喋々喃々2014/08/29

喋々喃々
「喋々喃々」 小川 糸・著 ポプラ文庫
東京・谷中でアンティークきもの店を営む栞(しおり)。ある日店にやってきた男性客に次第にひかれるようになる。しかし、その男性は結婚している。栞の恋愛や家族とのかかわり、ご近所さんとのつきあいなど、おいしいものをまじえて、丁寧に描かれる。
喋々喃々(ちょうちょうなんなん)とは、男女が楽しげに小声で語り合うさまだそうです。
「食堂かたつむり」を描いた著者なので、食べ物の描写が詳しくて、おいしそうです。「食堂かたつむり」が良かったので、他の本も読みたいと前から思っていたのです。なかなか機会がありませんでした。主人公にはせつない過去があるのは共通なのかな。着物が好きな人にも面白いと思います。谷中、根津、千駄木(いわゆる谷根千)あたりの雰囲気は好きなので、風景が目に浮かびます。知っているところもいっぱいあるけど、今度ここに行ってみようかなと思う所もありました。谷根千だけじゃなく、湯島や鶯谷、浅草あたりも出てきます。最後には地図も出ていて便利です。いわゆる不倫の話なんだけど、栞さんの丁寧な生活ぶりや、心の持ち方が魅力です。