方舟2025/05/23



「方舟」 夕木 春央 講談社文庫
柊一は友人らとともに山奥にあった奇妙な地下建築で夜を越すことに。だが、地震により出入り口がふさがれ地下水が流入し始める。その矢先に起こった殺人。だれか1人を犠牲にすれば脱出できる状況がわかり、生贄にはその犯人がなるべきだと皆が思った。
主人公の学生時代の仲間の集まりに、自分の従兄を誘ってきて男女7人と、道に迷ったと言う家族3人連れが加わり、合計10人の中に、犯人がいるという状況でした。水が流入して徐々に水没する危険が迫っています。1週間以内に誰が残るかを決めないといけません。陰鬱な空気が漂います。仲間が殺人を犯すのか、疑いを持ち犯人探しをする推理ものです。結末を含めて、あまり楽しい話ではありませんでした。でも、何が目的で殺人が起こったのか、犯人は誰なのかと気になって、読み進めてしまいます。人数は限られているし、新しい事が起こる度に、不可解さが増しました。終わってみれば、そういう事だったのかと、意外な方向へ展開していきました。