白洲次郎 占領を背負った男2010/05/10

白洲次郎 占領を背負った男
「白洲次郎 占領を背負った男」(北康利・著)を読みました。
白洲次郎、最近はNHKでドラマ化もされていますが、妻は当代の目利き
として有名なエッセイストの白洲正子。
カリスマ夫婦としても有名ですが、この本は白洲次郎の評伝です。
明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。
戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。
しかし、彼は表舞台には立たずに、日本の将来を考えて大きな権力に
対しても、臆せずに果敢に立ち向かう人でした。

英国仕込みのダンディな紳士ぶりも素敵ですが、皆が恐れをなすような人
にケンカ腰しでも議論するのに、目下の人にこそ優しいところが良いです。
キャディさんや車の運転手さんにきちんとお礼を言ったり気を使う人なん
です。吉田茂首相のことは「じいさん」と呼んだりしますが、男気ある人
が好きで、この人のためならと、ほれこんだ人には尽くしています。
先に娘さんが書いた「次郎と正子」という本を読んだので、家庭人として
の白洲次郎のことを知ったのですが、実際の功績を知らなかったので、
この本を面白く読みました。わかりやすい本でした。
後に首相になる池田勇人や宮沢喜一、細川護熙等の若かりし頃が出てきた
り、鳩山一郎(鳩山由紀夫の祖父)や麻生太郎の母も出てきます。
そう考えると、戦後がそれほど昔ではないことがわかります。
今は(も)政権を執ることや、役職に就くことが目的になっている政治家
が多く感じますが、白洲次郎は重要な役割を担っているのに、自分は権力
を欲せず、賄賂や特別な待遇を嫌い、戦後の日本の復興を考えた人であっ
たと思います。