マルティネス2025/08/30



「マルティネス」 シネマカリテ
メキシコで暮らす60歳のマルティネス(フランシスコ・レジェス)。偏屈で人間嫌いの彼は、会計事務所で働き、毎日腕立て伏せ、休日にはプールで泳ぐ、日々のルーティンを崩さない。しかし、ある日会社から退職を仄めかされ、後任のパブロがやって来る。仕事を辞めるつもりがないマルティネスは気にくわない。時を同じくしてマルティネスの住むアパートで同年代の女性アマリアが孤独死していた事が判明。アマリアの私物の中にマルティネス宛の贈り物があったと知る。全く交流がなかったアマリアに興味を抱き、遺されたアマリアの持ち物を家に持ち帰り、日記などを読み、どんな人だったのか探り始めると、マルティネスの生活に変化が起こり始める。
堅物であるマルティネスの生活を覗き見るのが面白かったけど、共感するのは難しかったです。真面目に働いてきただろうけど、辞めさせられそうなのは、ちょっとひどいかなぁ。でも協調性がないのは、致命的かも。しかし、他の同僚たちも、そんなに協調性はなさそうです。
そして亡くなったアマリアにまるで恋してしまう様な、態度も変わっていくのは、不思議です。ちょっとネタバレになるけど、テレビの音がうるさくて、いつも迷惑していたマルティネスだったが、実はテレビをつけっぱなしで前からアマリアは亡くなっていたのだ。うるさくて困っていたのに、音が止まったら、静か過ぎて、逆に眠れなくなってしまうのが、おかしいです。
俯瞰で見るマルティネスの通勤風景や、プールの後に行く公園のベンチなど、構図が面白い映画でした。マルティネスの気持ちはわからないし、ヘンテコなら内容で、好みは分かれるかもしれませんが、私は気に入りました。

★★★★☆ 4+