百物語 浪人左門あやかし指南2021/10/26


百物語

「百物語 浪人左門あやかし指南」 輪渡 颯介・著 講談社文庫
シリーズ第2弾。臆病なのが玉に瑕の甚十郎は、道場の兄弟子平松左門の薦めで商家和泉屋の怪談会(百物語)に出ることに。集まった男たちの話も怖いが、変化する瞬間を見た者は死ぬという掛け軸の女もまた怖い。案の定、百話目を語り終えた和泉屋は姿を眩まし、参加者の一人は怪死した。仕組まれた策謀なのか。
1作目は登場人物が多くて、混乱しましたが、それを乗り越えたので、誰が中心なのかがわかってきて、読みやすくなりました。剣は強いのに、怪談が大の苦手な甚十郎が、主人公の1人です。体格も良い立派な武士のようですが、怖い話に怯えているのが面白いです。怪談話を集めて、それを生活の糧にしている左門はその上をいく剣の達人で、甚十郎の師匠でもありますが、お酒を飲んでばかりです。でも、問題を解き明かすのは左門です。名探偵左門の話だと思うと、わかりやすくなってきます。怯える甚十郎を見て、楽しんでいるところもあります。
前作に続き、良い人だと思ったのに、実は違ったという人も出てきました。怪談話を聞きながら、おかしい点を左門が探ります。多くの人が順番に語る百物語の内容も面白いですし、それに関連づけて、他の事件も関わっているという構成でした。楽しく読めました。

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