日本橋本石町やさぐれ長屋2022/03/25



「日本橋本石町やさぐれ長屋」 宇江佐 真理・著 講談社文庫
日本橋の裏店に集う、一癖もふた癖もある住人たち。堅物の大工・鉄五郎、気の強い出戻りのおやす、老母の面倒に悩むおすぎ、旦那が仕事場から帰ってこなくなったおとき。貧乏でお節介な老若男女が不器用に生きる。すると、長屋の取り壊しが決まり……。
連作短編集。長屋の住民たちのあれこれ。特別な主人公はいないけど、各家に小さなドラマがあります。江戸時代の話だけど、介護問題や、夫の浮気など、現代にも通じる話です。出てくる人も、目立った人はいません。良い人だけど、気難しい人だったり、正にごく普通の人々の話。でも面白いのです。殺人や斬り合いはないから、アレっと思うけど、そうだこの本は、橋周り同心じゃない、宇江佐真理さんの本だったと、事件を待ってしまいました。