広重ぶるう2024/04/07



「広重ぶるう」 梶 よう子 新潮文庫
武家に生まれた歌川広重は絵師を志すが、鳴かず飛ばずで貧乏暮らし。人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞。広重の描く美人画や役者絵は、似てないと酷評を受ける。そんな時に出会ったのは、舶来の高価な顔料「ベロ藍」だった。広重は江戸の風景を描きたかった。東海道の絵を艶やかな藍色をぼかして空を描き、人気を博していく。
歌川広重の半生を描いています。江戸っ子気質で、口は悪いし、女遊びはしないものの、奥さんが苦労しているのに、自分勝手なところがあります。しかし、情に厚く憎めない良い人でした。ライバルかと思える国貞などとも交流があるようでした。広重の絵は青が印象的ですが、それが舶来の藍色なんですね。ぷるしあんぶるうの事で、ベルリン藍→ベロ藍と呼ばれたそうです。紺青ですね。刷り師と工夫を凝らして、ぼかしを取り入れ、名所を描かせたら、右に出る者はいない絵師となっていきます。後にゴッホにも影響を与えています。春画は断わっていたそうで、そういえば広重の春画は見た事がないです。火消同心の子として生まれ、仕事もしていた後に、絵師として活躍。いろいろな不幸にも見舞われます。この時代はすぐに人が亡くなってしまうので、生きることに必死でした。火事も多かったのが、よくわかります。
ドラマにもなったそうで、主役が阿部サダヲさんだったらしく、本を読んでピッタリと思いました。

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