調律師2018/07/08


調律師

「調律師」 熊谷 達也・著 文春文庫
交通事故で妻を亡くし、自身も大けがを負った後、ピアノの音を聴くと香りを感じるという共感覚「嗅聴」を得た鳴瀬玲司は、ピアノの調律師をしている。さまざまな問題を抱えたピアノ、あるいはその持ち主と日々接しつつ、いまだに妻を忘れられずにいた鳴瀬だったが、ある日、仕事で仙台に向かうことに……。
短編連作形式で、匂いで、ピアノのコンディションを理解するという不思議な感覚を持つ主人公。ピアノの鍵盤を叩くと良い香りが漂ってくると、調律もうまくいきます。不思議な話でした。調律が狂っているだけでなく、ピアノを弾く人に問題がある場合もあり、香りからその問題を推理していくようでした。調律師の仕事にどんなことがあるのか、興味深かったし、文章も読みやすくて、面白かったです。このまま、こんな感じで話がすすむのかと思うと、後半は違った展開になっていきました。

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