Spice -映画・本・美術の日記-

「アカペラ」（山本文緒・著）を読みました。
３つのお話が入っています。タイトルになっている「アカペラ」は、
両親に問題があって、ボケ気味のじっちゃんと生活しているたまこの話。
生活のためにアルバイトに勢を出しているが、じっちゃんのことは大好き
なので、苦労とも思っていません。
軽い語り口にのせられて読みすすむと、ちょっと固まってしまいますが…。
家出をして20年ぶりに家に帰る男の話「ソリチュード」。
病弱な弟と独身のまま仲良く暮らしている姉の話「ネロリ」。

３つの話は性格も設定も、全く違っているにもかかわらず、どの主人公も、
苦しい状況に不満を爆発させることもなく、みな一様に健気なんです。
与えられた状況にに文句も言わずに、全てを受け入れているとしか思えない。
自己を主張しない人たち。一般的な考え方とは、かなり違うと思います。
でも、どれも良い話なんです。心が温まるというのとも違うし、なんていう
んでしょうね。社会の片隅で真面目にもくもくと生きているような人を見た
ような感じでしょうか。
もっとみんなが幸せになるところを見たいのですがねぇ…。
でもこれが絶妙なところなんでしょうか。山本文緒さんの本は大好きです。