ゴッホ展 巡りゆく日本の夢2017/11/01

ゴッホ展
「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」 東京都美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、パリ時代からアルル時代前半にかけて、浮世絵や日本に関する文献を集めるなど、日本に高い関心を寄せていました。逆に、ゴッホの死後、日本の芸術家や知識人が、この画家に憧れ、墓のあるオーヴェール=シュル=オワーズを巡礼していたのだそうです。ゴッホの油彩画やデッサン約40点、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点、他関連資料の展示でした。ゴッホの生の絵と、浮世絵も見れる不思議な展示でした。

阿蘭陀西鶴2017/11/01

阿蘭陀西鶴
「阿蘭陀西鶴」 朝井 まかて・著 講談社文庫
江戸前期を代表する作家・井原西鶴。彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。一方、西鶴は、身勝手で騒動を巻き起こす困った男。傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、何にでも興味津々で、妥協はせず、父の性格や本心を知っていくと、父への想いが変わり始める。
「好色一代男」「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は、もともとは俳諧師だったのですね。松尾芭蕉や近松門左衛門と同時代を生きていて、芭蕉をライバル視していたみたいです。
盲目の娘・おあいを語り手に、西鶴の人物像、親娘関係、現代に残る物語が書かれた裏側を知ることができます。
料理上手で、なんでもできるおあいは、読み物は読めないけど、父が書きながら朗読するので、たくさんのこと知る事ができます。暗い中でも裁縫ができ、灯りがないと何もできない普通の人の方がかえって不便ではと思っているところがあって、確かにそうだと思いました。でも、そんなおあいが、買い物に出て、道がわからなくなった時は、ハラハラしました。個性的な父親だけど、亡き妻やおあいを想う気持ちがわかってくると、良い人だったと思います。おあいもけなげな娘でした。

女神の見えざる手2017/11/02

女神の見えざる手
「女神の見えざる手」 TOHOシネマズシャンテ
特定の団体の利益をはかるため、議員に働きかけて議会での立法活動に影響を与え、さらにマスコミや世論も動かすロビイスト。敏腕ロビイストのエリザベス・スローン(ジェシカ・チャスティン)は、所属する大手ロビー会社が銃擁護派団体と組むことに反発。部下4人を引き連れて会社を移籍し、銃規制法案を可決させるべく天才的な戦略を駆使する…。
ロビイストという職業は、主にアメリカ映画で見たことはあるけど、日本ではそれほど馴染みがないです。でも政治の世界では、きっとそれらしい参謀的な人はいると思うし、今後はもっと広がると思えます。
先日も、ラスベガスで乱射事件が起きたばかりだから、銃を規制しようとしないアメリカは、おかしいです。日本人で良かったです。
とにかくジェシカ・チャスティン演じるミス・スローンがかっこよくて、頭の良い会話がポンポンと飛び出します。ハイヒール姿も美しくて、何から何まで綿密に考えています。だから、伏線もいっぱいあるので、このセリフの意味は、後に何かあるのだろうと思い、何から何まで疑ってみてしまいます。そういう意味では、単純に楽しめないかもしれません。手段を選ばない主人公に、性格的な問題や、薬の依存も気にかかります。それでも、とても面白かったです。結果に納得できて、日本映画にはない内容とテンポが良かったです。
ロビイストという職業に興味が湧くし、勉強になります。一歩先を予測して、行動しなくては。いや、それだけではなく、先の先まで読まなくては。

★★★★☆ 4

筑前煮風2017/11/04

実家にて
実家に寄ったら、母が煮物を作っていました。子どもの頃は、嫌いだったけど、今はこういう母の味が懐かしいです。
野菜、椎茸、こんにゃくの入った煮物。ヘルシーで美味しいです。

明治文壇観測―鴎外と慶応3年生まれの文人たち2017/11/05



特別展「明治文壇観測―鴎外と慶応3年生まれの文人たち」
文京区立森鴎外記念館

千駄木にある森鴎外記念館が、開館5周年だそうです。何度か前を通ったことはあったのですが、今回は入ってみました。森鴎外の本は、ほとんど読んだことがなくて、詳しくないのですが。

開館5周年記念で、エントランスで、ライアー(竪琴)コンサートを開催していたので、聴いてきました。ライアー奏者の三野友子さんの演奏で、森鴎外にちなんで、ドイツの楽曲を中心に演奏していました。天井に反響してきれいな音楽を聴けました。
森鴎外記念館は、明治25年・鴎外が30歳の時から60歳で亡くなるまで住んでいた場所に建てられています。とてもきれいな記念館でした。

展示の方は、明治を代表する文豪たち夏目漱石、幸田露伴、尾崎紅葉らと、鴎外との交流についてです。


館内にある“モリキネカフェ”で、休憩しました。

年賀切手特印とJAPEX2017北欧切手展2017/11/05

来年の年賀切手の特印。JAPEX2017北欧切手展の小型印。

セブン・シスターズ2017/11/06

セブン・シスターズ
「セブン・シスターズ」 シネマカリテ
2073年、人口過多と食糧不足から政府は厳格な一人っ子政策を発令し、2人目以降の子どもは親元から引き離されてて冷凍保存されてしまう。そんな世界で偶然生まれた7つ子(ノオミ・ラパス1人7役)は、週に1日ずつ外出し、共通の人格を演じることで監視の目をくらませてきたが、ある日、7人のうちの1人、マンデー(月曜日)が帰宅しなかったことから、姉妹の日常が次第に狂い始めていく。
一卵性7つ子といっても個性はバラバラ、家に帰ると思い思いの服装で過ごす。マンデーからサンデーまで、それぞれ曜日の名前が付いていて、その曜日にだけ外に出るようにしている。隠れて生きる子どもを摘発する機関・児童分配局があり、いたるところに検問所がある厳しい監視社会。小さい頃から祖父(ウィレム・デフォー)によって、生き延びる方法を教育されて育つ。
「ブレードランナー2049」が良かったし、SF映画をまた見たくなりました。設定が興味深かったし、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のノオミ・ラパスが演じるなら、見てみたいと思いました。児童分配局を仕切り、政策を推進してきたケイマン博士役はグレン・クローズで、配役も良かったです。7人一緒にいるシーンもあるし、自然に映っていて、映像も楽しめました。7人それぞれに特技があって、それを生かしています。ただ、結構グロいところも多くて、アクションも過激でした。あまり女の子向けではないです。話の内容は想像していた方向に進んでいくのだけど、女ならではの、嫉妬や欲望もあるし、姉妹でも秘密があって面白かったです。

★★★★☆ 4

シンクロナイズドモンスター2017/11/07

シンクロナイズドモンスター
「シンクロナイズドモンスター」 ヒューマントラストシネマ渋谷
ニューヨークで職を失い、お酒を飲んで失敗ばかり、同棲中の彼氏に愛想尽かされてしまったグロリア(アン・ハサウェイ)。しかたなく生まれ故郷の田舎町に帰ってくる。そんなおり、韓国ソウルで謎の大怪獣が出現したというニュースが世間を騒がせていた。テレビに映し出された怪獣の映像を見たグロリアは、ある異変に気づく。それは自分の動作が巨大怪獣の動きと見事にシンクロしているという驚きの事実だった。
なぜか巨大怪獣を操ることができるようになってしまって、初めは面白がっていたけど、トラブルに巻き込まれていく…。
そのへんに納得できる説明もなく、変わった映画でした。美しく仕事ができそうなアン・ハサウェイなのに、この映画の中では、いつも酒に酔っては、寝てばかり。なんだかもったいないのです。前半は特に映画もモタモタしているように感じました。ありえない設定は映画だから、それも良いと思うのだけど、主人公の心情もよくわからず、他の人も急に人が変わってしまう気がします。B級感が漂う映画です。製作総指揮にアン・ハサウェイも名を連ねています。しかし、ダメダメ女子で、カジュアルなファッションでも、アン・ハサウェイはやっぱり美しいのです。

★★★☆☆ 3-

ローガン・ラッキー2017/11/08

ローガン・ラッキー
「ローガン・ラッキー」 ニッショーホール(試写会)
足が不自由で仕事を失ったジミー・ローガン(チャニング・テイタム)は、まもなく開催されるNASCARレースのさなかに大金を盗み出すという大胆な計画を練る。戦争で片腕を失った元軍人でバーテンダーの弟クライド(アダム・ドライヴァー)と、美容師でカーマニアの妹メリー(ライリー・キーオ)を仲間に加え、爆破のプロで刑務所に服役中のジョー・バング(ダニエル・クレイグ)に協力を求める。
一攫千金を狙ったクライムストーリー。
どこまで考えられていたのかわからないけど、むこうみずに、マイペースで大金をせしめようとする話。ダニエル・クレイグの方も弟2人を巻き込むのだけど、この2人はおバカキャラでした。
監督は「オーシャンズ11」シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ。同じような犯罪映画だけど、こちらはプロ感がなくて、精鋭集団ではないので、大丈夫なのかとハラハラします。犯罪の全体像もよくわからないので、ちょっと難しい気もしました。主要メンバーは映画好きなら興味が湧く豪華さです。そういえばチャニング・テイタム主演の「マジック・マイク」の監督はソダーバーグだったから、再タッグなんですね。よく見ると、ジミーの元妻役にケイティ・ホームズ、FBI役にヒラリー・スワンクも出ていました。エア・シューターでお金を送る設備に目をつけるのだけど、自分が昔の職場で使っていたのでちょっと懐かしかったです。その時は気送子(きそうし)と呼んでいたけど、気送管を使って送るカプセルのことが気送子というみたいです。とても便利なものでした。
話がそれましたが、単純に笑ったりスカッとしたりする映画ではなく、じっくり見て考える映画でした。あれはどうだったのかとか、見た人同士で話し合いが必要な気がしました。

★★★★☆ 4-

五郎治殿御始末2017/11/09

五郎治殿御始末
「五郎治殿御始末」 浅田 次郎・著 中公文庫
幕末維新の激動を生き抜いた武士像を描く時代短篇集。
映画化された「柘榴坂の仇討」も収録。
桜田門外の変から13年。御駕籠回り近習として主君・井伊直弼を守ることができなかった志村金吾は、 明治維新を経た後も、ひたすら仇を探し続けてきた。ついに見つけた刺客の生き残りは、直吉と名を変え、俥引きに身をやつしていた。仇討禁止令が布告されたその日、雪の降り積もる高輪の柘榴坂で、 二人の男の運命が交錯する。
短編集なのに、一つの話を一気に読めない場合もあって、登場人物がどんな人だったかを、すぐに思い出せず、また前の方から読み直したりしました。幕末維新で、武士の時代が終わってしまうことにとまどい、考え方を変えなければ生きていけない男達の物語でした。映画になった「柘榴坂の仇討」は見ていません。映画にするには短い話だけど、「鉄道員(ぽっぽや)」や「ラブ・レター」なども、短編から映画にしているから、それなりの長さになっているのでしょうね。