真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒2012/05/11

真夜中のパン屋さん2巻
「真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒」 大沼 紀子・著 ポプラ文庫
都会の片隅で深夜だけ営業している不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」。オーナーの暮林とパン職人の弘基。事情により店の2階に居候している女子高生の希実。
そのパン屋に現れた佳乃と名乗る美女は、なんと弘基の元カノだという。行く場所がないと言う佳乃に、暮林は2階に住まわせてくれるのだが、彼女には秘密があった…。
“まよパン”シリーズ第2弾です。前作では、希実がおしかけてきて居候になったわけだから、始まり方は似ています。今回の本は短編形式に区切ってはありますが、全体に佳乃のことで1つストーリーになっています。合間に挿入されている丁寧なパン作りの方法が、五感をくすぐります。実際は視覚だけなんだけど、匂いや食感が想像できそうに書いてあります。クロワッサンが食べたくなるような小説です。他のパンやパンにまつわる行事も出てきます。1巻目に登場した人物も今ではファミリーのようになっていて登場し、活躍してくれます。希実が自分の居場所をみつけていく様子や、妻の死から立ち直れていない暮林も変わってきていることがわかります。主人公は希実なんでしょうけど、登場人物たちをつないでいるのは、暮林の亡き妻・美和子なんだなぁと感じさせました。今後、3巻以降も出るのではないかと思いますが、続きも読んでいきたいです。