氷葬2013/04/12

氷葬
「氷葬」 諸田 玲子・著 文春文庫
下級藩士の妻・芙佐は、夫の知り合いという男に凌辱され、その男を殺してしまう。死体を沼に沈め、恐怖を味わう芙佐だったが、その男にまつわる陰謀に巻き込まれていく。幼子を人質にとられて、謎の男・十右衛門と夫婦を装って旅に出ることになる。穏やかな夫と違って、優しい言葉もかけてくれず、粗暴な男の十右衛門に、いつの間にか魅かれている自分に気がつく。
サスペンス2時間ドラマのような、殺人を犯して、その犯罪がばれるのを恐れるような話かと思ったら、ごく普通の主婦だった女性が、事件に巻き込まれて、短い間に力強くなり、肝がすわっていくのです。モチーフとなっているのは江戸時代中期に起こった幕府による思想弾圧「明和事件」らしいけど、そのへんはよく理解できなかったけど、わからなくても面白かったです。