古道具屋 皆塵堂2018/10/18


古道具屋 皆塵堂

「古道具屋 皆塵堂」 輪渡 颯介・著 講談社文庫
浅草阿部川町の道具屋の長男・太一郎は、長男なのに弟が店を継ぐと決められ、小さい頃から奉公先を盥回しされていた。しかし、弟が病死したことで、急遽跡取りとなる。道具屋の修行のため深川の皆塵堂(かいじんどう)という古道具屋で修業することになるが、その店主の伊平次は、釣りばかりしている呑気そうな男で、いわくのある品々を何でも引き取ってくる店だった。太一郎は人には言えずにいたが、幽霊が見えるため、首吊りや夜逃げのあった家から家財道具を仕入れている皆塵堂では、大変な毎日に悩まされる。幼馴染みで棒手振り巳之助や小僧の峰吉らとともに、不思議な出来事に巻き込まれながらも、問題を解決していく……。
連作短編形式で読みやすいです。成仏できない幽霊が出てくるから、怖いかといえばそうでもなく、軽妙な語り口で、意外と明るいです。主人公の太一郎はどちらかと言うとヘタレキャラで、水と猫も苦手で、ビクビクとしています。やる気のなさそうな店主も、実は人情家で、太一郎が成長するためのトリガーをひいてくれます。
表紙や登場人物紹介のイラストが可愛らしく、どんな人かを想像しやすくて良いです。皆塵堂の小僧の峰吉は客あしらいが上手で、子どもらしく愛らしい笑顔で接客するのに、客じゃないとわかると、急に人が変わったようになり面白いです。他の登場人物もみんなキャラが立っていて、わかりやすいです。
シリーズの1巻目にあたりますので、これから読んでいこうと思います。