汚れたミルク あるセールスマンの告発2017/02/22

汚れたミルク あるセールスマンの告発
「汚れたミルク あるセールスマンの告発」 日本シネアーツ試写室(試写会)
1997年。大手グローバル企業が、パキスタンで粉ミルクを強引に販売する。不衛生な水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児が死亡する事件が発生。セールスマンのアヤン(イムラン・ハシュミ)は、自らの販売したものが子どもたちの命を脅かしていることを知り、企業を訴えようとする…。
ドキュメンタリーではないけど、実話映画。商品は欠陥商品ではないが、衛生的な水がない国では、害になる。そのことを知っていながら、利益のためにたくさん販売する巨大企業。アヤンは身の危険を感じながらも、人生をかけて正義を貫こうとした。
娯楽性は全くないけど、映画に見入ってしまいました。実際に苦しんでいる乳幼児たちが映し出されています。いろいろな圧力もあるようで、この映画はパキスタンや他の国でもまだ上映されていないそうです。映画を見るといろいろな要因もあることがわかります。公にならないままで、その後も子どもたちが危険にさらされているのです。日本での公開が世界初公開になるのだそうです。
社会派ドラマを撮るダニス・タノヴィッチ監督作品を初めて見ました。90分の映画ですが、濃密でした。

★★★★☆ 4

たかが世界の終わり2017/02/21

たかが世界の終わり
「たかが世界の終わり」 ヒューマントラストシネマ有楽町
12年ぶりに帰郷した劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)を、家族である母(ナタリー・バイ)、兄(ヴァンサン・カッセル)、妹(レア・セドゥ)が迎えた。兄嫁(マリオン・コティヤール)とは初対面で、妹は幼かった頃に別れたままだった。ルイは自分がもうすぐ死ぬことを伝えにきたのだが、家族の会話は、ひたすら続き、告白するタイミングが、みつからない。ピリピリとした家族の態度に、ルイは苦悩や葛藤を抱えながらも、過去の思い出が去来する。
温かな家族の話というよりは、バラバラで勝手な会話が続いていきます。特に兄は神経質で怖いくらいで、感情のコントロールができていないのです。妻にもきついことを言ってばかりいます。
何かを感じとって、不幸を避けようとしているのかもしれないですが、あまり説明がないので、よくわからなかったです。どうして12年前に出て行ったきりだったのかもハッキリとはわかりません。いろいろと想像はできます。そして、話は予想とは違う方向へ展開していくのです。おそらく見ている人が期待するのとは違っていると思います。
音楽の使い方と映像の組み合わせのセンスが抜群で、芸術的でした。特に冒頭の飛行機や空港のシーン、タクシーに乗って家に向かう道中の素敵な映像と音楽は、好みでした。
豪華出演者ばかりの家族がすごいですね。グザヴィエ・ドラン監督だったら、是非出演したいという俳優たちが集まるのだと思います。
設定としてはフランソワ・オゾン監督の「ぼくを葬る」を思い出したのですが、雰囲気は全く違う作品でした。

★★★★☆ 3-

ドラゴン×マッハ!2017/02/13

ドラゴン×マッハ!
「ドラゴン×マッハ!」 シネマート新宿
香港で闇の臓器売買ビジネスを展開している組織に潜入捜査をしているチーキット(ウー・ジン)は、正体がばれてタイの刑務所に監禁されてしまう。実はその刑務所こそが臓器売買の拠点だった。自らも臓器移植が必要な娘を持つ看守のチャイ(トニー・ジャー)は、そのことを知らず、所長(マックス・チャン)に娘の入院費を工面してもらっていたので、チーキットへの暴力を前にしても、見てみぬふりをしていた。しかし、事実を知ったチャイは、チーキットを助けることを決意する。
あらすじを簡単に書くとこんな感じだけど、すごく複雑なストーリーでした。
ちょっとネタバレ的に説明しますので、知りたくない人は以下を読むのはお控えください。
バディムービーといえばそうなのかもしれないけど、協力しあうのは後の方で、ずっと敵同士のような関係。おまけにタイ語と広東語で言葉が通じない。しかし便利なことにスマホの翻訳ソフトで話すことができるのです。娘のドナー適合者がチーキットなんだけど、それがわからないで、すれ違いもあります。組織のボスも心臓が悪く、特殊な血液型のために適合者がいないで、実の弟を狙っています。弟が香港警察に保護されたので、チーキットを取引材料に使われます。見せ場のアクションは次から次と繰り出され、カンフーとムエタイで、肉弾戦が中心です。グロいシーンもあるけど、アクション好きな人にはおすすめです。あまり笑いはなかったです。チャイの娘が外国の人と絵文字だけで会話しているところはちょっと笑えたけど。

★★★★☆ 4

僕と世界の方程式2017/02/09

僕と世界の方程式
「僕と世界の方程式」 YEBISU GARDEN CINEMA
自閉症のネイサン(エイサ・バターフィールド)は、他人とのコミュニケーションは苦手だが、数学に関してはずば抜けた才能を持っていた。息子の才能を伸ばそうと、母のジュリー(サリー・ホーキンス)は数学教師ハンフリーズ(レイフ・スポール)に指導を依頼。ネイサンは国際数学オリンピックのイギリス代表チームの一員に選ばれる。初めて自宅を離れ、台湾での合宿へ参加する…。
「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のエイサ・バターフィールドは、この映画でも目の青さが目立っていました。本当にきれいな目。子ども時代を演じたエドワード・ベイカー=クローズもすごく上手でした。この子も目がとても青かったです。
母は「ブルージャスミン」で主人公の妹役のサリー・ホーキンス。母と息子の物語が重要なポイントだったので、母役はとても良かったです。大好きだった父との別れがあり、母のことは卑下している息子。母は一所懸命なのに、想いが伝わらないのです。でも、台湾へ行って、いろいろな出会いがあり、特に女子と接近し、知らなかった感情を理解でき、成長していくのです。
自閉症で数学が得意となると「ザ・コンサルタント」とも関係づけて見れました。「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」も、普通の人とは違っていて、世間では受け入れがたいこどもたちです。そちらはファンタジーだけど、自閉症は少数派なだけです。すばらしい才能があるし、そういう性格・個性なのだと思います。
映画には魅入ってましたが、私はもっと数学の才能が開花してすごいことが起きるのかと期待していたので、ちょっと物足りない気もしました。

★★★★☆ 4-

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち2017/02/06

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」 TOHOシネマズ日劇
フロリダに住む、周囲になじめない少年ジェイク(エイサ・バターフィールド)は、大好きなおじいちゃんエイブ(テレンス・スタンプ)の謎の死を目撃する。おじいちゃんの残した言葉に誘われ、ある島を訪れると、1943年の同じ時間のループの中で生き続ける奇妙な子どもたちと、彼らを守っているミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)と出会う…。
空中浮遊する少女や、透明人間など、それぞれ特殊能力のある子どもたちの生活する場所という点では「X-MEN」シリーズを彷彿しました。
でも、そこはティム・バートン監督らしく、こだわりの奇妙さがあり、更に過去作品をイメージするものも、散りばめられていました。久しぶりにティム・バートン監督らしい作品になっていました。
日本がちょっとだけ出てきたのも、嬉しいですね。
ポスターなどでクローズアップされていたエヴァ・グリーンが出演していることは知っていたけど、よくみたらすごいメンバーが出ていてビックリしました。テレンス・スタンプ、ジュディ・ディンチ、サムエル・L・ジャクソン。主人公の少年は「ヒューゴの不思議な発明」のエイサ・バターフィールドくんだったのですね。順調に成長していました。現在公開中の「僕と世界の方程式」にも主演していて、気になる作品です。

★★★★☆ 4

ザ・コンサルタント2017/02/04

ザ・コンサルタント
「ザ・コンサルタント」 丸の内ピカデリー
表向きは会計士だが、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切っているクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、凄腕のスナイパーでもあった。
ある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な不正に気がつき、その秘密に近づいた経理担当のデイナ(アナ・ケンドリック)と共に命を狙われるようになる…。
2つの顔を持つ主人公は、自閉症で仕事では、膨大な資料から短時間に不正をみつけたり、天才的な能力を発揮します。命を狙われて、人もばんばん殺していっちゃうんだけど、よくできた脚本で、観客を飽きさせず、面白かったです。ベン・アフレックは役にピッタリとあっていました。
主人公の背景を知り、命を狙う黒幕を暴く、並行してウルフを追う捜査官がいて、ウルフが裏社会で儲けている目的や相棒など、いろいろなことが明らかになっていくのが楽しいです。アクションもいっぱいあって、スカッとしました。絵画を小道具にするのは、絵の好きな人はニンマリするかも。

★★★★☆ 4+

ドクター・ストレンジ2017/02/02

ドクター・ストレンジ
「ドクター・ストレンジ」 TOHOシネマズ日劇 3D
天才的な技術を誇る神経外科医スティーブン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、事故により両手の機能を失ってしまい、自暴自棄になる。藁にもすがる思いでたどり着いたのは、神秘に満ちた魔術の力だった。魔術の修行に励むストレンジは、強大な敵との戦いに巻き込まれていく…。
ご存知マーベル・スタジオのスーパーヒーロー物の一つだけど、魔術で戦うというのは、ちょっと珍しいですね。やはり映像の面白さがありました。こういう映画は大きいスクリーンで見るといいかなと思い、3Dで映画館鑑賞にしました。酔うってほどではないけど、上下感覚があっちこっちへ行く不思議な映像でした。パラレルや時間のとらえ方は難しいけど、あんまり深く考えないで楽しみました。
出演者もティルダ・スウィントンや、マッツ・ミケルセンなど、好きな人が多かったです。ベネディクト・カンバーバッチがマントを付けて、アクションするのは今までの映画のイメージとは違かったけど、かっこ良かったです。でもやっぱり「インセプション」を思い出してしまう映像です。予告編でも紹介されている部分なので、新鮮さはあんまりなかったです。今後、他のヒーローたちと、どう関わっていくのかは気になります。

★★★★☆ 4

恋妻家宮本2017/01/23

恋妻家宮本
「恋妻家宮本」 東宝試写室(試写会)
ひとり息子の正が結婚して、2人きりになった陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)の宮本夫婦。2人は大学時代に出来ちゃった婚で結婚したため、50歳にして初めて夫婦ふたりきりでの生活を送ることになる。そんなある日、陽平は美代子が隠し持っていた離婚届を見つけてしまう。
優柔不断な夫を阿部寛が好演。中学教師なので、教師としてのシーンもあります。そして料理教室に通っていて、料理シーンもいっぱいありました。その料理教室の話も面白かったです。
「家政婦のミタ」「女王の教室」などの脚本家・遊川和彦の初監督作品だそうですが、とてもよくできていました。自信を持って皆さんにおすすめできる映画だと思います。笑いあり、涙ありでした。エンディングまで面白いのです。
原作は重松清の小説「ファミレス」だそうですが、ファミレスが要所要所に出てきます。それはデニーズなんですが、全面的に協力しているのでしょうね。
この映画のポイントは秀逸なタイミングです。いろいろな面白いタイミングがあって、笑えました。
挿入歌の吉田拓郎「今日までそして明日から」も良かったです。

★★★★☆ 4+

ネオン・デーモン2017/01/22

ネオン・デーモン
「ネオン・デーモン」 TOHOシネマズ六本木
モデルを夢見て、ロスアンゼルスにやってきた16歳のジェシー(エル・ファニング)。人を惹きつける天性の魅力を持つ彼女は、すぐに一流デザイナーや有名カメラマンの目に留まり、順調なキャリアを歩みはじめる。嫉妬が渦巻くなか、ジェシー自身も野心に目覚め、狂気の渦に巻き込まれていく。
監督は「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン。スタイリッシュな映像美で、きらびやかなファッション業界の裏側を描いています。もちろん、実際のファッション・モデルの世界がその通りだとは思えませんが、究極の美を追求するモデルたちの大変さ、恐ろしさがクローズアップされていて、ちょっとホラーっぽかったです。
モデルたちは、みんな美しく、エル・ファニングも、あどけなさも残る独特の存在でした。
妄想と現実があいまいになり、美しくもせつない寓話のような映画でした。予想とはどんどんかけはなれた展開になっていきました。
ジェシーが滞在しているモーテルの職員役でキアヌ・リーブスも出演していました。
好みが分かれる映画だと思いますが、私はなんだかすごい映画を見ちゃったという気分でした。

★★★★☆ 4+

エリザのために2017/01/21

エリザのために
「エリザのために」 ユーロライブ(試写会)
イギリス留学を控える娘エリザを持つ医師のロメオ。ある朝、登校途中に暴漢に襲われたエリザ。大事には至らなかったが、ショックで留学の最終試験に影響を及ぼしてしまう。ロメオは娘を合格させるために、ツテを頼って奔放する。そんな父に娘は反発する。ロメオには検事官の捜査の手が迫ってきていた。
ひとつの事件をきっかけに、ガラガラと崩れていく日常。父親は娘を愛しているのはわかるけど、娘にとっては幻滅することばかりです。ルーマニアが舞台ですが、賄賂や不正が横行している国のように見えました。
この作品は2016年カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。クリスティアン・ムンジウ監督は他にも過去にパルムドールや脚本賞を受賞している、すごい監督みたいです。
映像の中の天気は悪く、いつも暗いイメージでした。ちょっと難しくて、どのように理解していいのかわからなかったです。

★★★☆☆ 3