VORTEX ヴォルテックス ― 2024/01/04
「VORTEX ヴォルテックス」 ヒューマントラストシネマ有楽町
心臓に疾患を抱える映画評論家の夫(ダリオ・アルジェント)と認知症の症状が進みつつある元精神科医の妻(フランソワーズ・ルブラン)。離れて暮らす息子(フランソワーズ・ルッツ)は、あまりあてにならない。日ごとに悪化していく妻に悩まされる夫。日常生活に支障をきたすようになってくる。やがて、夫婦に人生最期の時が近づいてくる。
フランスの鬼才ギャスパー・ノエ監督の新作。キレキレな映画が多い監督の作品としては意外です。夫役がまた俳優ではなく、映画監督として名高いイタリアのダリル・アルジェント。「サスペリア」「フェノミナ」の監督です。画面を真ん中で2つに分割して、夫側と妻側が同時進行で語られます。どっちも困ったお年寄りで、鈍い動きで生活が進みます。奥さんは勝手に家を出て行ってしまい、夫が探しにでます。普通は子どもが施設に入れるなりなんとかするのでしょうが、なかなか話が噛み合いません。息子も問題を抱えているし、夫も妻を愛する誠実な男ではないようです。2分割の画面も、ちょっと見にくいのです。楽しさはなく、辛い映画でした。でも否応なく老いや死について考えさせられます。他の映画ですと「ファーザー」や「愛、アムール」を思い出しました。
冒頭の広めのベランダで、ワインを飲んでいるところは良かったです。ギャスパー・ノエ監督の作品が観たいと思っていたので、私は満足しましたが、若い人が観たらあまりピンとこないかなと思います。
★★★☆☆ 3+
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