おぼろ舟 隅田川御用帳52021/07/10



「おぼろ舟 隅田川御用帳5」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
小伝馬町から囚人たちが切放しになった。囚人たちに恐れをなし、町から人気は消えた。そんななか、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の雇われ人である塙十四郎は、殴られていた男を救い出す。その男の口から出てきた話は、にわかには信じられない話だった。
江戸の町は火事が多く、その時に囚人が一時的に外に出されて、三日後にまた戻ってくるようにいいつけるらしいです。戻って来ない場合は死罪になるそうです。数日、家族と過ごしてくるという人もいるようです。
今回の話は、長い間、船で遭難していて、奇跡的に帰ってきた男の人が中心です。なんと10年ぶり、なぜかそういう人が、すぐに戻れず、囚人の扱いなのです。この話は良かったです。
他に十四郎の幼なじみ、金吾もやっと祝言をあげることができました。

RUN ラン2021/07/11



「RUN ラン」 TOHOシネマズ日本橋
郊外の一軒家で母と暮らすクロエ(キーラ・アレン)は、生まれつきの慢性の病気により、車椅子生活を余儀なくされていた。しかし、前向きで好奇心旺盛な彼女は大学進学を望み、自立しようとしていた。ある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアン(サラ・ポールソン)に不信感を抱き始める。母に飲まされている薬の正体を知り、愕然とする……。
娘を病気に追い込んで、周囲から同情をひいたり、かいがいしく世話をすることで心の安定をはかる一種の虐待、代理ミュンヒハウゼン症候群の話かと思ったら、それだけでもなく、いやちょっと違います。怖い話でしたが、面白かったです。
ハラハラします。クロエは、母の事を疑い始め、行動を起こすけど、インターネットや、スマホがない状態で、外へ連絡を取るのが難しいのです。近所に家もないです。頭の良い子だと思うのですが、体が自由に動けないし、勉強も母の指導のもと、家でずっとしてきたようで、友達もいないようです。母の狂気がおぞましいですが、クロエを応援しながら見る映画でした。ラストは、どうなんでしょう。好悪が分かれるかもしれないけど、それを含めて、私は面白かったです。
パソコン画面上でドラマが展開する斬新なサスペンススリラー「search サーチ」のアニーシュ・チャガンティ監督の作品です。

★★★★☆ 4

いろどり野菜を食べるカレー2021/07/12



新宿“クローブ”で、映画を見る前にカレーを食べました。いろどり野菜を食べるカレーです。カレーがいろいろなスパイスが効いていて、美味しいです。

劇場編集版 かくしごと-ひめごとはなんですか-2021/07/13


劇場編集版 かくしごと

「劇場編集版 かくしごと-ひめごとはなんですか-」 バルト9
久米田康治の同名コミックを原作とするテレビアニメ「かくしごと」の劇場版。テレビアニメ版を編集して新規カットを追加し、テレビアニメ版では描かれなかったもうひとつのラストを描く。
下品な作風で人気を集める漫画家・後藤可久士は、小学4年生の娘・姫と2人で暮らしている。姫を溺愛する可久士は、何をするにも姫のことが最優先だ。そんな可久士は、自分が漫画家であること、そして姫の母親の行方について、絶対に姫に知られないよう隠し続けていたが……。
純朴で可愛らしい娘の姫は、父親が隠している事には、全く気が付かず、父がうろたえながら、懸命に動いている事に、おかしみを誘います。
テレビアニメは見ていなかったのですが、友人のオススメで見てみました。予告編を見ても、風景がとてもきれいです。テレビアニメ見ていなくもわかりますが、かなり省略されているのは感じます。
知っている場所が出てくるとまた面白いです。代官山蔦屋書店、豊洲のキッザニア、江ノ電等。おしゃピー(おしゃれピープル)に気後れしてしまうところは、共感します。前半は笑わせておいて、後半には姫が高校生になっていて、秘められていたことが、わかってくると、グッときてしまいます。絵も人物はあえてかわいらしいのですが、風景などはとてもリアルで美しいです。最後に大瀧詠一の歌が流れて、夏の爽やかな空気を感じる映画でした。

★★★★☆ 4-

今日のハチミツ、あしたの私2021/07/14



「今日のハチミツ、あしたの私」 寺地 はるな・著 ハルキ文庫
蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる。 「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、 碧は見知らぬ女の人からその言葉と小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから16年、30歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。 頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん。さまざまな人と出会い、自分の居場所を探していく。
主人公・碧の恋人の安西がどうしても好きになれず、それに我慢している碧にもイライラするのですが、全体の話としては、とっても良かったです。碧が来たことで、広がる人の輪。お互いに助けあっています。養蜂のことも細かく書かれています。あれこれとアイディアを出して、少しずつ向上していく様子、良い友達がいる事、碧も変わっていきます。もっと続きが知りたくなります。

プロミシング・ヤング・ウーマン2021/07/15


プロミシング・ヤング・ウーマン

「プロミシング・ヤング・ウーマン」 TOHOシネマズ日比谷(先行上映)
コーヒーショップで働き、平凡な生活を送っているかに見える女性キャシー(キャリー・マリガン)。実はとてつもなく切れ者でクレバーな彼女には、周囲の知らないもうひとつの顔があり、夜ごと外出する謎めいた行動の裏には、ある目的があった。明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)だと誰もが信じていた主人公キャシーが、ある不可解な事件によって約束された未来をふいに奪われたことから、復讐を企てる。
可愛らしいルックスのキャリー・マリガンですが、いつのまにか、凄味が増していました。冒頭から、どうしてこういう行動をしているのかと、疑問に思いつつ見ていきますと、詳しい説明はないけど、なんとなくわかってくるようになっています。学校を辞め、夢を断たれただけじゃなく、大切な友人への想いもあります。行動の仕方が突飛でが、綿密な計画を遂行します。
全体的にポップでカラフルな印象ですが、内容は重く、考えさせられます。キャシーのファッションもかっこよかったり、かわいらしかったり、なんでも似合って、オシャレでした。予想を上回るラストで、見終わった直後は、どうなのかと思ったけど、だんだんとてもよくできているように思えてきました。キャシーがハーレイクインみたいに見えてきました。そういえばこの映画の製作にはマーゴット・ロビーも名を連ねていました。監督は女性だろうなあと思ったら、やっぱりそうでした。女優でもあるエメラルド・フェネルの長編映画監督デビュー作だそうです。

★★★★☆ 4

冬桜 隅田川御用帳62021/07/17



「冬桜 隅田川御用帳6」 藤原 緋沙子・著 光文社文庫
縁切り寺「慶光寺」に来て半月のおきよの亭主竹次郎が亡くなった。亭主の死で離縁が叶ったおきよだが、寺を出た彼女に悪い噂が立つ。慶光寺御用宿「橘屋」の塙十四郎は、おきよの周辺を調べ出したが、おきよの知られざる過去を知る。そして、待っていたのはやるせない結末だった……。
1冊の中に4つの短編で連作になっています。1話づつ終わるものの、哀しい内容も多いです。離縁がしたくて駆け込む話だけではなく、偶然知り合った人が困っているのを助けたりします。今回の本では、駆け込みに来たのが男の人というのもありました。駆け込みは、女性しか対応しないのですが、背景には事情があるし、無実の罪をきせられたりしました。この時代は、恐ろしくて、拷問で自白させられて、死罪になることが度々あります。今よりも無実を立証するのが難しいです。

ライトハウス2021/07/18



「ライトハウス」 TOHOシネマズシャンテ
1890年代、ニューイングランドの孤島。4週間にわたり灯台と島の管理をおこなうため、2人の灯台守が島にやってきた。ベテランのトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)と未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)は、初日からそりが合わずに衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、島を襲った嵐により、2人は島に閉じ込められてしまう。外界と遮断された灯台で2人は徐々に狂気と幻想に侵されていく。
モノクロの世界で、構図が絵になる良さでした。なんか、昔の映画を観ている気分。ジャンルはホラーです。
ロバート・パティンソンがいつものイメージとは違って、別の人のようです。ヒゲのせいかもしれません。仕事は過酷で、カモメがしつこく迫ってくるし、いつも不安を煽るような音が鳴っています。荒れ狂う海が、2人を島に閉じ込めていて、だんだんおかしくなっていきます。トーマスが厳しくて、何を考えているか、わかりません。

★★★★☆ 4-

竜とそばかすの姫2021/07/19


竜とそばかすの姫

「竜とそばかすの姫」 TOHOシネマズ日比谷 IMAX鑑賞
過疎化が進む高知の自然豊かな田舎町。17歳の女子高生すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。ある日、全世界で50億人以上が集う仮想世界「U」と出合ったすずは、「ベル」というアバターで参加することに。仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。そんな彼女の前に、「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。
主人公すずとベル役はシンガーソングライターとして活動する中村佳穂さん。声がすごくきれいで良かったです。歌の魅力がかなり評価を左右すると思います。映像も美しかったです。日本らしい風景も良いのだけど、仮想世界がよくできていました。映像表現は、サマーウォーズの時より、進化していると思います。IMAXで見たから、余計にきれいだったのかもしれません。美女と野獣がずいぶん盛り込まれていました。あと細かいところが、説明不足だし、疑問に思う事も多かったけど、歌声とビジュアルに圧倒されました。

★★★★☆ 4