朝が来る2020/10/30


朝が来る

「朝が来る」 TOHOシネマズ日比谷
栗原夫妻(井浦新・永作博美)は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳で出産した子を、夫妻のもとへ養子に出すことになったひかり(蒔田彩珠)は、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。
河瀬直美監督らしく、日本的な自然と光が秀逸です。奈良や広島の美しい風景と、対極にあるような東京のタワーマンション、どちらも日本を象徴している風景です。
なんといっても、主要メンバーの役者さんが良いのです。井浦新、永作博美、蒔田彩珠、そして浅田美代子も見直してしまうくらい、おっとりと堂々としていて素敵でした。セリフは少なくても、それぞれの心情が伝わってきます。悩みに悩んだ末に、養子を迎え入れる決心をした夫婦。周囲が望まない妊娠をしてしまう、まだ幼い少女。リアルでもあるし、ちょっとミステリアスなところもありました。
冒頭の方でいきなり、ママ友がちょっと怖かったです。全体的には重苦しい雰囲気もあって、明るい気持ちになるのは少ないですが、小さな光を求めていくような映画でした。とても良いものを観たような気分です。

★★★★☆ 4