体は全部知っている2010/11/07

体は全部知っている
「体は全部知っている」吉本ばなな・著 文藝春秋
13の話が入った短編集です。短い話ばかりなので、あらすじというと難しい
ですが、印象的だったのは1つ目の話。「みどりのゆび」という話。
「アロエが、切らないで、って言ってるの。」病気で入院中の祖母が、私に
言った。家の玄関脇に植えてあったアロエが大きくなりすぎて、困っていた
のだ。植物の気持ちがわかるあんたにはそういう感性がわかるはずと言う。
ひとりのアロエを助けたら、いろんな場所で見る、どんなアロエもあんたの
ことを好きになると言うのだ。家に帰った私は…。

日常の中にあるほんの小さな話が多いし、読んだらすぐに忘れてしまいそう
な話もあるんだけど、短い話の中にこの作家の個性をとても感じるのです。
「田所さん」という不思議なおじさんが出てくる話も良かったなぁ。
田所さんは会社のマスコットって、え~って思うんだけど、なんだか自然に
馴染んでいる。その会社の人も、読んでいる読者も。