夢の猫 古道具屋皆塵2018/12/01


夢の猫

「夢の猫 古道具屋皆塵堂」 輪渡 颯介・著 講談社文庫
父親が亡くなり天涯孤独の身となったおきみは、後ろ足の先だけ白い黒猫が出る夢を見るようになる。すると夢と同じ出来事が実際に起こるのだ。残された借金返済のため根付を売りに皆塵堂へ行ったおきみだったが、たいした金額にはならず、女郎屋に売られることに。皆塵堂・主人の伊平次は一計を案じるのだが…。
シリーズ第7弾にして、最終巻。
幽霊が見える太一郎。幽霊を信じない連助。騙されてばかりの庄三郎。非力な放蕩息子円九郎などなど、多くの者が事情あって、皆塵堂である期間生活していて、それぞれの道をみつけていきました。その後に話にも登場するので、ファミリーは増える一方です。そして、シリーズの後半にいくにしたがって、猫にまみれていきました。いよいよ終わりとなると名残惜しいです。
面白いシリーズでした。

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生2018/12/02


ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」 TOHOシネマズ日比谷
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の続きで、シリーズ2作目。
アメリカからイギリスに戻ってきたニュート(エディ・レッドメイン)は、アメリカ合衆国魔法議会が捕らえた強大な魔法使いグリンデルバルド(ジョニー・デップ)が逃げ出したことを知る。恩師のダンブルドア(ジュード・ロウ)から特命を受け、パリに向かったニュートは、仲間の魔法生物たちとともにグリンデンバルドの行方を追う。
壮大なファンタジーで、なんといってもハリー・ポッターシリーズに続く世界観が好きなので、それだけでも満足。ニュートのシャイでハニカミな感じも好きです。更に今回はニュートの兄が出てくるのだけど、気に入った映画「さよなら、僕のマンハッタン」の主役だったカラム・ターナーが見たかったので、見れて良かったです。
学生時代のニュート役の子が、雰囲気が似ていて違和感なしです。もちろん魔法動物たちもかわいく活躍したり、ダイナミックな動物もいました。
ハリー・ポッターシリーズは本を読んでから映画を見ていたので、話がわかっていたけど、ファンタジック・ビーストの方は、どうなるのかわからない楽しみがあります。

★★★★☆ 4+

台北暮色2018/12/03


台北暮色

「台北暮色」 ユーロスペース
台北でひとり暮らす女性シュー(リマ・ジタン)、車で生活をしている便利屋の男フォン(クー・ユールン)、シューと同じ集合住宅で暮らす自閉症の少年リー(ホアン・ユエン)。シューのインコがいなくなったことをきっかけに、都市で暮らすそれぞれの孤独が描かれる。
ホウ・シャオシェンのアシスタントを務めた女性監督ホアン・シーのデビュー作だそうです。確かにホウ・シャオシェンの作品のように、一般の人々の日常を切り取ったような映画でした。時代はとても現代的なでした。3人の人生が交錯するってほどではなく、わかりやすいクライマックスもないのだけど、台北の街の風景や暮らしがわかります。台湾に興味があるので、私は面白かったけど、ちょっと退屈に感じる人もいるかもしれません。シューが露出多めのファッションで、若くてきれいで、似合っています。常に短パン姿でした。インコがかわいくて、すごく懐いていました。

★★★☆☆ 3+

オンネリとアンネリのふゆ2018/12/04


オンネリとアンネリのふゆ

「オンネリとアンネリのふゆ」 YEBISU GARDEN CINEMA
バラの木夫人から買った小さな家で暮らすオンネリとアンネリ。クリスマスまであと数日というある日、彼女たちのもとにプティッチャネンという小さな一族の家族が、バラの木夫人を訪ねてやって来る。一家は家を失い、さらに家族を捕まえようとする悪い人間に追われて困っているという。話を聞いた2人は、バラの木夫人の居場所がわかるまで、彼らをドールハウスにかくまうことにするが……。
フィンランドの児童文学。「オンネリとアンネリのおうち」に続く2作目。
前作は明るい光に満たされていた印象だったから春とか夏だったのかと思いますが、今作はクリスマスシーズンの話でした。
小さい一族というのは「借りぐらしのアリエッティ」のような大きさです。ドールハウスで生活できます。オンネリとアンネリはすぐに手助けを申し出るけど、中には金儲けのために利用しようとする人もいるのです。
前作同様にかわいらしい色合いで、ファッションもインテリアも可愛らしかったです。クリスマスシーズンの話なので、今見るのにピッタリです。

★★★☆☆ 3+

彼が愛したケーキ職人2018/12/05


彼が愛したケーキ職人

「彼が愛したケーキ職人」 YEBISU GARDEN CINEMA
ベルリンでケーキ職人をしている青年トーマス(ティム・カルクオフ)は、イスラエルから出張でやってくる妻子ある男性オーレン(ロイ・ミラー)と、いつしか恋仲になる。しかし突然、オーレンからの連絡が途絶えてしまい、故郷のイスラエルで事故死したことを知る。衝撃を受けたトーマスは、エルサレムへ行き、事実は隠したまま、オーレンの妻アナト(サラ・アドラー)の経営するカフェへ客として訪れる。人手が必要になったそのカフェで雇われることになったトーマスは、雑用のかたわら、クッキーや菓子を焼くと、その美味しさが評判になる……。
冒頭から、とってもおいしそうなケーキが出てきました。トーマスの作るお菓子やパンはどれもおいしそうでした。純粋にオーレンと愛し合っていたことが伝わってきます。夫を亡くしたアナトもまた喪失感を抱えていて、トーマスとの距離が近づいていくのだけど、どうなるのって感じで、目が離せません。
イスラエルは、ユダヤ人が多く、ドイツ人に抵抗もあるし、お店の認可の関係でトーマスはオーブンは使ってはいけないとか、人種や宗教の違いが大きかったです。
みんなが幸せになってほしいと思うけど、秘密にしている関係が複雑だし、見ている方は双方の気持ちがわかって、せつないです。冷静に考えるとオーレンはドイツで浮気していたわけだし、それが女性で元妻を見に来たのなら、もっとグチャグチャな話になってしまいそうだけど、トーマスはアナトを助けているように見えます。同じ人を愛した者同士なのです。
アナトを演じるのは「運命は踊る」で見たばかりのサラ・アドラーでした。監督はイスラエルの若手監督オフィル・ラウル・グレイツァという人です。「運命は踊る」も気に入ったし、イスラエルの映画って、面白いなぁと思いました。

★★★★★ 5-

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー2018/12/06


A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」 シネクイント
田舎町の一軒家で若い夫婦(ケイシー・アフレックとルーニー・マーラ)が幸せに暮らしてたが、ある日夫が交通事故に遭い、突然の死を迎える。病院で夫の死体を確認した妻は、遺体にシーツを被せて病院をあとにする。しかし、死んだはずの夫はシーツを被った状態の幽霊となり、妻が待つ自宅へと戻ってくる。
単純に、遺した妻が気になって、ずっとそばにいる幽霊というのとは違っていて、とても不思議な話でした。時間の流れが独特で、幽霊が体験したり、見たりするその家での出来事。妻だけではなく、過去や未来が入り混じっていて、同じ世界なのに、パラレルワールドのようです。シーツを被った幽霊というのも、こどもの頃のおばけごっこのようでした。声を発せず、表情もない幽霊なのですが、哀愁が漂っていました。あまり説明はなく、不思議な情景を見せられている感じです。そのため、ちょっと単調に思えるところもありました。
他の幽霊とコミュニケーションをとるのが良かったです。
ルーニー・マーラは、相変わらずのかわいさです。華奢なのでケイシー・アフレックが大きく見えました。

★★★☆☆ 3+

萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ2018/12/07


萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ

「萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ」 吉永 南央・著 文春文庫
観音さまが見下ろす街で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草(そう)。店で試飲用のコーヒーを出しているので、それを目当てに常連さんたちが集まってくる。会話の中で、街で起きている事件の存在に気づき、調べていくと……。
年はとっても、凛としていて、生き生きと働くお草さん。人生の苦労や老いを体験しつつも、自分の理想とするお店を作っています。コーヒー豆と和食器のお店というのが、ステキだなぁ。
短編連作形式で、推理もののようにも感じるけど、どの話も、そんなにスッキリとはいきません。おまけに若者のように行動力があるわけでもないのです。
それでも、周囲の人々を温かくみつめ、お店で働く若い久美さんの助けを受けながらも、気になることに首をつっこんでいきます。一本筋の通った主人公に魅力を感じて、どんどん読み進められました。

くるみ割り人形と秘密の王国2018/12/08


くるみ割り人形と秘密の王国

「くるみ割り人形と秘密の王国」 TOHOシネマズ日比谷
母を亡くし心を閉ざした少女クララ(マッケンジー・フォイ)は、クリスマスイブの夜に、秘密の王国に迷い込む。4つの国からなる王国で、プリンセスと呼ばれて驚くクララだったが、やがて反乱によって起こる戦いに巻き込まれていく……。
映画の始まりのシーンがとっても気持ち良く、上空からロンドンの街を飛んでいる目線で楽しめます。しかし、そこが一番良くて、話に入ると普通のファンタジーのような気がしました。主人公はきれいだったし、ファッションもとっても凝っています。メルヘンちっくな風景も美しく、女の子向け映画でしたが、物足りなさが残りました。一番シュールで面白かったのは、不気味なピエロたちです。マトリョーシカ状態のピエロでした。

★★★☆☆ 3


少し前に映画館に衣装が展示されていました。映画を見に行った時は、もうなかったです。