サマーフィルムにのって2021/09/17



サマーフィルムにのって

「サマーフィルムにのって」 シネマカリテ
高校の映画部、自分の撮りたい時代劇が作れずに、くすぶっていたハダシ(伊藤万理華)の前に、武士役にぴったりの理想的な男子、凛太郎(金子大地)が現れる。彼との出会いに運命を感じたハダシは、幼なじみのビート板(河合優実)とブルーハワイ(祷キララ)を巻き込み、個性豊かなスタッフを集めて映画制作に乗り出す。文化祭での上映を目指して順調に制作を進めていくハダシたちだったが、実は凛太郎の正体は未来からタイムトラベルしてきた未来人で……。
主人公はハダシ、仲の良い友達にビート板とブルーハワイというのは、みんなニックネームなのか。映画部で文化祭に発表するのは、他の人の作品になっていて、撮影に入っています。ハダシたちは、他のクラブの子を巻き込んで、自分の脚本作品を撮ることにします。キャスト、スタッフを合わせても8人くらいです。剣道部、天文部、野球部など、資金もないので、アルバイトをして、低予算で作ります。
時代劇、SF、青春ストーリーでした。いろいろ詰め込んでいます。そのせいか、短絡的で、都合の良い展開が続きます。おまけにダドタドしい感じでした。でも、そこが味が合って良いのかもしれないです。私はちょっとハマらなかったです。悪いわけでもないけど、若い高校生でやる気が空回りしているっぽいところなど、気恥ずかしいです。そういえば、自分も高校時代に、クラスで映画を撮ることになったことを思い出しました。内容は覚えていないけど、クラスメイトが書いた脚本でした。自分は特に参加したという記憶がないです。何か手伝ったのかもしれません。
未来人が出てくるのは、作中にも登場する「時をかける少女」に影響を受けているのかなと思いました。

★★★☆☆ 3+

ドライブ・マイ・カー2021/09/13


ドライブ・マイ・カー

「ドライブ・マイ・カー」 TOHOシネマズ錦糸町オリナス
舞台俳優で演出家の家福悠介(西島秀俊)は、脚本家の妻・音(霧島れいな)と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。
村上春樹の短編小説「女のいない男たち」に収録されている同名の短編から映画化。上映時間179分、つまり3時間なので、尻込みしていたけど、休日にゆっくり観てきました。冒頭から、惹きつけられて、長さは感じずに面白かったです。長くても必要なシーンの連続だったのかとも思いました。物語の重要な部分を担う、若手俳優役の岡田将生くんを初め、良い役者が揃っていました。
家福が演出する事になった広島の演劇祭で上演される舞台が、独特で国際的なものでした。いろいろな言語がミックスされて、韓国人の女性は、手話でセリフを言います。その表現力が、すごいです。劇中劇が、現実にもリンクしているようです。
「永い言い訳」を思い起こしました。ドライバーを演じる三浦透子さんが、すごく良かったです。心に傷を負った人たちが、閉じ込めていたものを開放して、再生していくように思いました。もちろん西島秀俊さんも良くて、シルエットがいつもかっこいいです。ファッションがあっていたし、赤い車も魅力的です。終わり方は、いろいろ想像できますが、人によって見方が変わるかもしれません。

★★★★☆ 4+

テーラー 人生の仕立て屋2021/09/08



「テーラー人生の仕立て屋」 角川シネマ有楽町
ギリシャ、アテネ。父の代から高級スーツの仕立て屋を営んできた寡黙なニコス(ディミトリス・イメロス)。そんな中、不況がギリシャを襲い、店は銀行に差し押さえられそうになり、父は倒れてしまう。途方に暮れたニコスは、手作り屋台で、移動式の仕立て屋を始めることを思いつく。しかし、道端で高級スーツはまったく売れなかった。そんなある日、ウェディングドレスの注文がニコスに飛び込んでくる。紳士服一筋だったニコスは、隣人の母子に手伝ってもらい、女性服の仕立てを学びながら、人生初めてのウェディングドレス作りに挑戦する……。
テーラーなので、手先が器用なのかもしれないけど、大工仕事も得意で、自分で木材や車輪を集めてきて、屋台を作っていました。寡黙で顔が濃い主人公が見どころです。セリフは少ないけど、ミシンの音や喧噪など、賑やかな音は響いていました。高級スーツを作る技術ですから、ドレスも丁寧に作れるのですが、おそらく、かなり安く買い叩かれいるようです。店にお客が来ないで、収入がないよりは、外で積極的に注文を取っていくのも方法ではありましょうが、丁寧な仕事をするニコスには割が合わないように思います。
ニコスをはじめ、スーツがとても良かったです。お父さんとその友人2人が、いかにもオーダースーツで、柄の入った生地、カフスや胸ポケットのチーフ、おそろいのネクタイなど、おしゃれでした。
近所の女の子ともともと仲が良くて、その母親と親密になるけど、旦那さんがいる人、どうなるのかなぁと、先が予測できなかったです。話の持って行き方は、期待とは違ったけど、好きなタイプの映画でした。

★★★★☆ 4

シャン・チー テン・リングスの伝説2021/09/06


シャン・チー テン・リングスの伝説

「シャン・チー テン・リングスの伝説」 TOHOシネマズ日比谷
犯罪組織を率いる父(トニー・レオン)に幼いころから厳しく鍛えられ、最強の存在に仕立て上げられたシャン・チー(シム・リウ)。しかし心根の優しい彼は自ら戦うことを禁じ、父の後継者となる運命から逃げ出した。過去と決別し、サンフランシスコで平凡なホテルマンとして暮らしていたシャン・チーだったが、伝説の腕輪を操って世界を脅かそうとする父の陰謀に巻き込まれていく。
トニー・レオンが見たくて鑑賞。マーベルシリーズとは、ちょっと独立している感じもしましたが、これから関わっていきそうです。昔の香港映画のような、カンフーっぽい戦いが、見どころ。それにしても、バトルシーンが多かったです。香港映画で活躍していたミシェル・ヨーもアクションしているのも、嬉しいです。オークワフィナも共演。そういえば「クレイジーリッチ」では、ミシェル・ヨーとオークワフィナ2人とも出ていたなぁ。ベン・キングスレーも出ていました。
中国らしい雰囲気でした。細かい事は、おかしいと思う事があったけど、迫力あるスピーディーなアクションで、飽きさせません。楽しかったです。

★★★★☆ 4

沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家2021/09/05


沈黙のレジスタンス

「沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家」 TOHOシネマズシャンテ
1938年、フランス。アーティストを夢見る青年マルセル(ジェシー・アイゼンバーグ)は、兄アランや従兄弟のジョルジュ、思いを寄せるエマと共に、ナチスに親を殺されたユダヤ人の子どもたちの世話をしていた。パントマイムを通して子どもたちの笑顔を取り戻したマルセルだったが、ナチスは日ごとに勢力を増していく。ついにドイツ軍がフランス全土を占領。マルセルは子どもたちを安全なスイスへ逃がす決意する。
「パントマイムの神様」と呼ばれたフランスのアーティスト、マルセル・マルソーが第2次世界大戦中にユダヤ人孤児を救ったエピソードを映画化。
この手の映画はいくつもあるけど、ちょっと重い内容でした。それほどリアルというわけではないのでしょうが、ドイツ軍の残酷さがわかる内容でした。
実在のマルセル・マルソーがどのように関わったのか、興味がありました。ジェシー・アイゼンバーグ良かったです。でも見終わったら、ちょっと陰鬱な気分となりました。ハラハラとするシーンもあり、緊迫感ありました。こんな事が繰り返されないように。いいえ、今も繰り返されているのだろうと思います。命をかけて、正しい行動する勇気があるかと言えば、自信がないですが、侵略者に対し、抵抗するレジスタンスの事を、自分の身を守るためや、お金を得る為に、タレコミをしてしまう人々が哀しいです。孤児たちを匿う、家族や教会は崇高です。

★★★☆☆ 3+

岬のマヨイガ2021/09/03


岬のマヨイガ

「岬のマヨイガ」 TOHOシネマズ上野
事情により家を出た17歳のユイ(声:芦田愛菜)と、両親を事故で亡くしたショックで声を失った8歳のひより。それぞれ居場所を失った2人は、不思議なおばあちゃん、キワさん(声:大竹しのぶ)と出会い、岬に建つ古民家「マヨイガ」で暮らすことに。そこは“訪れた人をもてなす”という、岩手県に伝わる伝説の家だった。マヨイガとキワさんの温もりに触れ、2人の傷ついた心は次第に解きほぐされていく。そんなある日、「ふしぎっと」と呼ばれる優しい妖怪たちがキワさんを訪ねてマヨイガにやって来る。
震災の爪痕が残る東北、心に傷を負った少女たちが、キワさんとその仲間たち(民話に出てくる河童や、座敷童など)に出会い癒され、家族になっていくという良いお話でした。でも展開がスローだし、なんだかもの足りなかったです。東北の民話をおり込んで、日本昔話みたいなところがあります。人物があまりかわいくないと思いました。声は良かったです。

★★★☆☆ 3-

オールド2021/09/01


オールド

「オールド」 ユナイテッドシネマ浦和
ホテルの案内で美しいプライベートビーチにやってきた数組の家族。それぞれが楽しいひと時を過ごしていたが、次々と不穏な事件が起こる。6歳の少年だった息子が、少し目を離したすきに急成長していた。やがて彼らは、それぞれが急速に年老いていくことに気づく。ビーチにいた人々はすぐにその場を離れようとするが、なぜか意識を失ってしまうなど脱出することができず……。
「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督が、異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー。
細かい事を気にしなければ、面白かったです。ミステリアスでもあり、ちょっとホラー。中心となる家族の父親役がガエル・ガルシア・ベルナルでした。
なぜ、時間が速く過ぎる場所なのか、そこに連れて来られた目的は何か、それがわかっても、理由や原因がちょっと弱い気がします。しかし、実際そんなことがあったらと思うと恐ろしい場所です。一生があっという間に過ぎてしまいます。来ている人達は、それぞれにクセが強いです。そんなにしなくても良いのにと思いました。省略しても良いと感じるところが多いです。
その割には短い映画で108分しかありません。シャマラン監督も出演していました。
ありえない設定だけど、映画ならではの面白さで、結構楽しめました。

★★★★☆ 4-

Summer of 852021/08/28


Summer of 85

セーリングを楽しもうとヨットで沖に出た16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーブル)は突然の嵐に見舞われ転覆し、18歳のダヴィド(バンジャマン・ボワザン)に救出される。2人は友情を深め、それはやがて恋愛感情へと発展し、アレックスにとっては、それは初めての恋となった。そんな2人は、ダヴィドの提案で「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てるが、ダヴィドの不慮の事故により、2人の時間は終わりを迎える。生きる希望を失ったアレックスを突き動かしたのは、ダヴィドとあの夜に交わした誓いだった。
1980年代、フランスの海辺、ほんの数週間の恋が、一生忘れられないものとなる、とても素晴らしい話でした。ファッションや音楽など、ノスタルジックで、ちょっと昔の映画を見ているような感じもするけど、とても洗練されていました。話もよくできています。原作はフランソワ・オゾン監督が、若かりし日に読み影響を受けたというエイダン・チェンバーズの小説「おれの墓で踊れ」。ダヴィドが亡くなった後と、2人が出会った頃が、交互出てきて、ダヴィドは、どうしたのか、何があったのか、想像しながら観ました。ミステリーではないけど、その時、何があったのかと、だんだんと明らかになっていきます。
なんといっても、主役の2人が魅力的で、美しかったです。同性愛もきれいに描いていました。ダヴィドの死後、アレックスが情緒不安定に陥っているのも、理解できます。自由な性格のダヴィドに警戒しながらも、魅かれてしまうのも、わかるわかるという感じです。バイクで乗り2人で、出かけたり、映画を見に行ったり、セーリングしたり、短い間に幸せな日々が胸にせまります。気に入りました。
フランソワ・オゾン監督の作品は15作くらい観ていたけど、その中でも、好きな作品となりました。

★★★★☆ 4+

モロッコ、彼女たちの朝2021/08/26


モロッコ、彼女たちの朝

「モロッコ、彼女たちの朝」 TOHOシネマズシャンテ
地中海に面する北アフリカの国モロッコ。臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア(二スリン・エラディ)。イスラーム社会では未婚の母はタブーとされ、美容師の仕事も住居も失ってしまった。ある日、彼女は小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ・アザバル)と出会い、彼女の家に招き入れられる。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘との生活を守るため心を閉ざして働き続けていた。パン作りが得意でおしゃれなサミアとアブラ母娘は、心を通わせていく……。
未婚の母に対して、世間の目が厳しいのは、イスラーム社会のせいなのか、大変そうです。今の日本だったら、そこまで思い悩むことはないでしょう。みかねて助けたアブラだったけど、そんなに親切にしてあげません。最低限だし、なるべく早く出ていくように、母と娘の生活に、介入してほしくないという感じでした。娘の方はとっても、可愛らしい子で、すぐにサミアと親しくなります。お国柄で、いろいろ大変だと思うし、モロッコの生活の様子が見れたのは良かったです。ファッションも独特です。出てくる料理は、どんな味がするのだろうと思います。特にルジザという、パンなのか、パンケーキなのかよくわからないけど、麺のように細いのをまとめて丸くして焼いていました。終わり方には、もの足りなさを感じました。アブラ役の「灼熱の魂」のルブナ・アザバル、凛としていて、良かったです。

★★★☆☆ 3+

恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター2021/08/24


恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター

「恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター」 アップリンク吉祥寺
台湾映画。重度の潔癖症である青年ボーチン(リン・ボーホン)は、一般的な社会生活を送ることができず疎外感を抱えていた。ある日、いつものように防塵服に手袋とマスクの完全武装で外出した彼は、電車内で同じような格好をした女性ジン(ニッキー・シエ)を発見する。彼女も重度の潔癖症で、同じ気持ちを理解できる同士で、運命の出会いを感じる。2人は安心感に満ちた関係を築いていく。しかし、ボーチンから突然、潔癖の症状が消えてしまったことで、2人の思いは次第にすれ違っていく。
変わった映画でした。リズムがあって、2人の動きがシンクロしています。色も同じではないけど、よく考えられています。初めは画面が小さくて、これはスマホ映像みたいだなぁと思っていたら、後で調べたら、全編iphoneで撮影されているようです。
ファッションが対照的な色を使ってオシャレだったし、部屋のインテリアも素敵でした。もちろん潔癖症だらか、とてもきれいにしています。ポップな映画かと思いきや、だんだんとシビアになってきて、終わり方は、私は中途半端な感じがしました。中間を得て、幸せになったのかと思ったら、そうはうまくいかないという考察のような映画でした。
潔癖のくせに、話す時はマスクを外す時が多く、違和感がありました。同居するようになっても、前の部屋は残してあって、持ち家?なのかよくわからなかったです。でも、個性的な映画で楽しめました。

★★★★☆ 4-