胸の香り ― 2024/05/27

「胸の香り」 宮本 輝 文春文庫
入院中の病院で、母は遠い昔のなつかしい匂いを感じた。花の香りだろうか、それともパンの匂い?いや、あれは忘れえぬあの人の香りだ。
七篇の短編集。短い話ばかりだけど、長い物語を読んだような気分になります。全部ではないですが、不倫の話が多かったです。過去を思い返す話もあるのですが、それが昭和のまだ貧しい時代で、今とはかなり違います。短いので人生の一部分しか描かれていないですが、濃密な時間です。ちょっと複雑でわかりにくいと思うのもありました。
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