いつもの木曜日2024/02/04



「いつもの木曜日」 青山 美智子 宝島社
「木曜日にはココアを」のスピンオフ本です。文庫本よりちょっと大きめで、小さい絵本のよう。「木曜日にはココアを」と「月曜日の抹茶カフェ」の表紙写真を担当しているミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さんとのコラボです。内容は「木曜日にはココアを」に出てくる人の、前日譚みたいになっています。人物別に紹介されていました。「マーブル・カフェ」の雇われ店長のワタルくんが好きです。すぐに読み終わってしまいましたが、面白かったです。

月曜日の抹茶カフェ2024/02/03



「月曜日の抹茶カフェ」 青山 美智子 双葉文庫
桜並木のそばに佇む「マーブル・カフェ」では定休日の月曜日に「抹茶カフェ」が開かれていた。ツイてない携帯ショップ店員、茶問屋の若旦那、紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将……。
「木曜日にはココアを」の続編。マーブル・カフェが中心かと思えば、今回もそうではなく、次々と不思議な縁で繋がっていきます。前作ではオーストラリアが出てきましたが、今作は京都と東京が繋がっています。前に出ていた登場人物も出てきましたが、また新しい人がたくさん出てきました。人だけじゃなく、猫も語り手になっていました。軽いタッチで明るい話が多いけど、時々グッときました。良い教えが多くて、学びになります。

はぐれ又兵衛例繰控五2024/02/02



「はぐれ又兵衛例繰控五 死してなお」 坂岡 真 双葉文庫
又兵衛の義父、都築主税自慢の銘刀が、殺された札差の亡骸のそばで見つかった。又兵衛が知らないうちに、元配下のものに譲っていたらしい。義父はまだら惚けで、正気の時もある。義父に疑いがかかってはいけないので、又兵衛は元配下の行方を追うが……。
又兵衛の頼れる相棒は、幼なじみの長元坊、料理が上手なようですが、戦うのもかなり強いようです。多勢がかかってきても、蹴散らして行きます。おかげで、又兵衛は集中して強敵と対戦できます。いつも危機的状況が、降りかかってきます。この時代は疑いがかかれば、真実でなくても、切腹やら、失職してしまう事が多いから、ハラハラします。又兵衛の活躍で事件は解決しますが、表には立たず、人知れず正義を追い求めています。今作も面白かったです。

えにし屋春秋2024/01/26



「えにし屋春秋」 あさの あつこ・著 ハルキ文庫
浅草の油屋・利根屋の娘お玉に、大店の主人との縁談が持ち上がった。しかし、お玉は姿を消してしまう。利根川の体面と命運をたくされて、奉公人のおまいが一時的な身代わりとなった。えにし屋のお初に、美しく着飾らせてもらい、見合いに臨む。しかし、お玉の行方は一向にわからず、拐かしか、家出か、家族もおまいもヤキモキする。えにし屋は、縁を商う。結びたい縁、切りたい縁の手助けをする……。
シリーズ第1作らしい。面白かったです。えにし屋というのは変わっていました。珍しい職業です。今までにない仕事を考え出して始めたようです。なかなか忙しいらしく、一見さんお断りで商売をしています。調査などに手をかけています。年配の才蔵を頭にお初が働いています。お初は不思議な魅力があって、2つ目の話で過去がわかりました。えにし屋を始める前、過去の苦労など、興味深かったです。一応の完結はあるものの、今後がどうなるのか気になります。

三島屋変調百物語七之続 魂手形2024/01/21



「三島屋変調百物語七之続 魂手形」 宮部 みゆき・著 角川文庫
江戸・神田の袋物屋・三島屋では、風変わりな百物語が続けられている。主人の次男・富次郎が聞いた話はけっして外には漏らさない。少年時代を木賃宿で過ごした老人が三島屋を訪れた。迷える魂の水先案内を務める水夫に出会った話を語る……。
百物語の聞き手が、嫁に行ったおちかに代わり、小旦那の富次郎になってから2巻目。富次郎は純粋で優しい人柄です。不思議な話ばかり3編でした。恐ろしい経験や、辛い出来事が多いのだけど、どれも良い話で、面白かったです。おちかの近況を知ることができるのも良かったです。三島屋の人たちが、おちかの事を大切に思っている事が伝わってきます。

今宵も喫茶ドードーのキッチンで。2024/01/13



「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」 標野 凪・著 双葉文庫
住宅地の奥でひっそりと営業している、おひとりさま専用カフェ“喫茶ドードー”。がんばっている毎日から、ちょっと逃げたくなったお客さんが訪れて、癒しをもらっていく……。
2022年発行の本のせいか、コロナ禍ゆえの情景がいろいろ出てきて、ちょっと息苦しさを感じました。話は良いです。ドードーの店主は、割と若くて背の高い縮毛の人らしいが、なんだかクッキリと思い浮かばなかったです。背景がわからないからかもしれません。アップルパイが描かれている表紙絵が良いです。本屋で見て前から読んでみたかったです。続編もあるようです。因みにドードーとは絶滅した鳥類です。
「木曜日にはココアを」に続いて喫茶店の話でしたが、つい比較してしまう。「木曜日にはココアを」の方が好きです。

木曜日にはココアを2024/01/12



「木曜日にはココアを」 青山 美智子・著 宝島社文庫
ゆっくり寛げる小さな喫茶店「マーブル・カフェ」。ココアを楽しむ、玉子焼きを作る、ネイルを落とし忘れる。なにげない日常は、繋がっている。誰かを救っていることもある。
カフェのお客さんの話かと思ったら、いつの間にか、舞台はオーストラリアへ変わっていました。12編の連作短編で、前の話に出てきた人が、次の話の主人公だったりします。それだけじゃなく全体も繋がってもいます。
読みやすくて、ほっこりする話が多くて気に入りました。この作者は「お探しものは図書室まで」も面白かったですが、この本もサッと読めて、わかりやすかったです。

文福茶釜2024/01/07



「文福茶釜」 黒川 博行・著 文春文庫
古美術をめぐる男たちの騙し合い。入札目録の図版さしかえ、水墨画を薄く剥いで2枚にする相剥本など、いろいろな手段を用いて贋作を作ったり、売り付けたりの話。
連作短編で、同じ人も出てくるけど、いろいろな立場の人がいました。みんなハイエナみたい。骨董って、信じられないです。集める趣味はないですけど。

金曜日の本2024/01/03



「金曜日の本」 吉田 篤弘・著 中公文庫
小説家にして装幀家の著者の子どもの頃の思い出。本との関わりや、音楽への情熱。周囲の大人たちの影響など。
自分の子ども時代を懐かしく思い出したりしました。著者は兄弟はいないけど、たくさんのおじさんやいとこ達がいたようです。本に関わる仕事についたように、小さい頃から、本をよく読んでいたようです。
挿絵が良かったです。全体的にはエッセイが中心ですが、物語のように感じました。

2023展本ベスト102024/01/01



1位 風神雷神Juppiter,Aeolus上・下 原田マハ
2位 精霊の守り人シリーズ 上橋菜穂子
3位 櫓太鼓がきこえる
4位 はぐれ又兵衛例繰方控1〜4 坂岡真
5位 お探し物は図書室まで 青山美智子
6位 食堂のおばちゃん13〜14 山口恵以子
7位 京都祇園もも吉庵のあまから帖6〜7 志賀内泰弘
8位 野球短歌 池松舞
9位 成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈
10位 民宿ひなた屋 山本甲士

67冊読みました。