魂のまなざし2022/07/29



「魂のまなざし」 Bunkamuraル・シネマ
モダニズムを代表する画家のひとりとして近年、世界的に注目を集めるフィンランドの画家ヘレン・シャルフベックを描いた伝記映画。1862年に生まれ1946年に没した彼女の生涯のうち、その後の画業と人生を決定づけた1915年から1923年の8年間の時代を描いた。1915年、高齢の母親とともに田舎で暮らす画家のヘレン・シャルフベック(ラウラ・ビルン)は、世間からはすでに忘れられた存在だったが、湧き出る情熱のために絵を描き続けていた。そんな彼女のもとに、ある画商が訪ねてきたことから、運命は大きく転換する。画商はヘレンが描きためていた159点の作品を見いだし、大きな個展開催に向けて動き出す。そして、画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイター(ヨハンネス・ホロパイネン)との出会いが、ヘレンの人生にさらなる転機をもたらす。
抑えた色のトーンで絵を描く画家に合わせてか、映像も抑え目な色合いでした。構図や光の加減が美しかったです。まるで絵画を観賞しているような気分です。緑の多い庭や海など自然も良いし、部屋の中に光が差している様子など、北欧絵画を彷彿させます。静かな話とモダンな絵画、モダンな風景でした。
主人公ヘレンは、絵を描きたいけど、なんだか苦しそうです。おとなしい人なのかと思えば、激しい一面もあります。そして驚くのは、お母さんが彼女より兄を大切に扱い、それが当たり前になっていることです。北欧なら近頃は女性政治家が多数いて、男女平等の精神なのかと思ったら、男性優位で驚きました。その時代だからということもあるし、ヘレンの家庭が特に強いのかもしれません。その感じは韓国を思い出します。長男が絶対で、収入も長男のもの?家の雑用は女の仕事という感じでした。ヘレンは画家として認められていて、収入もあるのに。母娘の関係も、難しいのです。絵と同様、愛してはいるけど、反発してしまうのです。そんなヘレンにもとても心強い親友がいます。親友との関係が良かったです。

★★★★☆ 4