銀二貫2011/11/10

銀二貫
「銀二貫」 髙田郁・著 幻冬舎時代小説文庫
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちの現場にでくわし、父親を亡くした少年・鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のために、寄進するためのお金だった。引き取られ松吉と名前を改めた少年は、寒天問屋の丁稚として、商人の厳しい躾と生活に耐えてく。信心深い番頭は寄進するお金を使ってしまったことに腹を立てて、松吉に冷たくあたるが、同じ丁稚の梅吉は松吉の良い理解者となっていく。仕事を通じて知り合った料理人・嘉平とその娘・真帆にも教えてもらうことも多く、松吉は新しい寒天作りを志す。しかし、またしても大火が町を襲う…。
長きにわたる話です。辛いことも多いですが、出会った人々に助けられて、もともと武士の子どもだった松吉が、商人として成長して行く物語です。関わる人々の義理・人情に泣かされます。松吉のように純粋で真面目な人は今どき少ないでしょう。主や番頭さんを家族のように大切にするのです。心がきれいな人の話を読んで、こちらも良い気分になります。読みながら幸せを願ってしまいます。寒天って奥が深いんですね。