ウォンカとチョコレート工場のはじまり2023/12/17



「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」TOHOシネマズ日比谷
純粋な心ときらめくイマジネーションを持ち、人々を幸せにするチョコレートを作り出すチョコ職人のウィリー・ウォンカ(ティモシー・シャラメ)は、亡き母と約束した世界一の店を開くため、一流店が集まる町にやってきた。ウォンカのチョコは瞬く間に人気になるが、町を牛耳るチョコレート組合から疎まれる。騙されたり、足を引っ張られたりするが、出会った仲間と共に、奮闘する。
想像以上にミュージカルでした。見目麗しいティモシー・シャラメが、歌って踊ってくれるだけでも嬉しいです。美しくカラフルな映像でとても洗練されたファンタジックなミュージカルでした。ティム・バートン監督、ジョニー・デップの「チャーリーとチョコレート工場の秘密」は、もっとクセが強いウォンカだったけど、若い時代は素直で夢を抱いてピュアなイメージでした。ローワン・アトキンソン(Mr.ビーンの)も出ていてビックリ。ウンパルンパ役のヒュー・グラントも良かったです。
心温まる良い話になっていて、楽しかったです。

★★★★☆ 4+

枯れ葉2023/12/08



「枯れ葉」 ユーロスペース
フィンランドのヘルシンキ。アンサ(アルマ・ポウスティ)は、理不尽な理由で仕事を失い、ホラッパ(ユッシ・パタネン)は、酒に溺れながら、どうにか工場現場で働いている。ある夜、カラオケバーで出会った2人は、惹かれ合う。しかし、名前も知らないまま、不運が重なり、すれ違ってしまう……。
久しぶりのアキ・カウリスマキ監督作品。カンヌ映画祭で審査員賞を取っていたので、新作があるのかと、待っていました。先行上映で観ました。いつものように、言葉が少ない映画でした。微妙な表情の変化で、気持ちが伝わってきます。常に労働者に寄り添っていて、ささやかな幸せを得られるかどうか見守っている気分です。ラジオを聴くと、ロシアのウクライナ侵攻のニュースが流れていて、最近の撮影なのが、わかります。時代が昔のように感じる事もあれば、ニュースによって、現代な事がわかります。登場する犬が、おとなしくて可愛かったです。なんか、人間の言葉を理解しているのかなぁと思えます。クセのある音楽もいつも良いです。若い2人組の女性が無表情で歌っていた曲が気に入りました。

★★★★☆ 4+


上映後はトークショー、主演女優のアルマ・ポウスティさんと松重豊さんがゲストです。松重豊さんは、アキ・カウリスマキ監督の大ファンだそうです。アルマ・ポウスティさんは、「トーベ」でムーミンの作者トーベ・ヤンソン役を演じていました。可愛らしい人でした。監督の撮影技法など、興味深い話だったし、松重さんの熱心なトークが聞けて、良かったです。

屋根裏のラジャー2023/12/07



「屋根裏のラジャー」TOHOシネマズ錦糸町(試写会)
ラジャー(声:寺田心)は、アマンダ(声:鈴木梨央)の想像上の友達=イマジナリー。人間に忘れられると消えてしまう運命を背負っている。とある事故により、失意のラジャーがたどり着いたのは、忘れ去られたイマジナリーたちが、身を寄せ合って、消えないように努力しながら、暮らしている場所だった……。
人物が可愛いかったです。ラジャーを付け狙うミスター・バンディングとその手先のような怖い女の子。何なんでしょう。ちょっと説明不足なところもありました。ファンタジーの世界のようで、次々と風景が変わっていきました。感動もしたけど、ちょっと物足りない気もしました。

★★★☆☆ 3+

春の画SHUNGA2023/12/05



「春の画SHUNGA」 シネスイッチ銀座
歌麿や北斎など、名だたる浮世絵師が情熱を注いだ春画。単なるエロ画ではなく、江戸の風俗を映し出します。嫁入り道具になる場合もあったそうです。バラエティー豊かな春画を紹介しています。まだ謎も多い春画をいろいろな角度から、紐解いてくドキュメンタリーです。
有名な画家が、春画も描いているのは日本だけらしいです。大英博物館で春画展が開催されたり、昨今春画が見直されているのだそうです。影響を受けている現代画家や、デンマークの肉筆春画のコレクターも出てきて、珍しい春画がありました。ストーリーはないから、ちょっと眠くなりましたが、とても勉強になりました。R18+でした。

★★★☆☆ 3+

2023/12/04



「首」 TOHOシネマズ日比谷
信長(加瀬亮)に反旗を翻した家臣・荒木村重(遠藤憲一)、村重が姿をくらませて、羽柴秀吉(ビートたけし)や明智光秀(西島秀俊)らを集め、自分の跡目をちらつかせ、村重を捜索させる。秀吉は弟の秀長(大森南朋)と軍師・黒田官兵衛(浅野忠信)らと策を弄し、次第に本能寺の変につながっていく……。
天下取りを巡って、みんながみんな悪い奴ばかりでした。信長もひどい人で描かれていて、お国訛りが激しいですが、それも面白かったです。首を巡って血なまぐさい争いが続いていきます。たけし映画ではお馴染みな役者さんが多いです。アウトレイジのような男臭い映画なんだけど、途中出てくる紅一点の柴田理恵さんが、良かったです。そして、男色のシーンもあり、西島秀俊さんを、ちょっと「きのう何食べた?」と比較してしまっておかしかったです。

★★★★☆ 4

翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて2023/11/30



「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」TOHOシネマズ日本橋
都民から迫害を受けていた埼玉県人は、麻美麗(GACKT)率いる埼玉解放戦線の活躍により自由と平和を手に入れた。麗は「日本埼玉化計画」を押し進め、埼玉県人の心をひとつにするために、越谷に海を作ることを計画。白浜の砂を手に入れようと和歌山にへ向かうと、関西にも虐げられている人々がいる事を知る。そして大阪のめぐらせた陰謀が、日本全土を巻き込む対決に発展していく……。
前作も面白かったけど、この第2弾も、よく考えられていて、楽しかったです。関西のあるあるがよくわかるし、特に滋賀って、こんな感じと思いました。ちょうど「成瀬は天下をとりにいく」で、「うみのこ」と言う琵琶湖の学習船を知ったし、滋賀県のアンテナショップで見た物などがいろいろ出てきました。
映画全体が、時代劇みたいなところと、現代とが混ざり合っています。役者さんも大活躍で、適役でした。片岡愛之助さん、藤原紀香さんが、夫婦で熱演。山村紅葉さんも、良い味出していました。くだらないけど、面白いし、笑えました。CGも駆使して、壮大な話になっていました。

★★★★☆ 4

シチリア・サマー2023/11/26



「シチリア・サマー」ヒューマントラストシネマ有楽町
1982年イタリア・シチリア。バイク同士の衝突で、気絶して息をしていない17歳のジャンニ(サムエーレ・セグレート)に駆け寄り、16歳のニーノ(ガブリエレ・ピッツーロ)は、必死に介抱する。育ちも性格も違う2人だったが、すぐに仲が良くなる。ジャンニはニーノの家の家業である花火の打ち上げを手伝う事になった事で、友情以上に惹かれあっていく。かけがえのない時を過ごすが、楽しい時間は長くは続かなかった……。
実話をもとにしているそうです。ゲイに対して厳しい目で見られる時代、特に母親は、大変なショックを受けていました。主役2人とも良かったです。若く純粋でした。花火が心情を表しているように思いました。恋する喜び、爆発するような高揚感でした。
典型的なイタリア・ファミリーのニーノの家族でしたが、家族関係がわかりにくいです。姉や甥、男の人は最後まで謎でした。説明が少なかったです。ジャンニと母の関係は、濃密でした。

★★★★☆ 4

正欲2023/11/24



「正欲」 TOHOシネマズ日比谷
検事の啓喜(稲垣吾郎)は、不登校になった息子の教育方針をめぐり妻との衝突を繰り返している。ショッピングモールで販売の仕事をしている夏月(新垣結衣)は、ある秘密を抱えていた。その秘密を共有している唯一の人、中学時代に転校した佳道(磯村勇斗)が、地元に戻っている事を知る。ダンスサークルに所属しているが、誰にも心を開かない大学生・大也(佐藤寛太)。大也に特別な感情を抱く八重子(東野絢香)。無関係だったそれぞれの人生が交錯する。
群像劇のようで、原作を読んでいると、設定が違っていたり、省略されていたりするのを比較してしまうが、それが面白かったです。特にはじめの方は、説明が少ないから、原作読んでいない人には、わかりにくいかもしれません。少なすぎるマイノリティゆえに、社会の中で生きていくのは、大変なのだと感じます。おせっかいな周囲の人たちに傷つけられるのです。親しくもなりたくない人から、ほっておいてもらえないのです。夏月と佳道は、協力して生きていく事で、平穏を得るのだけど、トラブルに巻き込まれてしまいます。
新垣結衣の死んだような表情で、いつもの笑顔を消していると、顔に力が入っていないのか、時々別人のように見えました。多様性とは言うけれど、理解しているつもりが、更に考えさせる内容でしたけど、良かったです。

★★★★☆ 4

ゴジラー1.02023/11/19



「ゴジラー1.0」TOHOシネマズ日比谷
戦争によって、何もかも失った日本、追い打ちをかけるように突如、謎の怪物が現れる。ゴジラと呼ばれ、戦争を生き延びた人たちが、立ち向かう……。
主人公の敷島(神木隆之介)は、戦後に生還するも、両親は亡くなっていた。焼け野原のような町で、典子(浜辺美波)と出会う。戦争のトラウマに苦しみながらも、生活を立て直そうとするが、ゴジラが東京を襲う。
敷島は飛行機の操縦士で、冒頭に飛行機に乗っているシーンが、大きいスクリーンで見ると、重厚感もあって迫力がありました。話もよくまとまっていて2時間の中に、戦争、戦後の日本、ゴジラの襲来、ゴジラとの戦いなど、足りないものもなく、満足感がありました。ゴジラのビジュアルは、昔のゴジラの造形に近く、更に現代風になっていて、古臭く感じないのです。外国でも楽しんでもらえるようになっていると思います。巨大で強いゴジラにどう対抗するのか、興味をそそりました。CGと実写の融合も自然で、戦後の銀座の様子も見る事ができて良かったです。面白かったです。

★★★★☆ 4

駒田蒸留所へようこそ2023/11/12



「駒田蒸留所へようこそ」 TOHOシネマズ錦糸町
亡き父の跡を継ぎ、駒田蒸留所の社長に就任した駒田琉生。災害の影響で製造できなくなった幻のウイスキーKOMAを復活させるべく奮闘していた。そんな琉生と一緒に酒造会社の取材をする事になったニュースサイトの駆け出し記者・高橋光太郎は本当にやりたい事をみつけられず、転職を繰り返してきた。あまりやる気がなかったが、駒田蒸留所やウイスキーの事を知って行くにつれて、変わっていく……。
光太郎は有楽町駅近くの会社に勤めているが、そのビルの風景が実物の建物と比較してリアルでした。おそらく他の場所もロケ地みたいのが、あるのでしょう。知識が乏しくやる気のない光太郎には、ちょっとイラつきますが、全体的には面白かったです。予告編を見て、内容は想像できたけど、家族の物語や、新米記者の成長などいろいろあります。ウイスキー作りも興味深いです。恋バナ要素はあまりないけど、かえってサッパリしていて良いです。

★★★★☆ 4-