雷桜2023/01/20


雷桜

雷桜」 宇江佐 真理・著 角川文庫
江戸から三日を要する山間の村で、生まれて間もない庄屋の一人娘・遊が、雷雨の晩に何者かに掠われた。手がかりもつかめぬまま、一家は失意のうちに十数年を過ごす。その間、遊の2人の兄は逞しく育ち、遊の生存を頑なに信じている次兄の助次郎は江戸へ出、やがて御三卿清水家の中間として抱えられる。が、お仕えする清水家の当主、斉道は心の病を抱え、屋敷の内外で狼藉を繰り返していた…。遊は、“狼少女”として15年ぶりに帰還する……。
狼に育てられたわけではないが、野生的に育った遊が、おとなしく娘らしくしているのは難しいようでした。それでもこの本は、ロマンス色が濃い話でした。身分や性格の違う2人が出会って、心惹かれていく事と、周囲の人々の悩みや変化など、群像劇として面白かったです。山間の村の自然が美しく描かれていて、文章だけでも、瀬田村がのどかで、良い所のように感じました。桜の季節はまた特別でしょう。

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