春を嫌いになった理由2012/05/18

春を嫌いになった理由
「春を嫌いになった理由(わけ)」 誉田 哲也・著 光文社文庫
フリーターの秋川瑞希は、テレビプロデューサーの叔母からTV出演のため来日するブラジル人の通訳を依頼される。語学力を生かせる絶好の機会と思ったが、話を聞いてみるとマリア・エステラは霊能力者だという。瑞希は過去の経験から、霊能力や超能力を嫌悪しているのだ。しかし強引な叔母に押しつけられ、通訳兼世話役として手伝うことになる。番組は霊能力者を読んで、公開捜査などをする「解決!超能力捜査班」というもので、心霊スポットや未解決事件の現場に行ってエステらが霊視する。幽霊の目撃情報のある場所へスタッフと共に出かけると、近くのビルの上に死体があるという。調べてみると白骨化した死体が発見される。一方、中国から日本に密航してきた兄妹の話が並行して語られる。密航途中に命を落とす人もいる危険な状況や、日本に来ても入管や警察の目をかいくぐる生活、殺し屋の存在など、過酷な状況が兄妹に襲いかかってくる…。
結構エグいところもあるのですが、読みやすくて面白くて、やめられなくなってしまう本でした。出張の日の朝に1ページ目を開いたのですが、帰りにはほとんど読み終わっている状況でした。ミステリーの要素もあるし、瑞希のトラウマを取り除いていくような成長の話でもあるような、エステラや叔母の人柄なども魅力的だし、最終的に行きつく先のまとめ方も、うまいなぁと思いました。