隠居すごろく2022/07/16



「隠居すごろく」 西條 奈加・著 角川文庫
巣鴨で六代続く糸問屋の主人を務めた徳兵衛。還暦を機に引退し、悠々自適な隠居生活を楽しもうとしていた。釣りに行っってみたり、いろいろ始めてみるが、しっくりこない。そんな時に孫の千代太が訪れる。千代太は心優しい子どもで、困っている人を見るとほっておけない。初めは犬を拾ってきて、徳兵衛に飼うように言うの、もっと人間に目をむけるように諭すと、困っている子どもたちを連れてくる。
子どもと親の事情を知り、更に困っている子どもたちが増えていくと、なんとかならないかと、まるですごろくのように、どんどん徳兵衛の運命が変わっていく。
最後の方に、いろいろな問題が畳み掛けるように解決していったように思いますが、途中までは困ったことが山積みでした。隠居の徳兵衛は、仕事仕事で、商売を続けてきて、いざゆっくり過ごそうと思ったら、そうもいかず、難問を抱えます。でもそれは、みんなの役に立って、本人も置き忘れてきた過去の反省を正すきっかけとなりました。江戸人情話で、良かったです。