やがて来たる者へ2012/05/30

やがて来たる者へ
「やがて来たる者へ」を観てきました。
第二次大戦下のイタリア・ボローニャ近郊の山村。8歳のマルティ-ナは、生まれたばかりの弟が亡くなったショックで、口をきかなくなっていた。
忍び寄る戦争の緊張はあるが、つましくも家族と過ごす日々は淡々と流れていく。母がまた妊娠して、心待ちにする家族たち。しかし、徐々に戦況が悪化していく。地元の若者はパルチザンに加わり、ドイツ軍に抵抗する。村の近くでもたびたび爆撃があり、教会や山に逃げ込む村人たち。母は男の子を無事に出産するが、直後にドイツ軍は、パルチザンを掃討する作戦を開始する。実際に起こった事件をもとに、幼い子どものまなざしで戦争をとらえた物語。
描かれているのは1944年に起きたマルザボットの虐殺。ボローニャ近郊の山村で起きたナチス・ドイツ軍による虐殺事件。何の罪もない多くの子どもや女性、老人が殺されたのだ。
昨年公開していた映画ですが、名画座のギンレイホールで上映となりました。公開時も観たいと思ったのですが、テーマが重そうなので、避けてしまいました。でもやっぱりずっと気になっていて、また上映していることを知り、行ってきました。確かに観ていて苦しい映画でした。後半になるとだんだん息苦しくなるような感じです。ドイツ軍の人もやさしく笑っていて、普通の若者なのです。どうしてこのような悲劇があるのか、先が予測できるのに、何もできない気持ちでやきもきしてしまいます。ただ、この映画は悲劇だけではなく、希望の光を灯すような映画なんです。そして、マルティーナを演じている女の子がなんとも美しくて、この少女が映画の魅力にもなっています。観に行って良かったと思える映画でした。
28日に入ってきたニュースでシリアで32人の子どもを含む108人が殺害された事件がありました。この映画の事件が過去のものではないのです。現在までも絶え間なく続き、多くの犠牲者が生まれていること。繰り返してはならないことを訴えている映画なのに…。
このタイトルにも、未来への願いが込められていると思うのです。

★★★★☆