闇は知っている2021/03/17


闇は知っている

「闇は知っている」 池波 正太郎・著 新潮文庫
17歳の僧・隆心は、彼の心を踏みにじった後家お吉を絞殺し、故郷から逃げ出す。山崎小五郎と名を変え、金で殺人を請負う殺し屋となった彼は、天与の美貌と剣技にものをいわせ、平然と女を犯し、人を殺すが、育ての親である隆浄和尚と対峙したとき……。
主人公は非情な殺し屋となってしまいますが、もっと状況が違っていたらと、同情してしまうところがあります。捨て子として寺で育てられ、初めての恋愛で受け入れてもらえず、何かが違っていたら、また良い方向にいく運命があったのではないかと思います。殺人を重ねていくうちに、どうしようもない状況になっていきます。ハラハラするサスペンスタッチな話でした。年上の後家に恋し、その後、剣術を教えてもらう浪人には、父親のような気持ちを持っていたと思います。寂しい育ち方をしたせいもあると思います。
先日読んだ「闇の狩人」の前の話で、同じ登場人物もいました。先のことがわかっているのも不思議な気持ちで読みました。