THEやんごとなき雑談2021/05/08



「THEやんごとなき雑談」 中村 倫也・著 KADOKAWA
俳優・中村倫也の初エッセイ集。自意識過剰でモテたかった学生時代。料理や掃除、買い物、散歩など、日常のあれこれ、実家の話、紅白歌合戦の裏側、動物愛。いろいろ書き綴られています。1つ1つが短い話で、読みやすかったです。中村倫也がどんな人かが、なんとなくわかってきます。友人がファンで、貸してくれました。私は荻上直子監督が好きなので、ドラマ「珈琲いかがでしょう」を見ています。主役の中村倫也さんは、ブラックコーヒーが苦手みたいです。撮影前の話だったから、今はわかりませんが、ドラマでは美味しいコーヒーを淹れる役だから、驚きました。本の挿絵も描いていて、上手いです。味があるイラストです。雑誌「ダ・ヴィンチ」に2018年11月号〜2020年11月号に連載したものが、ベースとなっているので、自粛期間中の事などもあり、ごく最近の話でした。自然体で良かったです。
本の裏表紙、帯をめくると、面白い仕掛けがありました。

小説 渋沢栄一 下2021/05/06


小説渋沢栄一

「小説 渋沢栄一 下」 津本 陽・著 幻冬舎文庫
コンパニー、コルポレーション、バンクを創り、新たな国家システムを構築した“富国共栄”の設計者・渋沢栄一。経済人の生涯。
三面六臂の活躍で、日本経済を引っ張って行った人でした。養育院の運営に関わったり、困っている人達の相談にのり、教育にも力を注いでいます。当時のアメリカとも、良い友好関係を築くよう尽力。日本人全体の大恩人ですね。自分の私利私欲の為ではなく、日本がより良くなるように願ったのだと感じました。ちょっと登場人物が多くて複雑に感じて、読むのに時間がかかりました。

小説 渋沢栄一 上2021/04/23



「小説 渋沢栄一 上」 津本 陽・著 幻冬舎文庫
武蔵国の豪農の長男に生まれ、幼少期から類い稀な商才を発揮する栄一。幕末動乱期に尊王攘夷に目覚めた彼は、倒幕運動に関わるも一橋慶喜に見出され幕臣となり、維新後は大蔵官僚として度量衡や国立銀行条例の制定など、日本経済の礎となる数多の政策に携わった。
新しいお札にもなるし、大河ドラマと、何かと注目されている渋沢栄一です。父親も認める商才や、対応力。小柄ながら、武道にも自信があるみたいです。事務的な事をきちんとこなします。パリ万博の時に、慶喜の異母弟・徳川昭武に随員としてヨーロッパに行きます。当時のヨーロッパは進んでいて、栄一も欧米に負けないような日本を作っていこうと言う志を持ちます。日本は幕末、大きく変わりゆく時代でした。今の日本の形が、作られていくの頃だと思いました。奥さんや子どもとは、ずっと離れて暮らして、後に呼び寄せて一緒に住むけど、現代なら奥さん怒って出て行ってしまいそうですね。
これから下巻を読みますが、登場人物が多いから、こんがらがりますが、比較的わかりやすく書かれています。有名な人もいっぱい出てきます。郵便のしくみを作った前島密も。それまでは飛脚が文を運んでいたけど、汽車を使ってより速い配達ができるようになります。そういえば今年は郵政創業150年だそうです。

この世の春 下2021/04/09



「この世の春 下」 宮部 みゆき・著 新潮文庫
北見重興が、父を殺した原因、根絶やしにされた出土村。城下から相次いで失踪した子ども達。すべての謎は、重興の覚醒とともに真実へと導かれる。
時代物のミステリー。
重い内容でしたが、面白かったです。最終巻で、謎がいろいろ解かれました。今は重興のような症状の人がいるのは、知られていますが、この時代にはわけがわからないだろうと思いました。
登場人物が魅力的な人が多かったです。重興の元奥様や、少ししか出てこないけど、女馬喰のしげも良かったです。恐ろしい人物もいますが、五香苑で働いている人たちは、好ましいです。呪いって、怖いです。まさに人を呪わば穴二つ。

この世の春 中2021/03/31



「この世の春 中」 宮部 みゆき・著 新潮文庫
主君・北見重興の押込。下野二万石の小国は、藩主の強制隠居という激震に見舞われた。居城から別邸・五香苑へと移った重興は、元家老の石野織部や主治医にも真実を語らず、座敷牢に籠り、時に少年のように、時に女郎のように振る舞って、周囲を困惑させた。彼は名君主たる人物だったのか。あるいは、非道な殺人者だったのか。謎が深まる中、各務多紀との出会いが、重興の心に変化をもたらす。
初めは多紀が主人公だと思ったけど、多数の人の一人称になっているので、いろいろな角度から、その人の気持ちがわかります。中心は重興の乱心?の原因を探っていくのですが、それぞれに思いを持って、探求していっているように思います。まだわかりませんが、過去の事件と結び付けていくことと、重興に現れる、別人格のような存在が鍵を握っています。難しいと思っていたけど、だんだん面白くなってきました。結末が知りたいので、すぐに下巻へいきましょう。

この世の春 上2021/03/27



「この世の春 上」 宮部 みゆき・著 新潮文庫
宝永7年の初夏、下野北見藩・元作事方組頭の家を赤子を抱いた女が訪ねてきた。父の言う通りに応対した各務多紀は、後に女が連れていた赤子が、藩内の御用人頭・伊東成孝の嫡男だったと知る。なぜ、一介の上士に過ぎない父が頼られたのか。藩中枢で何が起きているのか。一夜の出来事はやがて、北関東の小国を揺るがす大事件へと発展していく。
こちらは上巻ですが、上中下の全3巻です。まだ話の全体像が見えませんが、主人公の多紀が、落ち着いていて、思いやりのある人柄で良かったです。「三島屋変調百物語」のおちかに似ています。内容はちょっとホラーっぽくも感じました。「荒神」みたいなのかなぁ。呪いなのか、多重人格なのかと思う人が出てきました。これから、謎が明らかになっていくのでしょう。楽しみです。

今日は心のおそうじ日和2021/03/20


今日は心のおそうじ日和

「今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私」
成田 名璃子・著 メディアワークス
シングルマザーとなった主人公・涼子。職務経験はないが、家事は得意だった。そんな彼女に家政婦の仕事が舞い込んでくる。相手は高名な小説家だったが、ものすごく気難しい先生だった。それでも、家事を懸命にやっていくうちに、先生の問題や自分の悩みが、ほどけていく……。
主人公の小学生の娘が間に入って、様々なわだかりも溶かしていっているようにも思いました。先生の飼い猫もすごく賢く、何もかもわかっている感じです。
主人公は自信がなさ過ぎて、自分のことを卑下し過ぎています。元夫はパワハラ男です。主人公の涼子は、もっと大きく出て良いのに、グズグズしています。家事を楽しみ、家事をする事で、心も整えていくというのは、納得できました。手軽に読める本でした。

闇は知っている2021/03/17


闇は知っている

「闇は知っている」 池波 正太郎・著 新潮文庫
17歳の僧・隆心は、彼の心を踏みにじった後家お吉を絞殺し、故郷から逃げ出す。山崎小五郎と名を変え、金で殺人を請負う殺し屋となった彼は、天与の美貌と剣技にものをいわせ、平然と女を犯し、人を殺すが、育ての親である隆浄和尚と対峙したとき……。
主人公は非情な殺し屋となってしまいますが、もっと状況が違っていたらと、同情してしまうところがあります。捨て子として寺で育てられ、初めての恋愛で受け入れてもらえず、何かが違っていたら、また良い方向にいく運命があったのではないかと思います。殺人を重ねていくうちに、どうしようもない状況になっていきます。ハラハラするサスペンスタッチな話でした。年上の後家に恋し、その後、剣術を教えてもらう浪人には、父親のような気持ちを持っていたと思います。寂しい育ち方をしたせいもあると思います。
先日読んだ「闇の狩人」の前の話で、同じ登場人物もいました。先のことがわかっているのも不思議な気持ちで読みました。

見ないふりして2021/03/13



「見ないふりして」 メアリ・H・クラーク 新潮文庫
不動産会社で働くレイシーは、死んだ娘の部屋を売りたいという依頼を受ける。打ち合せのためアパートを訪れた彼女を待っていたのは、銃声と見覚えのある男が走り去る姿だった。瀕死の依頼人イザベルはレイシーに娘の日記を託す。イザベルは娘が殺されたと信じていた。その証拠となる事が日記に書かれているのだとうか。殺人の目撃者となってしまったレイシーは、FBI証人保護プログラムを適用されるが。
メアリ・H・クラークの本は、基本的に主人公が若く美しい人で、頭が良くておしゃれな人、ミステリーだけど、ロマンスもあって、ハッピーエンドのはずと思うと安心して読めます。今回はFBI証人保護プログラムで、身を隠す主人公。そういうのがアメリカ映画ではよく聞きますけど、どんな感じなのかと興味深く読みました。飽きさせない読みやすい展開で、面白かったです。

東福門院和子の涙2021/03/06


東福門院和子の涙

「東福門院和子の涙」 宮尾 登美子・著 講談社
徳川二代将軍の娘和子(まさこ)は、史上初めて、武家から朝廷に嫁いだ。戦国を毅然として生きた女性・お市の方の血を引いて、自らの苦悩は決して語らない女性であったが、宮廷では冷たい仕打ちが……。
侍女のゆきが語り手となっています。ゆきは素朴でごく普通の常識を持っている親しみやすい人なので、共感できます。和子は小さい頃から、朝廷に嫁ぐことが決められているし、できすぎた人です。しかし、苦労・苦難の多い人でした。江戸から京へ行って、反発や妨害にもあって、それでも凛としています。時代も違いますけど、帝に嫁ぐとは、こんなに辛いことが多いのかと思います。そばで見ている侍女は、和子様に尊敬の念を持っていって、悔しがったり、喜んだり、自分のことのように感情を書き連ねています。
言葉遣いが、とても難しいと感じました。意味が理解できず、読むのが進まなかったです。人間関係が複雑でしたし、わからないまま読み進んでしまったところもありました。