この世界に残されて2020/12/30


この世界に残されて

「この世界に残されて」 シネスイッチ銀座
ナチスドイツにより約56万人ものユダヤ人が虐殺されたと言われるハンガリーを舞台に、ホロコーストで心に深い傷を負った孤独な男女が年齢差を超えて痛みを分かち合い、互いに寄り添いながら希望を見いだしていく姿を描いたハンガリー映画。1948年。ホロコーストを生き延びたものの家族を失った16歳の少女クララ(アビゲール・セーケ)は、42歳の寡黙な医師アルド(カーロイ・ハイデュク)と出会う。クララはアルドの心に自分と同じ欠落を感じ取り、父を慕うように彼に懐く。同じくホロコーストの犠牲者だったアルドも、クララを保護することで人生を取り戻そうとする。しかしソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱くように。そして2人の関係も、時の流れと共に変化していく。
それほど、盛り上がるような大事件は起きない静かな映画でした。クララ、初めは幼く見えたけど、きちんと化粧すると、とても色っぽく美しくなります。医師のアルドと、患者だったクララは、親子のような、恋人のような絆を築いていきます。
クララがアルドのもとに押しかけてきて、一緒に生活するようになります。クララと孤児院で再会して引き取ってくれた親戚のおばさんは、良い人のようだし、逃げてくるという感じでもないのですが、精神的にも不安定で、反発ばかりしているクララを、アルドは受け入れてくれます。おばさんも、アルドと生活するのを許してくれます。アルドも心に傷を負っていて、気力を失っているのです。表情もなく、何を考えているのかわからないです。それゆえに、見る人の解釈にゆだねられてしまうと思うけど、年齢は離れているけど、クララのことを愛しく思っていることはわかります。2人で身を寄せ合って、生きようとするのです。語らなくても、伝わってくる映画でした。とても良かったです。

★★★★☆ 4