2025/02/05



「敵」 TOHOシネマズシャンテ
フランス文学の元大学教授の渡辺儀助(長塚京三)77歳。妻には先立たれ、日本家屋にひとりで暮らしている。自炊し、規則正しい生活、時には元教え子が訪ねて来たり、気の置けない友人と飲みに行ったりする。遺言書を書き終え、預貯金があと何年もつか、計算しながらも、平穏な日々を送ってる。しかし、ある日、突然「敵」が現れる。
モノクロ映画で、いかにも日本らしい静かな生活が綴られていきます。1人分の食事を、それほど凝ったものではないけど、丁寧に作っていて、モノクロでも、とても美味しそうでした。毎日の生活ぶりが素敵なんですが、後半にいくに従って、別な様相を表していきます。ちょっとホラーっぽいです。捨てきれない煩悩、過去の後悔など、静かな中にも、苦悩や喜びがありました。アンソニー・ホプキンス主演の映画「ファーザー」を思い出します。現実なのか、夢なのか、幻覚か、観ている方も不思議な世界に魅入られていきました。モノクロ映像が美しかったし、長塚京三さんが好演でとても良かったです。

★★★★☆ 4+