別離2012/04/18


別離

「別離」を観てきました。
テヘランに住む家族の物語。11才の娘テルメーの将来のために国外移住を考える妻・シミンと、認知症の父親をおいていけない夫・ナデル。離婚調停を申請し、妻は実家へ。ナデルは父の面倒をみてもらうためにラジエーという女性を雇う。ラジエーは小さな子供がいて、一緒に通ってくる。ナデルが仕事をしている間は、父をラジエーにみてもらう。ある日、ナデルが帰宅すると、ラジエーの姿がなく、父親がベッドから落ちて気を失っていた。ラジエーにも事情があったようだが、怒ったナデルはラジエーを追い出し、その日の給料も払わなかった上に、盗みを疑っていた。ラジエーはそんなことはしていないと、玄関でひと騒動ある。その夜、ラジエーが入院したことを聞いて、妻のシミンと一緒に病院へ行くと、ラジエーは流産していたという。ラジエーの夫は、ナデルともめたことが原因だと知り、訴えをおこす。ナデルはラジエーが妊娠していたことは知らなかったし、そんなに強く押していないと、2組の夫婦は家族を巻き込んで対立していく…。
アカデミー外国語映画賞受賞作品です。「別離」は一昨年鑑賞した「彼女が消えた浜辺」のアスガー・ファルハディ監督。前作同様に、心理劇という感じがします。ラジエーもナデルも憎み合っているわけではないし、それぞれ善人なんだけど、どんどん絡まっていきます。秘密や嘘が交差し、誰もが愛する人のことを思っているのに、なかなかうまくいかない話なんです。映画を観ている観客は、それぞれの気持ちがわかって、なんとかうまく納まらないだろうかとハラハラして見守ります。両親を別れさせたくない娘の気持ちや、身重な体で介護が大変なラジエーの気持ち、父を思うナデルの気持ち。奥さんだって、決して自分勝手な人なわけじゃないのです。しかし、イランの人ってきれいです。宗教的なことが、日本の常識と違うことに驚きますが、介護や離婚問題、家族を愛する気持ちなどは、国は関係ないですね。

★★★★☆

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