光をくれた人2017/02/24

光をくれた人
「光をくれた人」 アキバシアター(試写会)
第1次世界大戦後のオーストラリア。孤島ヤヌス・ロックに灯台守として赴任した帰還兵トム(マイケル・ファスベンダー)は、美しいイザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と出会い結婚、幸福な日々を過ごす。しかし、妊娠したイザベルに悲劇が襲う。そんな中、ボートで男性の死体と赤ん坊が流れ着く。赤ん坊の面倒をみたイザベルは、離れ難くなり、トムを説得し、わが子として育て始める…。
美男美女の夫婦で、マイケル・ファスベンダーは、愛情深い夫を好演。アリシア・ヴィキャンデルはかわいらしかったです。心情や状況を表しているような波面や自然が雄大で美しいのです。幸福な日々が続いていくかと思うとそうではなく、誠実ゆえに良心の呵責に悩みます。
悪意は誰にも存在していなくても、うまくいかないことがあるのです。泣けてしまう話でした。反面、幸福がただ長続きするだけでは、映画にならないものかなとも思いました。トムは傷ついて戦争から帰ってきて、イザベルによって救われ、イザベルは夫の深い愛を知るのです。

★★★★☆ 4+

クローディアの秘密2017/02/24

クローディアの秘密
「クローディアの秘密」 E.L.カニグズバーグ・著 岩波少年文庫
12歳のクローディアは、周到に計画して、家出を決意する。9歳の弟を誘い、メトロポリタン美術館に隠れることにした。数々の問題が起きるものの、美術館の生活にも慣れてくる。その美術館では最近購入した天使の像が、ミケランジェロの作品かもしれないと話題になっていた。専門家でも難しいこの問題を、クローディアは、弟と2人で真偽を確かめようとする。
子ども向けの本だけど、美術館が舞台でミケランジェロ作品にまつわるミステリーと思って読んでみました。昼間は来館者に混じって過ごしたり、外に行って図書館で勉強したり、夜に、こっそり噴水で水浴びもしていました。展示品のベッドで眠り(そんなことしていいのと思いましたが)、冒険が詰まっていました。弟もしっかりとしています。家出の原因は、長女ゆえの日々の不満や、何かを成し遂げたいという冒険心などが、入り混じっています。子どもから、大人になるための成長の物語という感じがしました。心配している親の気持ちは、とりあえず置いといて、都会でのかくれんぼです。調べてみたら「クローディアと貴婦人」というタイトルで1973年に映画化されていたそうです。イングリッド・バーグマンも出演していました。