秋螢 立場茶屋おりき52020/11/23



「秋螢 立場茶屋おりき」  今井 絵美子・著 ハルキ文庫
「茶屋や旅籠の商いも至って順調です」―おりきは先代の墓参りに訪れた寺で、四十絡みの品のある面長な顔をした男性とすれ違った。もしや先代の一人息子ではと思ったが、声をかけることはできなかった。その晩、おりきは前に記憶喪失となって、おりきのもとにいた武士・鬼一郎の胸に抱かれている夢をみた。鬼一郎の身に何かが起こったのではと心配になるが…。
シリーズ第5弾。読みやすいので、どんどんこのシリーズを読み進めています。一度、陰間茶屋へ売られたものの助け出された三吉が、新しい道に進むために、旅立っていきます。もう15歳くらいになっていて、少しづつ時が流れ、メンバーの顔ぶれも変わっていきます。今まで読んでいた時代小説とは違った言葉が多く出てきているように思います。おりきの言葉遣いも、~しようぞとか、武家の生まれということもあって、時々独特です。よく出てくるのは“おてちん”、これはおりきの周りの人がよく使って、おりきに助けや意見を求めてきます。どうにもならないということですが、お手上げ という感じに近いと思います。今ではあまり使わない言葉もいろいろと出てきて、新鮮です。

ホモ・サピエンスの涙2020/11/23


ホモ・サピエンスの涙

「ホモ・サピエンスの涙」 ヒューマントラストシネマ有楽町
この世に絶望し信じるものを失った牧師、戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル、これから愛に出会う青年、陽気な音楽にあわせて踊る若者……。
構図・色彩・美術など細部に至るまで徹底的にこだわり抜き、全33シーンをワンシーンワンカットで撮影。「千夜一夜物語」の語り手シェヘラザードを思わせるナレーションに乗せ、悲しみと喜びを繰り返してきた不器用で愛おしい人類の姿を万華鏡のように映し出す。
スウェーデンの奇才ロイ・アンダーソン監督作、2019年・第76回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した作品です。(2020年の銀獅子賞は日本の「スパイの妻」でしたね。)
「さよなら、人類」で、シュールな世界にハマりました。このチラシの写真はまるでシャガールの絵画を思わせますね、公開をとても楽しみにしていました。抑えた色調と、絵画のような構図が、素晴らしいです。人生の一場面が、短くつながっているような、大きなストーリーはないのですが、時々、繋がりがあります。不思議だったり、ちょっとおかしかったり、場面がモザイクのようです。レストラン、バー、駅、歯医者、道の上など、ドラマチックではないけど、なんだかもう一回観たくなります。絵画鑑賞をしている気分でした。バーの窓の外に雪が降っているシーンが、印象的です。

★★★★☆ 4 


初日の来場特典で、右のステッカーを貰いました。左は前売特典の缶バッチです。