すばらしき世界2021/02/16


すばらしき世界

「すばらしき世界」 TOHOシネマズ日比谷
殺人を犯し13年の刑期を終えた三上(役所広司)は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、身元引受人の弁護士らの助けを借りながら自立を目指していた。生き別れた母を探す三上に、やり手のテレビプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は、ドキュメンタリーに仕立てようと、若手テレビディレクターの津乃田(中野大賀)に依頼をかける……。
「ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督。これまではオリジナル脚本の映画を手がけたきた印象ですが、今回は佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案にしているそうです。人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描いています。
役所広司がとても良かったです。カッとなると、我慢できなくなって、暴力もふるってしまうのですが、弱い者いじめをやめさせるためだったり、理不尽なことに意見したりするためで、とても純粋なところがあるのです。強面な役なんだけど、なんだか憎めない感じです。それで、周囲には応援してくれる人も出てくるのだけど、これまで普通の仕事はしていないし、体調面にも問題があるので、就職もままならないのです。しかし、生活保護を受けているのは、本人は納得いかないのです。失効している運転免許証を取り直そうとして、空回りしています。時代は変わっていても、実在の人物がモデルとなっているので、確かに裏社会と手を切って、かたぎになろうとしても、なかなか生活がままならず、また罪を犯してしまう人も多いのもわかります。誰かが手を差し伸べないといけないのでしょうが、周囲からの理解が難しいです。想像以上にせつない話でした。最後にタイトルが出てくるのですが、そのタイミングが絶妙です。
フードスタイリストが飯島奈美さんだったので、ちょこちょこ出てくる食べ物がおいしそうでした。映画を観た翌日に玉子かけごはんとみそ汁を食べました。

★★★★☆ 4