夏空白花2019/08/21


夏空白花

「夏空白花」 須賀 しのぶ・著 ポプラ社
1945年夏、敗戦。全てが無くなった今こそ、未来を担う若者の心のために、戦争で失われていた「学生野球大会」を復活させなければいけないと考えた者がいる。ボールも、球場もない。それでも、もう一度甲子園で野球がしたい。戦争で亡くなった仲間のために、これからの日本に希望を見せるために。「会社と自分の生き残りのため」という不純な動機で動いていた記者の神住は、人々の想いと祈りに触れ、全国を奔走するが、そこに立ちふさがったのは、「学生野球」に理解を示さぬGHQの強固な拒絶だった…。
昨年発売された本だけど、甲子園で高校野球をやっている今読むのにちょうど良い本です。戦争が終わってすぐ、食べるにも事欠く状態なのに、学生野球がみんなの希望となると考えて復活させ、現在までもずっと続いているのだなぁ。高校野球は今年101回と言っていたから、戦前から始まっているのですね。優秀な投手に贈られる沢村賞の沢村栄治の事も出てきました。名前くらいしか知らなかったけど、こういう選手だったのかと知りました。沢村栄治は日本プロ野球史上に残る伝説の速球投手で、戦前のプロ野球界で活躍。戦死しているのですね。
この小説は敗戦から始まるので、生きている姿では出てこないのですが。
他のスポーツと違って、野球は何か特別で、多くの人が熱狂して応援していたのですね。今はサッカーなど、他のスポーツも盛んだし、今後、バスケやラグビーなども今より盛り上がっていきそうです。
戦争当時は娯楽も少なく、応援することで多くの人を楽しませていました。でもよく考えると、グローブやボールは高価だし、揃いのユニフォームを着るのも、大変な時代だったと思います。苦労があったことがわかりました。