九十九藤2023/02/09


九十九藤

「九十九藤(つづらふじ)」 西條 奈加・著 集英社文庫
江戸の人材派遣業、口入れ屋・冬屋の差配となったお藤。小さい頃に祖母に仕込まれた考え方を生かして、今までにない方法で、武家相手ではなく、商家への奉公人を育てて送り込むことにした。しかし、成果を生み始めると、同業者から新参者という事もあり、猛反発を受ける。冬屋を潰そうという目論みに、お藤は真っ向勝負を挑む……。
武家を相手に中間を派遣していたが、徹底的に家事を仕込んで、商家へ人を派遣するように転換していきます。
黒羽の百蔵と呼ばれる中間たちを取りまとめている親分のような怖い存在と勝負を挑むことになるが、お藤は昔、女衒から追われていた時に助けられたお武家の面影を見ていました。
若いのに肝の据わったお藤がかっこよかったです。この当時は女であるというだけで、認められないこともあり、今もありますが、上司が女だという事でも大変だと思います。はじめは店の中でも反発を受けています。でも、実力で覆していきます。働く人にとってもお客さんにとっても良いことが何かを考えます。まさにウインウインの関係で、今にも通じます。お仕事話だけど、この時代のしがらみが、複雑に絡んできますが、とても面白かったです。