ブータン 山の教室2021/05/02



「ブータン 山の教室」 岩波ホール
若手教師のウゲン(シェラップ・ドルジ)は、ブータンの秘境、ルナナにある学校へ行くように言われる。教師を辞めてオーストラリアに行ってミュージシャンになりたいと思っているウゲンは、渋々ルナナに行く事になる。1週間以上かけて辿り着いたその地には、真っ直ぐな瞳で彼を待つ子どもたちがいた……。
可愛らしいポスター写真とは違って、主人公はブータンの都会に住むやる気のない若者。スマホをいじったり、ゲームをしたりする今時の男の子でした。大変な山道を超えて着いた先は、アルプスの少女が住んでいるような、標高4880メートル、物資も乏しいブータンの中でも秘境の地です。自然を敬い素朴に暮らす村人たち。子どもたちは学ぶことに、好奇心いっぱいです。写真の委員長ペンザムちゃん、とてもかわいかったです。世界一幸福度が高い国でも、外国に行きたい人もいるのだなぁと思いました。教師に向いてないし、やる気がなかったウゲンも、子どもたちや村人たちとの関わりの中で、変わっていきます。ドキュメンタリーのように、本場の生活を映しつつ、何もないけど、幸せなのではないかと、豊かさの意味を考えさせられます。ちょっと「神去なあなあ日常」を思い出しました。
話の流れは、もうちょい押した展開が欲しい気もしますが、ルナナへ行く前と行った後のウゲンは、大きく変わったのだと感じました。

★★★★☆ 4

椿の庭2021/04/13


椿の庭

「椿の庭」 シネスイッチ銀座
庭に椿が咲き誇る一軒家。長年連れ添った夫を亡くした絹子(富司純子)は、夫と子どもたちとの思い出が詰まったその家で娘の忘れ形見である孫娘の渚(シム・ウンギョン)と暮らしていた。夫の四十九日を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死んでしまう。金魚は椿の花で体を包まれ、庭の土へと還っていった。庭に咲く色とりどりの草花から季節の移ろいを感じ、家を訪れる人びとと語らいながら、過去に思いをはせながら日々を生きる絹子、そこの寄り添っている孫の渚。しかし……。
失われつつある美しい日本の風景。空や海、庭の美しさ、鳥のさえずりや、虫たち、うっとりする映像美でした。
広告写真などを手がけるカメラマンの上田義彦氏の初監督作品だそうです。
シム・ウンギョン演じる渚の母は亡くなっているけど、もう1人の娘の役が鈴木京香で、主に3人が中心に描かれています。
シム・ウンギョンやチャン・チェンが出ているというので、興味が湧きました。良かったし、話も納得できますけど、ゆったりしたムードなので、眠くなりました。これぞ日本の美しさという感じです。海を臨む高台の家なので、高級住宅なのでしょうけど、昔っぽい電話やレコードプレーヤー、果物を食べたり、懐かしい風景でした。

★★★☆☆ 3+

街の上で2021/04/12


街の上で

「街の上で」 シネマカリテ
下北沢の古着屋で働く青年・荒川青(若葉竜也)は、たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったりしながら、基本的にひとりで行動している。そんな彼のもとに、自主映画への出演依頼という非日常的な出来事が舞い込む。
「愛がなんだ」の今泉力哉監督、「愛がなんだ」でとても印象深かった若葉竜也を主演にして、成田凌が友情出演していました。
若者の恋愛群像劇なのだろうけど、下北沢ならではの、オシャレな生活感が良かったです。若い頃は下北沢が、好きだったけど、もうあまり行くこともなくなってしまいました。駅の様子が変わっているけど、雰囲気はそのままですね。ザ・スズナリも今もあるし、飲食店や飲み屋がいっぱいあります。
出てくる女性たちが、かわいい人ばかりでした。
割りとスローテンポで主人公のとある日々が綴られています。若い人が見た方が響くかもしれませんが、とても面白かったです。結構、クスクス笑ってしまうのです。

★★★★☆ 4

アンモナイトの目覚め2021/04/10


アンモナイトの目覚め

「アンモナイトの目覚め」 TOHOシネマズシャンテ
1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。
人間嫌いの古生物学者メアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)は、世間とのつながりを絶ち、この町で暮らしている。かつて彼女の発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されたが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られた。今は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている彼女は、ひょんなことから裕福な化石収集家の妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)を数週間預かることになる。美しく可憐で、何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリー。しかし、自分とあまりにかけ離れたシャーロットに、メアリーは次第にひかれていく。
監督は初長編作「ゴッズ・オウン・カントリー」のフランシス・リー。「ゴッズ・オウン・カントリー」が好きなので、楽しみにしていました。女同士より男同士の恋愛ものの映画の方が、私は好きです。でもこの映画も良かったです。反発しているようで、とても気になっていたのか、次第に引かれあっていく2人。最近の映画「燃ゆる女の肖像」に、似ているところがあります。海に近い舞台でしたし、優秀な女性であっても、なかなか認められない時代。それぞれの映画の良さがありました。この時代のファッションも素敵でした。ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン2人とも熱演です。ゴッズ・オウン・カントリーのアレック・セカレアヌも出演していました。

★★★★☆ 4

騙し絵の牙2021/04/08


騙し絵の牙

「騙し絵の牙」 TOHOシネマズ上野
出版不況の波にもまれる大手出版社「薫風社」では、創業一族の社長が急逝し、次期社長の座をめぐって権力争いが勃発。そんな中、専務の東松(佐藤浩市)が進める大改革によって、売れない雑誌は次々と廃刊のピンチに陥る。カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされるが……。
「罪の声」などで知られる作家の塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」した小説を映画化。
原作を読んでいましたが、大きな流れは似ていますが、かなり違っていました。名前も同じ人もいるけど、違う人もいました。原作を読んでいる人でも、新鮮に楽しめます。小説は大泉洋をあてがきしているから、原作の方がもっと、バラエティに出ている時の大泉さんのようなところもありました。原作にあったモノマネはなかったです。映画では松岡茉優も、Wで主人公のようになっていました。大手出版業界の権力争いや、作家や編集の人々、小さい本屋さんの奮闘など、出版に関わるあれこれが、興味深いです。私たちが小さかった頃は、町の本屋さんへ買いに行っていたけど、今ではすっかり変わってしまいました。大きい本屋か、通販ばかりです。ノスタルジックな気分です。この本屋さんも、原作にはなかったような。
クセ者ばかりの騙しあいで、面白かったです。騙しあいというより、出し抜きあいのように思いました。複雑な人間模様を、巧みにまとめてありました。國村隼の大御所感、仕事のできそうな木村佳乃が、上手いなぁと思いました。

★★★★☆ 4

ノマドランド2021/04/05


ノマドランド

「ノマドランド」 TOHOシネマズ日比谷
ネバダ州の企業城下町で暮らしていた60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに荷物を詰め込んで、“現代のノマド(遊牧民)”として、季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
キャンピングカーで旅をしながら働くというのは、カッコ良いところもあるけど、この映画を見ると大変そうです。比較的、高齢者の方々にスポットを当てているし、主人公は女性なので、危険じゃないのか、心配になります。仕事が安定してあるのかどうか、車の故障など、突発的な出費だってあります。トイレや駐車スペースの問題もあります。しかし、こういう生き方によって、救われたり、意義を感じることもあります。特別なエンターテイメントではなくて、ありのままを伝えるような映画でした。大自然の映像美も楽しめます。夕暮れや明け方の空が美しかったです。人生の憂いや、生き様、同じノマドの人々との交流など、見どころは多いですが、静かな映画なので、ちょっと眠くもなりました。

★★★★☆ 4

JUNK HEAD2021/04/03



「JUNK HEAD」TOHOシネマズ日比谷  
遺伝子操作により長寿を得た人類は、その代償に生殖能力を失う。さらに環境汚染やウィルス感染により人口は減少。人類滅亡を止めるカギは、地底世界で独自に進化し、繁殖能力を得た人工生命体にあった。未来を救うために、主人公は地下迷宮へと潜入する……。 
孤高のクリエイター堀貴秀氏が、独学の映画作りで、7年の歳月をかけて制作したストップモーションアニメーション。
SFだけど、アドベンチャー、アクション、コメディ、いろいろな要素がありました。キャラクターやクリーチャーのデザインが良かったです。ハラハラと危機一髪が多かったです。笑いも多いけど、グロテスクでもあります。
クリーチャーはギレルモ・デル・トロ監督の映画に出てきそう。ギーガーの世界にも近い気がしました。日本語ではなく、不思議な言語で、そういう世界がありそうで良かったです。エンドクレジットで、監督がたくさんの声を担当しているのがわかります。ハマる人とハマらない人がいるかもしれないけど、私はとても面白かったです。

★★★★☆ 4+

トムとジェリー2021/03/24


トムとジェリー

「トムとジェリー」 TOHOシネマズ日比谷 字幕
ニューヨークの高級ホテルに引っ越そうとするネズミのジェリーと、そんなジェリーを相変わらず追いかけるネコのトム。新人ホテルスタッフのケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)が働くそのホテルでは、世界が注目するセレブカップルのウェディングパーティーが行われようとしていたが、トムとジェリーのせいで台無しになってしまう。汚名返上のためタッグを組むことになったトムとジェリーが、もう一度ウェディングパーティーを開こうと奮闘する。
有名なマンガ「トムとジェリー」が実写化と聞いた時は、ネズミはネコに捕まえられていまうと心配しましたが、アニメと実写の合成だったから、大丈夫ですね。
アニメはあえて、昔風の素朴なタッチの絵でしたから、違和感もなかったです。最近はCGで、本物の動物に近いのもできるけど、お馴染みのトムとジェリーだったので、その方が良かったと思います。
想像通り、ドタバタしていて、スピードも速いので、なんだか落ち着きません。映画館だから迫力もあります。重苦しくなく、仕事帰りに気楽に見れて良いと思ったのですが、めまぐるしかったです。映画の出来が悪いわけではないですが、私の好みじゃなかったです。クロエ・グレース・モレッツはかわいいですが、したたかな役をやっていました。

★★★☆☆ 3-

ミナリ2021/03/23


ミナリ

「ミナリ」 TOHOシネマズシャンテ
1980年代のアメリカ南部。農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ(スティーブ・ユァン)。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカ(ハン・イェリ)は不安を抱く。子どもはしっかり者の長女アン(ノエル・ケイト・チョー)と心臓を患う弟デビッド(アラン・キム)。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャ(ユン・ヨジュン)も加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。
ミナリとは韓国語で芹(セリ)のことです。たくましく根を張り、春と秋に2度の旬がある、祖母の言葉を借りればワンダフルな野菜です。
移住者の苦労はあるけど、子どもの世代につながる為に、たくましくアメリカに根を張っていくというようなことでしょうか。
クスっと笑えるとこともあるけど、移民者の苦労が伝わってくる映画でした。父は夢を描いて、母は現実的です。そこでぶつかるし、理不尽な苦労も降りかかってきます。祖母がとても良い味を出しています。「チャンシルさんには福が多いね」では、大家さんの役でした。アカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。スティーブ・ユァンは主演男優賞。。
幸せを感じる事は少ないけど、絵物語ではなく、移住者の日常をたんたんと描いているような気がします。でも疑問も残ります。なんとなくはわかるのだけど、畑仕事をする為に雇われているのだと思うポールが、十字架を背負って歩く理由とか、家の中で、何かが見えているような、それを祓っているようなところです。霊能者なのか。ジェイコブにすごく尽くしてくれています。
同じアジアでも、韓国の人と日本の人は違うなぁと思いました。花札は韓国でもするのね。
監督の自伝的な話のようなので、親の苦労を見てきた子どもの目線なのかな。男の子が、とても良かったです。その後の話も知りたくなります。

★★★★☆ 4

あのこは貴族2021/03/18


あのこは貴族

「あのこは貴族」 ヒューマントラストシネマ有楽町
都会に生まれ、箱入り娘の20代後半の華子(門脇麦)。結婚が当たり前と信じこんでいる彼女は、恋人と別れ、初めて人生の岐路に立たされる。
相手探しに奔走し、ハンサムで家柄も良い弁護士・幸一郎(高良健吾)との結婚が決まるが……。一方、富山から上京し東京で働く美紀(水原希子)は、苦労していた。そんな2人が出会い、それぞれに自分の生き方を選んでいく……。
描き方が、ややデフォルメされている気もしましたが、面白かったです。幸一郎に出会う前に、お見合いしたり、紹介されたりする人が、わかりやすく変な人で、笑ってしまいます。だからこそ、幸一郎に会った時に、盛り上がります。華子も、見ている観客も。しかし、幸一郎の雨男ぶりは、見事でした。主役の2人と高良健吾、良かったです。お嬢様育ちの身のこなし、それらしく見えました。母と一緒に美術館に行くという事はなかったし、お雛様も持っていなかった等と、自分と比較しました。お金持ちの方の多い大学へ行った友人の話も思い出して、こう言う事かと、納得できました。とにかく大切なのは、信頼できる良いお友達だと感じました。

★★★★☆ 4