楽園 上・下2017/05/24

楽園
「楽園」 上・下 宮部 みゆき・著 文春文庫
未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。
そんな滋子にある女性から奇妙な依頼が舞い込んだ。その女性の息子は12歳で亡くなっているが、ある事件の絵を、事件が発覚する前に描いている。どうしてそういうことができたのか、超能力か。かくして16年前の少女殺人事件について、調査を開始する。
「模倣犯」の続編というよりは、スピンオフ小説という感じです。少女はなぜ殺されたのか、そのことを12歳の少年が、知っているのは何故か。前畑滋子はフリーライター。「模倣犯」の事件で、有名になったものの、特別な著書は出していない。事件を調べていくうちにいろいろな疑問が浮かび上がって、読者も滋子と同じように、疑問だらけの状態から、少しずつ真実が見えてくるというものでした。取材能力はさすがはプロでした。でも、ほとんどの部分は調査で、最後の方まですっきりとはわからなかったです。その途中で、いろいろな人間関係が広がっていくのは、面白かったです。