象の旅2022/06/03


象の旅

「象の旅」 ジョゼ・サラマーゴ・著 書肆侃侃房
1551年、ポルトガル国王はオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を贈ることを決める。象遣いのスブッロは、任務を受け象のソロモンの肩に乗ってリスボンを出発する。嵐の地中海を渡り、冬のアルプスを越え、行く先々で出会う人々に驚きを与えながら、彼らはウィーンまでひたすら歩く。
時おり作家自身も顔をのぞかせて語られる、波乱万丈で壮大な旅。
実際にあったことをベースに肉付けされて小説になっています。ちょっと読みにくくて、読むのに時間がかかってしましました。中心となるのは象遣いのスッブロですが、いろいろな人の観点からも描かれていますし、作者の気持ちや、特注的な説明も入っていました。
ジョゼ・サラマーゴは初めて読みましたが、ノーベル文学賞を受賞している人なんですね。
この時代に、象をポルトガルから、オーストリアへ運ぶって、今とは違って大変でしょうね。船に乗ることもあるけど、ほとんどが徒歩でした。途中は雪が降る山も越えているようです。象は寒いところは平気なんでしょうか。
そもそもは、インドからポルトガルへ行ったのだと思いますが、それもすごい距離です。当時は象を見たこともない人々ばかり。象のソロモンは語りませんが、割りとおだやかで、素直に従ってくれているところもあります。スッブロも、ただ従うしかないのですが、それほど従順という感じではなく、意見を持っていました。
訳者のあとがきに、作者のドキュメンタリー映画が面白いとあったので、観てみたいと思いました。「ジェゼとピラール」という映画です。そして、私が面白いと思った映画「複製された男」は、原作がこのジョゼ・サラマーゴだったのかと知りました。不思議な話でした。

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