運命は踊る ― 2018/10/08

「運命は踊る」 ヒューマントラストシネマ有楽町
テルアビブで暮らすミハエル(リオル・アシュケナージ)とダフナ(サラ・アドラー)夫妻のもとに、軍の役人が息子ヨナタン(ヨナタン・シライ)の戦死を知らせにやってくる。ダフナはショックのあまり気を失い、ミハエルは平静を装いながらも役人の対応にいら立ちを覚える。やがて、戦死は誤報だったことが判明。ミハエルは怒りを爆発させ、息子を呼び戻すよう要求する。一方、ヨナタンは国境の検問所で、どこか間延びした時間を過ごしていた。ある日、ヨナタンは若者たちの乗る車を取り調べするが……。
イスラエル・ドイツ・フランス・スイス合作。最愛の息子が亡くなったと思って、苦しむ夫婦を見ているのは、とても息苦しい。しかし、息子の方の毎日は、不思議なテンポの世界で、ゆったりと目の前をらくだが通り過ぎていきます。4人の若者兵士たちの毎日が映し出されていきます。前線で危険と隣りあわせという感じでもないのだけど、そこはやっぱり戦争で、油断していると驚く展開が待っています。
「運命は踊る」というのは邦題だけど、実際に運命に翻弄される家族の話でした。原題は「フォックストロット」ダンスのステップの事で、前へ、前へ、右へ、ストップ。後ろ、後ろ、左へ、ストップ、結局同じ場所に戻ってくるという暗示的なタイトル。
ヨナタンの母が若くて美しいと思ったのと、カメラワークが独特で、真上からのシーンが多くて、それがスタイリッシュで良かったです。
そして、ヨナタンが描く漫画のような絵本のようなイラストが、シュールで好きです。

★★★★☆ 4+
雪華燃ゆ 上絵師律の似面絵帖 ― 2018/10/08

「雪華燃ゆ 上絵師律の似面絵帖」 知野 みさき・著 光文社時代小説文庫
上絵師として、初めて着物を手がけることになった律。粋人として名を馳せる雪永が親しい女に贈るものだ。張り切って下描きを仕上げる律だが、なかなか良い返事がもらえない。そんな中、ある女から金を騙し取ったという男の似面絵を引き受けるが……。
シリーズ第3弾。想い人から気持ちを伝えられ、良いムードと思いきや、なかなか話はすすみません。雪永が着物を贈る女性に会わせてもらい、着物を仕上げることができるのかというのが、この本の中心でした。話はすすまないながらも、いろいろと変化が少しづつ起きていて、律も上絵師として、成長しているのだろうと思います。
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