紅椿 隅田川御用帳92021/07/30



「紅椿 隅田川御用帳9」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
ならず者の弥蔵が遺体で見つかった。「慶光寺」御用宿「橘屋」の十四郎は、遺体の傍らに落ちていた鈴が以前、駆け込みをした女の付き添いで来たお春の物ではないかと危惧する。そして、お春は町方の手に落ち、岡っ引は罪を認めないお春に迫る。そこには我が子への母の想いが。
岡っ引きでも、ずいぶん強引な人もいるなぁと思った一遍。親子愛を感じる話で、良かったです。殺しを疑われて、真犯人を探し出すというテーマは多いです。今回は、お登勢の亡くなった旦那さんの事がわかる話がありました。結婚前や結婚してからのお登勢が、どんな感じだったのか。旦那さんを思う姿に、十四郎は、嫉妬ではないですが、複雑な気持ちになるようです。

夏の霧 隅田川御用帳82021/07/26



「夏の霧 隅田川御用帳8」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
縁切り寺「慶光寺」御用宿「橘屋」に、小料理屋「鶴亀屋」の仲居お勝が駆け込んで来た。亭主の段七は牡丹作りの名人なのだが、売れた牡丹の苗木のお金をどこかに持って行ってしまっているのだという。橘屋の用心棒・塙十四郎はその亭主のことを調べ出すのだが……。
まず問題が提示されて、橘屋の番頭と一緒に調べるといろいろわかってきて、最後に真剣勝負があるという流れになっています。剣での戦いは、小説ならば文章を読んで想像するしかないのだけど、相手の剣をはらったり、躱したり、スピード感があります。相手のどこを切ったか、殺したのか、怪我させたのか。だいたいは御用の者が来て召し捕られていきます。そして、一件落着。わかっていても面白いです。

春雷 隅田川御用帳72021/07/22



「春雷 隅田川御用帳7」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
縁切り寺「慶光寺」御用宿「橘屋」の雇われ人、塙十四郎は、捨てられていた赤子を拾い、慣れぬ子育てに悪戦苦闘していた。赤子の母親は、慶光寺に駆け込んできたお初とわかりひと安心。だが、お初が駆け込みに及んだ夫婦不和の背後に不審な座頭金の組織がちらつく。
ハッピーエンドとそうでないものがあります。なんでもハッピーに終わらせてほしいものですが、人生のままならなさというのもテーマでもあるのでしょう。
特に武士というのは、堅苦しいところもあり、誇りを守らないとならないことが絶対です。この本の中には、奥さんの不義を疑われて、実際は何もなかったにも関わらず、敵を討たなければならないという状況になってしまいます。そうしないと、お家の継続が難しいというのです。武士の矜持というのは、カッコ良い部分もあるけれど、なんとも融通の利かないものです。

冬桜 隅田川御用帳62021/07/17



「冬桜 隅田川御用帳6」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
縁切り寺「慶光寺」に来て半月のおきよの亭主竹次郎が亡くなった。亭主の死で離縁が叶ったおきよだが、寺を出た彼女に悪い噂が立つ。慶光寺御用宿「橘屋」の塙十四郎は、おきよの周辺を調べ出したが、おきよの知られざる過去を知る。そして、待っていたのはやるせない結末だった……。
1冊の中に4つの短編で連作になっています。1話づつ終わるものの、哀しい内容も多いです。離縁がしたくて駆け込む話だけではなく、偶然知り合った人が困っているのを助けたりします。今回の本では、駆け込みに来たのが男の人というのもありました。駆け込みは、女性しか対応しないのですが、背景には事情があるし、無実の罪をきせられたりしました。この時代は、恐ろしくて、拷問で自白させられて、死罪になることが度々あります。今よりも無実を立証するのが難しいです。

今日のハチミツ、あしたの私2021/07/14



「今日のハチミツ、あしたの私」 寺地 はるな・著 ハルキ文庫
蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる。 「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、 碧は見知らぬ女の人からその言葉と小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから16年、30歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。 頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん。さまざまな人と出会い、自分の居場所を探していく。
主人公・碧の恋人の安西がどうしても好きになれず、それに我慢している碧にもイライラするのですが、全体の話としては、とっても良かったです。碧が来たことで、広がる人の輪。お互いに助けあっています。養蜂のことも細かく書かれています。あれこれとアイディアを出して、少しずつ向上していく様子、良い友達がいる事、碧も変わっていきます。もっと続きが知りたくなります。

おぼろ舟 隅田川御用帳52021/07/10



「おぼろ舟 隅田川御用帳5」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
小伝馬町から囚人たちが切放しになった。囚人たちに恐れをなし、町から人気は消えた。そんななか、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の雇われ人である塙十四郎は、殴られていた男を救い出す。その男の口から出てきた話は、にわかには信じられない話だった。
江戸の町は火事が多く、その時に囚人が一時的に外に出されて、三日後にまた戻ってくるようにいいつけるらしいです。戻って来ない場合は死罪になるそうです。数日、家族と過ごしてくるという人もいるようです。
今回の話は、長い間、船で遭難していて、奇跡的に帰ってきた男の人が中心です。なんと10年ぶり、なぜかそういう人が、すぐに戻れず、囚人の扱いなのです。この話は良かったです。
他に十四郎の幼なじみ、金吾もやっと祝言をあげることができました。

宵しぐれ 隅田川御用帳42021/07/07



「宵しぐれ 隅田川御用帳4」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
縁切り寺の慶光寺に、白粉屋「紅屋」のおかみ、お新がやってきた。夫の先妻の幽霊が出ることに悩んでの駆け込みだったが、不審を抱いた慶光寺御用宿「橘屋」の雇われ人・塙十四郎が紅屋を調べると、浮き上がってきた真相とは……。
慶光寺の寺役人で十四郎の幼馴染みでもある近藤金五には、ついに恋の予感がありました。この巻に出てきた頭が良い犬がいます。名をごん太と言います。捕物に一躍かったけど、今後も出てきそうです。

螢籠 隅田川御用帳32021/07/02



「螢籠 隅田川御用3」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
付火の罪で倅が火付盗賊改に捕まったと、御用宿「橘屋」を手伝うおふくが主・お登勢と雇われ人の塙十四郎に訴えてきた。倅の無実を信じる母親おふく。十四郎は倅の忠太が付火の真の下手人かどうか調べ始める。すると、忠太がやっていないという証言が続出。冤罪は晴れるのか。しかし、ついに刑の日が……。
短編連作なので、いつも時代劇ドラマをカバンに持ち歩いて、好きな時に見ているようです。今はみんなスマホで何でも見れる時代ですけどね。
1話で完結するから、さっぱりします。しかし、死者も多いし、早く助けてあげてほしいと思っても、なかなかそうはいきません。亡くなってから、真実を明らかにする事もあります。悪者は、わかりやすい卑怯な人が多いです。完結しないのは、十四郎とお登勢の仲、想いあっているのだろうけど、あまり進展しません。シリーズ最後の方まで、このままの関係なのではと思います。

千両かざり 女細工師お凜2021/06/26



「千両かざり 女細工師お凜」 西條 奈加・著 新潮文庫
錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋する店に、驚天動地の大注文が入る。江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凜はこころをひとつにするが……。
かわいいラブストーリーかと思ったら、意外な方向へ。勝手ですが、期待と違う方へいって、不満が残りました。
細工の腕があっても、女だからと認められないのは、この時代は特にそうだと思います。細工もできるけど、店のやり繰りや、職人にも気を配って、よくできた主人公でした。天保の改革の時代は、店をやっている人大変です。今のコロナ禍でも、状況は違うけど、苦労している人がいっぱいいます。

花の闇 隅田川御用帳22021/06/22



「花の闇 隅田川御用帳2」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
シリーズ第2弾。縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に雇われた元築山藩藩士の塙十四郎。ある日、斬られようとしていた浪人を救うが、浪人は十四郎のかつての許嫁雪乃の夫だった。仇を討たんと藩を出て江戸に出てきたかつての許嫁とその夫。しかし、生活苦から身を落とした雪乃に悪の手が迫る。
助けを求めてきた人が殺されたり、無常を感じますね。結果的には悪は栄えない時代劇の定番です。想いあっていたのに、藩の事情で別れてしまった許嫁が、登場しました。いつか出てくるのかとは思ったけど、2巻でもう出てきたと思いました。
 他の事件と、いろいろ絡みあっていました。時代劇ドラマを見ているように、次から次といろいろな話があります。そして、十四郎の真剣な闘いがクライマックスのようにあります。面白いです。