピとは違いますが、ごく定番の味です。ナポリタンスパゲティは、日本の良い発明ですね。

あなたとオムライス 食堂のおばちゃん82022/11/27



「あなたとオムライス 食堂のおばちゃん8」 山口 恵以子・著 ハルキ文庫
佃はじめ食堂の常連客でお酒も卸している辰浪康平は40歳すぎで気楽な独身。両親が息子の将来を心配して、代理婚活の会に入会した。子供の代わりに親同士が見合いして結婚相手を探すという。両親が気に入った女性とつき合い始めたが康平だったが……。
他に常連の後藤には、亡き妻との初デートで食べたオムライスの思い出があった。
酒屋の康平は当然ながら日本酒にめっぽう詳しく、料理にあったお酒をみんなにアドバイスしてくれます。それを読んで著者も日本酒が好きなのだろうなぁと思います。康平を想っている人も近くにいるのです。前からそうなんじゃないかと思っていたけど、年齢がよくわからなかったのです。康平本人は気がついていないところで、食堂のおばちゃんである二三は、なんとか良い雰囲気にならないかと、やんわりと後押しをしているのです。押しつけがましくなく、直接言ったりはしないのです。この後、どうなっていくのか気になるところです。
この本の巻末にはいつも料理のレシピも出ています。まだ一度も作ったことはないのです。
話は、コロナの話題も出てくるので、最近書いている内容なんですね。
実在の人や店の事も出てきます。なんだか、佃にはじめ食堂も実在しているのではないかと感じてきます。

倒産続きの彼女2022/11/22


倒産続きの彼女

「倒産続きの彼女」 新川 帆立・著 宝島社文庫
倒産の危機に瀕する老舗のアパレル会社・ゴーラム商会を救うため、弁護士の美馬玉子は先輩の剣持麗子とともに「会社を倒産に導く女」と噂される経理課の女性の身辺調査を行うことになった。ブランド品に身を包み、身の丈に合わない生活をしている彼女は、何か裏があるのではないか。ところが調査を進めるさなか、ゴーラム商会の「首切り部屋」と呼ばれる小部屋で死体が発見され…。
「元彼の遺言状」の新川帆立作ですが、主人公は剣持麗子ではなく、同じ弁護士事務所の美馬玉子、ちょっとブリッ子なしぐさをすることもありますが、苦労人のようです。おばあちゃんと2人暮らしです。剣持麗子も出てきて、活躍してくれました。次々といろいろな会社が出てくるので、ちょっと混乱しましたが、サラリと読めて楽しめました。

うちのカレー 食堂のおばちゃん72022/11/19



「うちのカレー 食堂のおばちゃん7」 山口 恵以子・著 ハルキ文庫
「うちのカレー」には、人それぞれの大切な想いがつまっている。近所の猫に手をひっかかれた二三の手は、パンパンに膨れ上がってしまい……。
調理師試験が近づき、万里は、なんと三人から湯島天神のお守りをもらったなど。
佃「はじめ食堂」を舞台にした、笑って泣いての人情小説。定番料理から、他のお店で食べて気に入った料理をアレンジしたり、昔の思い出の味を再現したり、進化を続けるはじめ食堂です。
万里くんの調理師免許取得もみんなで応援します。お店のためというよりも、万里くんの将来の為にということです。おばちゃんたちに教えられる事もあるし、のびのびと自分のアイデアで料理を作ったり、万里くんには、理想の職場だと思います。もとは作家志望で、いろいろなアルバイトをしたけど長くは続かず、今では両親も万里くんが持ち帰るはじめ食堂の料理を楽しみにしているのです。万里くんの同級生のメイさんも、長年わだかまりのあった祖父との関係が変わりつつあって良かったです。

犬のかたちをしているもの2022/11/11


犬のかたちをしているもの

犬のかたちをしているもの」 高瀬 隼子・著 集英社文庫
「子ども、もらってくれませんか?」彼氏の郁也に呼び出された薫は、その隣に座る見知らぬ女性からそう言われた。薫とセックスレスだった郁也は、大学時代の同級生に金を払ってセックスしていたという。唐突な提案に戸惑う薫だったが、故郷の家族を喜ばせるために子どもをもらおうかと思案して……。昔飼っていた犬を愛していたように、薫は無条件に人を愛せるのか。
あらすじを読んでも、へんてこりんな話だなぁと思います。同棲している恋人が、他の人と作った子どもをもらって育ててほしいというのです。恋人もその女性もおかしいです。主人公の薫は、子宮の病気になったこともあり、子どもができないかもしれないのです。だからと言って自分の子どもじゃないのに、育てるだろうか?ちなみにまだ妊娠中で、生まれていないのです。主人公が愛する人の子どもが欲しくてしょうがない状態ならともかく、ピンとこないのです。郁也は薫のことは好きだけど、自分の子どもは欲しいと思っているようです。こんがらがっている状況です。
妊娠中の女性も、時々会って、自分がどういう人間か知ってほしいと言うので、何度か会っています。子どもを引き取って育てるかどうか、普通は家族や友達に相談すると思うのですが、そうでもなく、不思議な心理状況でした。それでもなんがかひきつけられて読みました。
すばる文学賞受賞作。その後、「おいしいごはんが食べられますように」で、芥川賞を受賞しています。

うつくしが丘の不幸の家2022/11/08


うつくしが丘の不幸の家

「うつくしが丘の不幸の家」 町田 そのこ・著 創元推理文庫
海を見下ろす住宅地に建つ、築21年の3階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店2日前、近隣住民から、ここが「不幸の家」と呼ばれていると聞いてしまう……。
短編連作形式で、その家に住んだ人の話でした。お隣はおばあさんで、なかなか素敵な人です。不幸の家なのか、過去に遡りながら、話が進み、それぞれに意外な繋がりもありました。面白い構成です。
終わり良ければ総て良しな話で、どの話も読むのがちょっと辛い境遇だったりします。かわいそう、恵まれていない?と思いながら読んでいくと、だんだん心温まる話になっていきます。人とのつながりや、親切を受ける事もあります。家族でぶつかり合うこともあるけど、良い方向へ進んでいきました。面白かったです。

あの日の親子丼 食堂のおばちゃん62022/11/01


あの日の親子丼

「あの日の親子丼 食堂のおばちゃん6」 山口 恵以子・著 ハルキ文庫
「日替わり、牛スジ麻婆」「韓国風海苔巻き、初登場!」「定番の鰯のカレー揚げ」「締めは、茶がゆか親子丼」…姑の一子と嫁の二三、通いの万里の三人で営む「はじめ食堂」は常連客でいつも賑やか。そんなある日のランチタイム、お客の様子が、どうもおかしい。馴染みのOLの一人が、そっと耳うちしてくれた。「ネットにはじめ食堂の悪口が―」あることないこと、ネットに大量投稿されているという…。
シリーズ第6弾。
若い万里くんが、次々と新しい料理に挑戦し、エスニックや韓国料理など、日替わりで登場しています。特に若いOLさんには好評かもしれないです。スタンダードな焼き魚や煮魚も毎日あるから、多くの人から支持されると思います。そんか万里くんに引き抜きの話が持ち上がる話や、悪意あるお店の評価を入れられてしまいます。真面目にきちんと作っているのに、ネットの情報はなかなか消すことができませんから、今の時代は本当に大変だと思います。
親子丼の話は、はじめ食堂の近くに最近できた2つの店の店主が、関りがあるということが、明らかになります。伏線はありましたが、こじれているわけではないけど、みんながより良い関係になっていったら嬉しいです。これからの話に期待します。

マイ修行映画2022/10/29



「マイ修行映画」 みうら じゅん・著 文藝春秋
エッセイ×マンガでたどる7年間の「修行映画」鑑賞の記録。
映画館は著者にとって日常からの逃避の場であり、道場でもある。「自分に向いていない映画」を求めて劇場に通い、「つまらな……」が出そうになった瞬間「そこがいいんじゃない!」と唱えれば、あらゆる映画に「マイ価値観」が生まれる。『007』や『ミッション:インポッシブル』など人気シリーズ作品、『若おかみは小学生!』『君の名は。』などアニメ作品、『シン・ゴジラ』『ゴジラvsコング』など怪獣もの、『先生!、、、好きになってもいいですか?』『俺物語!!』などマンガが原作の青春もの、パニック映画、『科捜研の女―劇場版―』『劇場版おっさんずラブ~LOVE or DEAD~』などテレビドラマの劇場版……ほか、恋愛映画からホラー映画、大メジャー作からマニアックな作品まで、軽妙なエッセイと絶妙な似顔絵が楽しすぎるマンガで紹介。
雑誌「映画秘宝」連載だそうです。観た映画の感想もあるけど、かなり横道にそれていて、他の事も書いてありますけど、面白いのです。観たいと思っていない映画でも、修行と思って行くそうです。え、あなたがそんなの観るの?と思われるような映画にあえて行っている気がします。チケットを買うのは昨今は機械が多いでしょうが、みうらじゅん氏は、パンフレットも買うそうで、それを大きい声で言うのが恥ずかしい時があるとか。ボソボソとつぶやいていると、映画館の人が大きい声で繰り返して、周囲の人に注目されるとちょっと恥ずかしいようです。それも修行なのか。
マンガもあって、リアルな絵からギャグっぽくした絵もあります。ギャグっぽいマンガでも誰だかわかる絵が多いです。映画の話から、とりとめもなく、離れていってしまうことも度々、下ネタ満載で、こんな事書いて、大丈夫かということもあるけど、生真面目な本が多いこの頃なので、痛快でした。

真夏のやきそば 食堂のおばちゃん52022/10/23


真夏のやきそば

「真夏のやきそば 食堂のおばちゃん5」 山口恵以子・著 ハルキ文庫
海老フライ、大根バター醬油、餡かけの茶碗蒸し、ニラ玉豆腐、ホウレン草と豚バラの酒鍋、焼きそば……。
姑の一子と嫁の二三に、今や大きな戦力となった万里の三人で営む「はじめ食堂」は、今日も常連客の笑顔がいっぱい。
そんなある日、二三の娘・要が、最近毎日のようにランチに現れる男性を見て「四和ビル爆破事件の逃亡犯に、そっくり」だと言う……。
要は小さな出版社で編集の仕事をしていて、時々作家の先生を食堂に連れて来ます。接待というわけではないけど、電話して母と祖母に気楽に席を頼めて良いですよね。
今回の本ではムスリムのお客さんが来て、ハラールを希望されます。肉を避けて、野菜や魚をおすすめして、喜んでくれました。その時に、二三が、英語で対応して、万里が感心していました。二三はもともとは、大手デパートのやり手バイヤーだったので、海外出張もよくしていたそうです。夫が亡くなって、夫のやっていた食堂で、姑と働くことになりました。それに満足しているようです。万里の将来の事も考えて、調理師免許をとる事をすすめます。だからと言って、食堂に縛り付けるてもりもなく、大切に考えてあげているのが伝わってきます。