昨日みた夢 口入れ屋おふく2020/06/11


口入れ屋おふく昨日みた夢

「昨日みた夢 口入れ屋おふく」 宇江佐 真理・著 角川文庫
亭主が忽然と姿を消し、実家の口入れ屋「きまり屋」に出戻ったおふく。色気より食い気、働きものおふくは助っ人女中として奉公先に出向き、偏屈な雇い主たちに憤慨したり同情したり。一筋縄ではいかない人生模様を目の当たりにするうち、自分も前を見て歩いていかなければと思い始める……。
口入れ屋は女中などを斡旋する所なので、おふくは父と伯父の営むきまり屋で、人が足りない仕事や、短期間限定の仕事など、女中のピンチヒッター的に、お願いされて働いている。だから、あっちこっちの商家などへ行くが、女中がいつかない原因や、勝手な雇い主たちの実情を裏から体験していきます。
仕事をうまくこなし、口入れ屋にとっては心強い家族という感じです。「ハケンの品格」ほど、スーパーウーマンではないけど、今でいうと派遣社員があっちこっちの会社へ行って活躍する話のようでした。市原悦子さんの「家政婦は見た」にも近いかな。
江戸の人たちの市井の暮らしが垣間見れてとても面白い話でした。これからもどんどん他の所へに行くというシリーズとなる予定だったのだと思いますが、作者が亡くなってしまったので、これで終わりとなっています。続きはなくても、とても良かったです。