千年の祈り2009/12/10

映画「千年の祈り」を見ました。
原作が大好きですし、ウェイン・ワン監督ならこの話にはピッタリ
と思いました。
脚本には原作者のイーユン・リーも参加しています。

妻に先立たれ、北京で暮らす父が、アメリカで1人暮しの娘を、
訪ねてきます。
娘は仕事に行っているので、父親は部屋で過ごしたり、娘のために
料理を作ったり、公園に行って、カタコトの英語で、ご婦人とお話
したりしています。
父娘の関係がしっくりいってないことが見てとれます。

公園で話すイラン人のご婦人とは、母国語が違っていても、わかり
あえるのに、父と娘は、本当はお互いに思いやっているのに、わか
りあえないのです。

父親役のヘンリー・オーが、私はとっても良いと思いました。
彼の行動を見ているだけで、すご~く楽しかったんです。
父は心配しているのに、冷たい反応をする娘。
いろいろ話かけても、あまり返事もしない。
映像も暗い感じが続きます。
娘役は「ジョイ・ラック・クラブ」に出ていたフェイ・ユー。
感情を内に秘めた娘役、ウマいし、美しいです。

お互いが向き合うことで、新しい二人の関係ができたような、
気持ち良い余韻を残す映画です。
この映画のテンポや構図は小津安二郎監督作品を彷彿とさせます。

偶然、この日は上映後にプロデューサーの木藤幸江さんのトーク
ショーがあって、映画の裏話がいろいろ聞けて、面白かったです。
プロデューサーという仕事ことや、監督との出会いや、監督の人柄
など、いろいろ聞けてラッキーでした。
質問も受け付けてくれて、映画を見た後だけに、わざと字幕を付け
ていない部分があるのですか?と聞いた人もいました。
ペルシャ語と中国語に、ほとんど字幕がないので、見ている私たち
も、言葉が通じないもどかしさを感じさせられるのです。
これは監督のこだわった部分で、どの国で公開する時も、そのよう
にしてもらったそうです。

★★★★☆