黄昏に眠る秋2020/10/20


黄昏に眠る秋

「黄昏に眠る秋」 ヨハン・テリオン・著(三角 和代・訳) ハヤカワミステリ文庫
霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。それから20数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。イェルロフは、自責の念を抱いて生きてきた次女で少年の母のユリアとともに、ふたたび孫を探しはじめる。長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた二人を待つ真実とは?
エーランド島はバルト海にあるスウェーデン領の島、夏は観光客が来るものの、イェルロフやユリアの住んでいたあたりは、荒涼とした人の少ない場所のようです。その自然豊かな様子と、ミステリアスな内容が、面白かったです。
あまり明るくはないです。子どもが行方不明のまま20年以上、その子どもの母も祖父も、亡くなった祖母も、後悔をかかえています。あの時、目を離さなければと。事故か誘拐か、なぜ今頃になって、靴(サンダル)が送られてきたのか、体も不自由になって、ホームで暮らしているイェルロフが、調べていきます。
ユリアは、嘆き悲しみ続けていて、それほど調査に協力するわけではありませんが、なんとか立ち直ろうとしています。犯人と思われる人の、過去のシーンと現代のシーンが順番に語られます。映画にしたら良さそうです。