ソハの地下水道2012/10/02

ソハの地下水道
「ソハの地下水道」を観てきました。
1943年、ナチス占領下のポーランド。下水道で働くソハは、時々空き巣稼業もしている。ゲットー(ユダヤ人強制居住地区)からトンネルを掘って、収容所行きを逃れようとするユダヤ人たちをみつけ、下水道に匿うかわりにお金をせしめようと考える。幼い子どもも含む、ユダヤ人たちに食料を運び、下水道の中で安全そうな場所を教える。ユダヤ人狩りをする将校の執拗さに、ソハの妻子や仕事仲間も危険にさらしていることを感じ、手を引こうと思うのだが、彼らの悲惨な窮状を見てきて、自分でも信じがたいが、彼らを守ろうとするのだった…。
主人公のソハは狡猾で、ユダヤ人をドイツ軍に密告すれば、報奨金をもらえるし、その前にユダヤ人からも、お金を搾り取ろうとまで考えるような男だったのだが、次第に匿っているユダヤ人たちと気持ちを通わせていき、変わっていくのだ。
実在の人物で、正に死と隣り合わせの状態で、必死になって彼らを助けようとする。
極限状況のポーランドの様子が、ずっと語られているので、本当に見ていて辛いのです。上映時間2時間23分のうちのほとんどが、次々と襲いかかる試練で、どうなるのかハラハラさせられました。ネズミもいて悪臭漂う地下水道で、食料も少なく、いつ発見されるともわからない生活。女の子が絵を描くのに邪魔なためにネズミをつまみあげてどかすシーンがあって、もはやネズミを怖がらなくなっていることで、その時間の経過を知ります。そんな状況の中でも、家族の情愛や恋愛、性(本能)など、人間の力強さをヒシヒシと感じさせる映画でした。本当にこんなことが起こっていたというのが、現代の安全な日本にいると信じられないです。それでも、この映画のことは、とても素晴らしいと思います。危険を顧みず、人間としてあるべき道を選んだ人がいたこと、シンドラーや杉原千畝とも、同じ行動じゃないでしょうか。

★★★★☆

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