ペンギン・ハイウェイ2013/02/15

ペンギン・ハイウェイ
「ペンギン・ハイウェイ」 森見 登美彦・著 角川文庫
郊外の街に住む小学4年生のアオヤマ君は、毎日いろいろなものを研究している。いつも目標を決めて研究成果をまとめている。本もたくさん読んでいる。
ある日、街にペンギンたちが現れた。それにはアオヤマ君が通っている歯科医院のお姉さんが関わっているらしい。仲間とともに他の研究をしながら、お姉さんの謎を追いかけることにする…。
少年が見る特有な世界は子どもらしさはあるんだけど、アオヤマ君は理知的な少年で、小さな研究者、普通のガキんちょとはちょっと違う。父親も彼をよく理解してそれを認めている。クラスの男の子から嫌がらせを受けても、冷静に考え、怒ったり泣いたりしない。そんな子ども世界と初恋の話なのかと思ったら、未確認物体との遭遇のような話で、後半はSF色が強くなってくる、ペンギンがかわいくて怖い話ではないけど、せつない話。世界には解決しない方がいい問題があるのだ。
この作品は“日本SF大賞”を受賞している。
お姉さんのキャラクターが良くて、会話が楽しい。アオヤマ君を「少年」と呼びかけたり、「科学の子」と言ったりする。
お姉さん「何をしょげとる 科学の子のくせに」
アオヤマ君「科学の子もしょげることがあるのです」
お姉さん「あわてることないよ、偉大な発見には時間がかかるよ」
いつもノートにたくさん書き込んで、ノートがないと落ち着かないような少年で、私も文房具が好きなのでうれしくなる。外国のおしゃれなノートが似合いそう。

森見登美彦の私のベスト本は「有頂天家族」幻冬舎文庫

コメント

_ レスリー・チュン  ― 2013/02/16 23:24

少年と、年上の女性の話というと、昔見たので記憶が怪しいけど、映画「トワイライト・ゾーン」第3話目、ジョー・ダンテ監督の超能力少年と担任女教師のエピソードを連想します。
年上の女性の経験と知恵によって、男の子が導かれるというのは、もう男子にとって永遠のテーマですね。
野球選手とか、もうそれを実践しないと、選手として大成しないじゃないですか。
字面からすると、この本の作者も、男性でしょうから、それに関して何らかの拘りがきっとあると想像します。
コメントがハズレ過ぎて、すみません。

_ spice管理人 ― 2013/02/16 23:57

少年が年上の女性に憧れるというテーマは多いですよね。
森見登美彦さんは、いつも京都が舞台の小説なので、ちょっと異質な感じがしました。でも京都が舞台でも、不思議な話が多いので、そこは共通しているのかな。
面白い本でしたよ。

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